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発酵温度によるワインスタイルの違いのまとめ

マスト(ブドウ果汁や果肉、果皮などの混合物)の発酵温度によって出来上がるワインにどのような特徴の違いが出るのかをまとめてみました。 まず発酵温度についてですが、白ワインと赤ワインでは、低温、高温と言われる発酵温度は異なります。 一般に、白ワインの方が赤ワインに比べて低い温度で発酵されます。 低温での発酵の特徴 低温での発酵の特徴は、フレッシュでフルーティーな香りが生成・保持されやすいこと、また、ブドウからの果汁以外の成分の抽出度合いが低いことです。 それにより、出来上がるワインはフレッシュで果実味があり口当たりの良いものになると言われています。 しかし一方で、長期熟成に必要な果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンや酸味が十分に抽出されないために、早々に出荷されて消費されることを目的とした早飲みタイプのワインになりやすいと言われています。 ちなみに白ワインの発酵温度が赤ワインよりも低い理由は、白ワインにとってフレッシュでフルーティーな香りはより重要で、赤ワインのようにタンニンの抽出を必要としていないことにあるようです。 高温での発酵の特徴 高温での発酵の特徴は、ブドウの果皮などからの抽出度合いが高まるために、果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンなどの成分が果汁内に多く抽出されることです。 一方で、揮発性のエステルなどの成分が失われてしまうことで、フレッシュでフルーティな香りが失われてしまうとも言われています。 このような発酵の特徴から、高温で発酵された場合には、より長期熟成に向いたワインが出来上がると言われています。 <了>

ワインにおけるマロラクティック発酵(MLF)の効用

WSET試験でもよく出題されるといわれるMLF(malo-lactic fermentation = マロラクティック発酵)の効用を、WSET L3のテキストから抜粋してまとめてみました。



<MLF(マロラクティック発酵)の効用>
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・MLF softens and reduces acidity

(MLFは酸味を減少させて口当たりをまろやかにする)

・creating buttery flavours. MLF may be encouraged in non-aromatic varieties to give the wines a rounder, creamier mouthfeel. 

(バターのような風味をもたらす。MLFは、ノンアロマティックな品種でワインにまろやかでクリーミーな口当たりを与えるために与えるために使用が奨められることがある)

・a dry, high acid wine that has undergone MLF is naturally quite resistant to microbiological spoilage.

(MLF醗酵を経ている辛口で酸味の高いワインは自然と微生物が及ぼす害に対してかなり耐性を持つ)

※「MLF醗酵を経て辛口で酸性になった」という意味ではなく、「MLF醗酵を経た、かつ、辛口、かつ、酸性」という意味です
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ここから言えることは、MLFは...

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① reduces acidity  of the wine (ワインの酸味を減らす)

② increases complexity  of the wine (ワインの複雑性を増す)

③ increases the stability of the wine (ワインの安定性を増す)
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ということです。



酸味の減少(①)は、酸味の強いリンゴ酸が、乳酸菌の働きで、より酸味の弱い乳酸に分解されることによって起こります。

複雑性の増加(②)は、バターの風味を持つジアセチル/ダイアセチル(diacetyl)などの香り成分が、乳酸菌の働きで生成されるために起こるようです。

また安定性の増加(③)は、MLFで乳酸菌がワインに残った栄養素を消費することで、ワインを劣化させる微生物が使うことができる栄養素が減少するために起こるようです。しかし、一方でMLFはワインの酸性度を若干下げるために、酸性度の低いワインでMLFを行うとワインが不安定になってしまうという逆効果も起こってしまう可能性があるようです。



またMLFの効用に加えて、次のようなことも覚えておく必要がありそうです。これらもL3のテキストからの抜粋です。


<効用以外のMLFにおいて重要なこと>
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・It can be avoided through storage at cool temperatures, the use of SO2, or by filtering out the bacteria.

(マロラクティック醗酵を避けるには、低温貯蔵、亜硫酸の使用、乳酸菌の濾過といった方法がある)

・The buttery aromas that can sometimes result from MLF may also interfere with the pronounced fruit aromas of the wine.

(ときにMLFがもたらすことのあるバターのようなアロマも、ワインが持つ強い果実の香りの妨げになることがある[アロマティックなブドウ品種の場合])

・in red winemaking malolactic fermentation (MLF) is standard practice rather than a stylistic choice. Virtually all red wines undergo MLF and their more robust flavours and textures.

(赤ワインの醸造では、MLFはスタイル上の選択ではなく、標準的に行われる工程である)

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コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

  「コート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)」の村名は正直言って、「コート・ド・ニュイ(Cotes de Nuits)」よりも覚えるのが大変です。 その理由は、村の名前が多いことです。 コート・ド・ボーヌの村名は、地域を区切って、主要な村を先に覚えていく方法が個人的には有効だと思います。 分け方は、「コルトンの丘付近」、「ボーヌ付近」、「シャニー付近」の3つの地域に分けました。 ちなみに、「コルトンの丘付近」は、特級畑「コルトン・シャルルマーニュ」を共有する3村、「ボーヌ付近」は赤ワインの生産が多い3村、そして「シャニー付近」は白ワインの生産の多い4村です。 コルトンの丘付近 コルトンの丘付近の村は、頭文字で覚えます。 ペルナン・ヴェルジュレス(Pernand-Vergelesses) アロース・コルトン(Aloxe-Corton) ラドワ・セリニィ(Ladoix-Serrigny) コルトンの丘を中心に反時計回りで、「 PAL 」となります。 この3村は先述の通り、特級畑「 コルトン・シャルルマーニュ 」を有していることで有名です。 (関連記事: 地図を使うと覚えやすい!コルトンの丘のグラン・クリュAOCの暗記法 ) ボーヌ付近 ボーヌ近辺の3村は、ボーヌ付近のいずれも赤ワインの生産の多い村です。 ボーヌ(Beaune) ポマール(Pommard) ヴォルネイ(Volnay) ボーヌは赤白ワインの生産が許可されていますが、ポマールとヴォルネイは赤ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 シャニー付近 シャニーに近い次の4つの村では白ワインが多く生産されています。 サン・トーバン(St Aubin) ムルソー(Meursault) ピュリニィ・モンラッシェ(Puligny-Montrachet) シャサーニュ・モンラッシェ(Chassagne-Montrachet) いずれの村でも赤白ワインの生産が許可されていますが、両モンラッシェの特級畑では白ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 その他の村 その他の村は、余裕があれば少しずつ覚えます。 ちなみに、ブラニィ(Blagny)は、ムルソー村とピュリニィ・モンラッシェ村にまたがる地域のことで、ブラニィという

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