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リースリングの味わいは産地によってどう変わるのか?ドイツ、フランス、オーストラリア産のワインを比較・考察

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カビに関係するワイン英単語 fungus, mildew, moldの違いなど



ワインの書籍を読んでいると、「カビ」を表す用語やそれに関連する用語が様々でてきます。


まず、はじめに「fungus」。これはカビが属している「菌類」を表す単語です。複数形は「fungi」と不規則な変化をする単語です。

fungas(菌類)には、カビだけではなく、アルコール発酵を助ける「yeast」(酵母)も含まれます。

酵母のうち、ワインの発酵を主に行う酵母は、Saccharomyces cerevisiaeサッカロミセス・セレヴィシエ)と呼ばれています。スペルが長くて覚えるのが大変な名前です。この名称はラテン語に由来し、Saccharo は sugar(糖)mycesmold/fungus(カビ/菌類)、そして、cerevisiaeof beer(ビールの) という意味があるそうです。合わせると、ビールのための砂糖カビといったところでしょうか。

実際に、ワインの発酵だけではなく、ビールやパンの発酵にも使われているそうです。酵母などから構成される澱に一定期間浸す製法であるシュール・リーで造られたワインが、パンの香りを持つのもこのためだと思われます。


次に、今度はカビそのものを表す英単語である「mildew」と「mold(米) / mould(英)」です。

両者ともにカビという意味ですが、mildewは主に白いカビを表すのに対して、moldは青や緑色のカビを指すようです。

ブドウの病気で知られる、白カビが原因のベト病の英語名は Downy mildew、白色の粉状の胞子が表れるウドンコ病の英語名は Powdery mildew です。

一方で、ボトリティス・シネレア菌(botrytis cinerea)が原因の灰色カビ病の英語名は、gray mold (gray rot) でこちらは白いカビではないために mold/mould と名付けられているようです。



<ブドウの菌類病のまとめ>


上の説明に登場した、「ウドンコ病」、「ベト病」、「灰色カビ病」の詳細です。

これらに加えて、日本では「晩腐病」がブドウに大きな被害を与えています。


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ウドンコ病 (Powdery mildew = Oidium オイディウム)

it is introduced into Europe from North America in the 1850s.

if affected, grapes lose their fruity flavours and can give the wine a mouldy bitter taint.

can be treated with Sulfur-based spray 硫黄ベースの農薬 or Benlate ベンレート(benomyl ベノミル剤).

canopy management can also reduce its risk.



ベト病 (Downy mildew = Mildiou ミルデュ)

it is appeared in Europe in 1878.

if affected, grapes lose their fruity flavours and can give the wine a mouldy bitter taint.

can be treated with Bordeaux mixture ボルドー液 (a copper-based spray ベースの農薬) or canopy management.

canopy management can also reduce its risk.



灰色カビ病 (Grey rot = Pourriture grise プリテュール・グリーズ)

caused by Botrytis cinerea ボトリティス・シネレア菌.

it can taint grape flavours and lead to colour loss in black grapes.

it helps to produce some of the finest sweet wines (noble rot 貴腐).

can be treated with iprodione イプロジオン水和剤.

canopy management can also reduce its risk.



晩腐病 (Ripe rot)

caused most damage in Japan.

can be treated with Benlate ベンレート(benomyl ベノミル).

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<ブドウのウイルス病のまとめ>


カビなどの菌類以外にも、ブドウ樹はさまざまなウイルス病にかかります。ウイルスは非常に感染力が強く、挿し木や線虫(nematodes)によって広がります。

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examples of virus disease are Grapevine leafroll disease (葉巻病), fleck disease (フレック), corky bark disease (コーキーバーク).

they can dramatically reduce yield and quality.


no treatments or cures. Viruses can only be eradicated by digging up the vines and sanitising the land. 

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