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ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

ワイン学習のモチベーションが上がる!(自粛期間にも)おすすめのワイン映画や読み物



試験のためのワイン学習を続けていると、時々どうしてもモチベーションが下がってしまい、なかなか学習に取り組めない時期があると思います。

実際、私もそうでした。

(関連記事:覚えられない時にどうする? ワイン資格(JSA/WSET)の取得に役立ったモチベーション

もう、テキストなんて読みたくない!ワインの勉強から離れたい!

そんな時に、モチベーションを上げてくれた映画や読み物を紹介したいと思います。

どれも気軽に読める/観られるものなので、改めてワインの楽しさを思い出させてくれると思います。



<目次>




この本は、ワイン造りにおいてはまだまだ発展途上と言われる日本において、人生をかけてワイン造りに取り組んだ3人のワイン醸造家の実話に基づいた内容です。

「ウスケボーイズ」の「ウスケ」とは、現代日本ワインの父と称される麻井宇介(あさいうすけ)さんの名前に由来します。

日本では、生食用ぶどうを使ったり、海外からワインやぶどう果汁を輸入して造たっりと、長らく世界の常識からかけ離れていたワイン造りが行われていました。そのような状況に異を唱えた人物が、麻井宇介さんでした。

物語に登場する3人はそんな麻井さんの影響を受けた日本のワイン造りの将来を担う若手醸造家です。しかし、新しいワイン造りを導入すれば何かと反発は起こるもので、代々続くワイナリーの四代目である登場人物の1人は、ワイン造りの方針を巡って父や弟とぶつかり合います。

彼は、自分の心境を「バローロ・ボーイズ」のエリオ・アルターレになぞらえます。バローロとはイタリアを代表する伝統的なワインの1つですが一時人気を落としていました。しかし、エリオ・アルターレを中心とした、若い造り手たちが仲間と情報を交換しあい、ブルゴーニュをで学んだ方法でバローロに改革をもたらします。エリオは伝統を重んじる父親と激しく衝突をしましたが、仲間とともに自分の信じたワインを造り続け、彼らの名は「バローロ・ボーイズ」呼ばれて世界に知れ渡りました。

そして、日本での新しいワイン造りを志し、互いに情報を交換し合い、切磋琢磨を繰り返した彼ら3人の物語が「ウスケ・ボーイズ」です。そして、彼らは日本では絶対に無理と言われたワイン用ぶどうの栽培から醸造までを一貫して手がけるワイン造りを成功させます。


 



<この作品の特徴や見どころ>


・ワインの専門用語は少なく、登場人物の挑戦にスポットを当てた物語調の作品なので、一気に読めてしまいます。

・世界から見た日本ワインの現在地と、世界基準に追いつこうという日本の醸造家の人生をかけた取り組みが分かり、日本ワインに対して尊敬の念が芽生えます。

・事実を基にした内容で具体的な地名やワイナリー名、品種名などが出てくるので日本ワインやワイン醸造の学習に役立ちます。

・自然派ワインを取り組みなどからワインの奥深さがわかり、ワイン学習に対するモチベーションがわかります

・「小学館ノンフィクション大賞」を受賞した作品で、映画化もされているような面白い作品です。















2. ソム Somm (2012)[映画]





極めて合格率が低いことで知られるソムリエ界の最高峰である「マスターソムリエ(Master Sommelier)」の資格を目指す4人のアメリカ人ソムリエのドキュメンタリーです。

マスターソムリエは、イギリスの本拠地を置く「Court of Master Sommeliers (CMS)」が提供をする最高位のソムリエ資格(学位;diploma)で、マスターソムリエを有するソムリエは2018年の時点でわずか274人だけです。

CMSの提供する資格は、「Introductory」、「Certified Sommelier」、「Advanced Sommelier」、「Master Sommelier」の4段階に分かれており、試験には理論試験、テイスティング試験、実技試験の3つが含まれています。「Advanced Sommelier」レベルでも1~2年の準備が推奨されているようで、難易度の高さが分かります。

CMS資格は、日本ではあまり頻繁に名前を聞くことはありませんが、これは受験が全て英語で行われるためかもしれません。


物語は、4人の受験者の受験準備から、試験本番、そして、合格発表までを追います。それぞれが異なる動機を持ってマスターソムリエの資格を目指しているのですが、共通していることは、全員、すべてをかけてこの資格取得を目指しているということです。レベルこそ違えど、資格取得を目指してワインの学習をしたことがある人であれば、誰でも共感してしまうような内容がちりばめられています。夜遅くまでワイン産地の地図を眺めたり、暗記カードを持ち歩いたり、納得いくまでワインのテイスティングを繰り返したり、ふと「何のためにこんなに勉強をしているんだろう」と思ったり...

試験準備の描写はブラインド・テイスティングが中心なのですが、ワインの外観、香り、味の描写に加え、産地、品種、ヴィンテージまで当てる練習が繰り返されます。これを見て日本ソムリエ協会(JSA)の試験が思い出されます。私はソムリエについてはあまり詳しくないので、なぜラベルに書いてあることをわざわざブラインドで当てなければならないのかはわからないのですが、それでもこのような能力は世界で共通して一流のソムリエに求められているようです。


<この作品の特徴や見どころ>


・ワイン試験に取り組む人/取り組んだことのある人であれば、必死でワイン資格に取り組む受験者たちの姿に共感できます。また、自分も頑張ろうという気持ちになれます。

・有名なワインの地名やブドウ品種が出てくるので親しみを感じます。また、ブラインドテイスティングの場面などは、テイスティングコメントを聞いて自分でも産地や品種を予想する楽しみがあります。

・1時間33分と比較的短いドキュメンタリーなのであっという間に見終えることができます。誰が合格するのか?という楽しみもあります。

・英語音声で聞くと、ワイン英語の学習になります。

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ちなみに、続編として「Somm ソム: ワインにかけた情熱/ソム:イントゥー・ザ・ボトル(2015)」という作品もリリースされています。

こちらは内容が一風変わって、世界のワインにまつわる10のお話(醸造家、ヴィンテージ、歴史、戦争、新世界、費用、樽、ポイントスコア、ソムリエ、メモリーなど)がまとめられています。私にとっては、少しマニアックなワイン教材という印象でした。明日から語れるワインに関するうんちくが見つかるかもしれません。












3. ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡(原題:Bttole Shock)[映画]



 


 カリフォルニアのワインの名声を世界に轟かせた「パリスの審判」の実話に基づく物語です。

故郷イギリスを離れ、パリでワインショップおよびワインスクールを営むスティーヴン・スパリュア(Steven Spurrier)は、アメリカ独立200周年の記念して、カリフォルニア産のワインをフランスワインと比べて試飲するというイベントを企画します。彼のワインスクールは「アカデミー・デュ・ヴァン(Academie du Vin)」。彼は日本でも有名なワインスクールの創始者です。

当時のパリでは、カリフォルニアワインなど存在していないも同然の扱いで、フランスに勝るワインがアメリカに存在するなど、誰も想像すらしていませんでした。

物語では、スパリュアはカリフォルニアに飛んで、イベントに出すカリフォルニア産ワインを自分の脚で探し出します。

テイスティングは、シャルドネの白ワインとカベルネ・ソーヴィニヨン系の赤ワインの2部構成で行われ、次のようなワインが選ばれました。

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白ワインの部(シャルドネが10本)

フランス(全てブルゴーニュワイン)
・ムルソー・シャルム / ルーロ 1973年 (プルミエクリュ)
・ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ / ジョセフ・ドルーアン 1973年 (プルミエクリュ)
・バタール・モンラッシェ / ラモネ・プルドン 1973年(グランクリュ)
・ピュリニー・モンラッシェ / ドメーヌ・ルフレーヴ 1972年(コミュナル)

カリフォルニア
・シャトー・モンテレーナ 1973年 
・シャローン・ヴィンヤード 1974年
・スプリング・マウンテン 1973年
・フリーマーク・アベイ 1972年
・ヴィーダー・クレスト 1972年
・デイヴィッド・ブルース 1973年


赤ワインの部(カベルネ・ソーヴィニヨン系ワインが10本)

フランス(全てボルドーのメドック格付けワイン)
・ムートン・ロートシルト 1970年 (1級)
・オー・ブリオン 1970年 (1級)
・モンローズ 1970年 (2級)
・レオヴィル・ラス・カーズ 1971年 (2級)

カリフォルニア
・スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ 1973年 
・リッジ・モンテ・ベロ 1971年
・マヤカマス 1971年
・クロ・デュ・ヴァル 1972年
・ハイツ・マーサズ・ヴィンヤード 1970年
・フリーマーク・アビー 1969年
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カリフォルニアワインと言えば、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンが有名です。フランスの最高級のシャルドネの産地といえばブルゴーニュ、そして、最高級のカベルネ・ソーヴィニヨンの産地と言えばボルドーです。ブルゴーニュワインには最高クラスのグランクリュやプルミエクリュが、ボルドーワインには最高格付けの1級と2級が含まれています。まさに、カリフォルニアとフランスの頂上対決と言ってもよいラインアップだと思います。


スパリュアは、イベントの審査員として、著名ワイナリーやレストランのオーナー、ワイン雑誌の編集長、ワイン行政の要人など、フランスのワイン業界を代表する蒼々たる顔ぶれを選びます。

そして、結果は大方の予想を覆し、白ワイン部門、赤ワイン部門ともにカリフォルニアワインが最高得点を獲得します。

このカリフォルニアワインの歴史的な快挙は、有名なギリシャ神話の挿話になぞらえて「パリスの審判」と呼ばれています。

この物語は、「パリスの審判」が行われた経緯とともに、カリフォルニアを代表する白ワインの1つに選ばれたシャトー・モントレーナ(Chateau Montelena)で働く人たちの苦悩や成長を中心に話が展開されています。

ワイン好きには是非おすすめの1本です。


<この作品の特徴や見どころ>


・ワイン学習者にはお馴染みの「パリスの審判」がわかります。(色々脚色されていると思われる部分もありますが)

・当時のフランスワインとカリフォルニアワインの世界的な評価がわかります。

・ブドウ栽培やワイン醸造にはあまり時間は割かれていませんが、アメリカの広大なワインの畑の雰囲気が分かります。

・音声は英語なので、ワイン英語のリスニング学習にもなります。

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4. おかえり、ブルゴーニュへ(原題:Ce qui nous lie)[映画]





世界でも最も有名なワイン産地の1つであるフランスのブルゴーニュを舞台とした2017年のフランス映画です。

父親が末期の状態であることを知り、家族とは音信不通だった長男のジャンが、故郷ブルゴーニュへと戻るところから物語は始まります。

フランス・ブルゴーニュのにコート・ド・ボーヌに1級畑を所有するドメーヌの長男として育ったジャンは、10年前、世界を旅するために故郷を飛び出し、家族のもとを去りました。

家業を受け継ぐ妹のジュリエットと、別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミーとの久々の再会もつかの間、父親は亡くなってしまいます。

残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐってさまざまな課題が出てくるなか、父親が亡くなってから初めてのブドウの収穫時期を迎えます。それぞれが互いには打ち明けられない悩みや問題を抱えながら、3人は自分たちなりのワインを作り出そうと協力し合います。

この作品は、ブルゴーニュの四季折々の美しいブドウ畑を映像に収めつつ、ドメーヌでのブドウ栽培およびワイン醸造の1年が描写されており、ワイン学習をしている人なら誰でも参考になる1本です。私は、ブドウ収穫やワイン醸造の作業を書籍の文章や写真でしか見たことがなかったのですが、実際に映像で見ることができてとてもイメージがしやすくなりました。


<この作品の特徴や見どころ>


・ブルゴーニュの美しい四季を映像を通してみることができてテンションがあがります。

・ドメーヌで行われるブドウ栽培やワイン醸造がリアルに描かれているので、ワイン学習の参考になります。

・ワイン好きでなくても十分楽しめるようなしっかりした人間ドラマです。














5. サイドウェイ(Sideways)[映画]





カリフォルニア州サンタバーバラのワイナリーの、のどかで美しい田園風景を舞台に、「サイドウェイ=人生の寄り道」を描いた映画です。

主人公は、ワインをこよなく愛する小説家志望のダメ男のマイルズ。

離婚のショックからまだ立ち直れないマイルズは、親友のジャックとワインやゴルフ三昧の気ままな男二人旅に出かけます。

マイルズの目的は人生の憂さを大好きなワインに夢中になることで粉らせようとすることです。

しかし、売れない俳優のジャックは目前に結婚を控えているにもかかわらず、女をひっかけることしか頭にありません。

そんなマイルズは旅の途中で、ワイン好きの魅力的な女性マヤと出会います。マヤの友人でワイナリーで働くステファニーも含んで、4人の間にさまざまな事件が起こります。

そして、旅ははいつしか人生のピークを過ぎたダメ男が自分自身を見つめ直すものへと変わっていきます。


こんな人間模様を描いた作品ですが、この作品ではワインにもしっかりフォーカスが当たっており、シュヴァル・ブランやサッシカイアなどの高級ワインとともにワインの話題が次から次へと飛び出してきます。

また、ピノノワールを愛するマイルズが語るワインに関する蘊蓄もこの作品の魅力です。

アカデミー賞で脚色賞を、第62回ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞した作品ですが、この作品の社会的な影響も大きく、舞台となったサンタバーバラへは映画を見た旅行客が増えたそうです。また、メルローを貶めてピノノワールを褒めるマイルズの影響で、米国西部では、ピノノワールの販売量が増える一方で、メルローの販売量が減ったとのデータもあるようです。



<この作品の特徴や見どころ>


・アカデミー賞で脚色賞を、第62回ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞した作品です。

・アメリカのワイン産地のカリフォルニア州サンタバーバラの雰囲気がわかります。

・物語とワインの両方にバランスよくフォーカスが当てられているので、ワイン好きなら両方楽しめます。


 


この作品には、日本リメイク版『サイドウェイズ』もあり、日本人キャスト鈴木京香、菊池凛子、小日向文世、生瀬勝久の主演で、2009年に公開されています。

<日本リメイク版>








6. プロヴァンスの贈りもの(原題:A Good Year) [映画]





『グラディエーター』のリドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演のロマンティック・コメディです。

ロンドンのトレーダーであるマックスは、叔父の遺産相続のため少年時代ぶりに南仏プロヴァンスを訪れます。遺産は、ワイン醸造家をしていた叔父の住んでいた古びた豪邸と、ブドウ畑。やり手トレーダーのマックスは、金融商品を扱うかのように叔父から引き継ぐ遺産を売却することを考えます。

だが、シャトーに来たとたん、少年時代の思い出が次々に蘇り、少しずつ心が揺らぎます。そして、地元でレストランを経営するファニーとの出会いもまた彼に大きな影響を与えます。ロンドンから来た当初は馴染めなかったプロヴァンスでの生活も、その陽気な気候や充実したワインや食生活、そして人間関係を経験するなかで少しずつ彼の中で何かが変わり始めてきます。

この映画のテーマは単なる男女の恋愛ではなく、人生にとって何が大切なのかという価値観です。

そして、マックスはロンドンの殺伐とはしているが刺激的な生活を選ぶのか?それとも、プロヴァンスの田舎での刺激は少ないが人間関係の充実した生活を選ぶのか?


この作品は、フランス南部プロヴァンスにぶどう農園を所有しているリドリー・スコット監督が、「ガレージ・ワイン」(メジャーではないがその高品質により高値で取引される希少生産ワイン)の噂話を友人の有名な作家ピーター・メイルに持ちかけて、メイルがその話を元に小説を執筆し、スコットが映画化することとなったものだそうです。



そのため、ワインやブドウ栽培の話も作品の随所に登場します。「Le Coin Perdu(コアンペルデュ)」という名のガレージ・ワインが物語の1つの鍵を握りますが、これは実際にChateau La Canorgue(シャトー・ラ・カノルグ)という生産者が造るワインとして存在します。このシャトーはAOC Luberon(リュベロン)の名を持ち、地域的には南ローヌとプロヴァンスの間位に位置していると思われます。


<この作品の特徴や見どころ>


・美しい南仏のプロヴァンスの景色や生活が描写された作品です。

・世界的ヒットメーカーのリドリー・スコット監督の作品で、主演はラッセル・クロウ、ヒロインはTAXIシリーズでもお馴染みのマリオン・コティヤールで、見ごたえ十分です。

・ブドウ栽培やワイン醸造とともに歩む人生という価値観を考えさせられます。



 









7. 日本のワインで奇跡を起こす 山梨のブドウ「甲州」 [書籍]




日本固有種であるブドウ「甲州」にこだわってワイン造りを進める伝統ワイナリーの父娘の挑戦のドキュメンタリーです。

私がこの本を手に取ったきっかけは、ある日本ワインのテイスティングをしたことでした。そのワインは日本固有種である「甲州」から造られた白ワインでした。

その頃私が「甲州」ワインに持っていた印象は、「薄い、味がしない、水っぽい」という印象でした。しかし、その時飲んだ甲州ワインは、爽やかで、果実の香りがしっかりして、酸味も豊かなもので、リースリングやソーヴィニヨン・ブランと間違えてしまうくらい、私が持っていた「甲州」のネガティブなイメージを覆すものでした。

そのワインは「グレイス甲州(2017)」。

この書籍の著者である、三澤親子が経営する中央葡萄酒株式会社が造ったワインでした。







書籍を読んでなぜこのワインがこんなにも美味しかったのかがよく分かりました。中央葡萄酒は、2014年には「キュヴェ三澤」で、世界で最も権威があるといわれるワインコンクール「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)」金賞を日本で初めて受賞し、その後も世界屈指のコンクールで様々な賞を受賞した革新的なワイナリーだったのです。


この書籍は2部構成で、第1部を父であり中央葡萄酒株式会社代表取締役社長である三澤茂計氏が、第2部は娘であり同社の取締役栽培醸造責任者を務める三澤彩奈氏が担当をしています。

個人的な感想ですが、第1部は少し説明的な文章が多いことと、日本ワイン不遇の時代について書かれていることから、読書のペースはあまり順調には進みませんでした。しかし第2部は、若くてエネルギーにあふれた彩奈氏の活動と、それに伴い「甲州」ワインが飛躍していく内容で、あっという間に読み終えてしまいました。

読み終えた後は、再び同社の「甲州」ワインが飲みたくなるような内容でした。


<この書籍の特徴や見どころ>


・日本ワインのこれまでの歴史と、今、世界に追いつくためにどのような試みが行われているのかが、勝沼での活動を中心にわかります。

・日本固有のブドウ品種である「甲州」の特徴と、これからの可能性がわかります。

・ブドウ栽培やワイン醸造の選び方によって、出来上がるワインにどのような影響があるかまで具体的に書かれておりワイン学習者にとっては勉強になります。

・ワイン醸造者やワイナリー経験者の生活や苦労がわかります。

・日本ワインの挑戦に勇気づけられます。




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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の機械化」

WSETレベル3のテキスト購入方法とテキスト電子化のメリット

WSET英語学習 の難しさはの1つは、 テキストの記述が全て英語 であることです。 テキストが英語だと、やっぱり 内容の理解度が落ちます 。知らない単語を辞書で調べて...翻訳をして...と読み込んでいくのですが、部分的に言い回しが微妙だったり、細かいニュアンスが伝わらなかったりで、理解が難しい文章がいくつかありました。 <理解度対策は、日本語テキストの購入がおすすめ!> 理解度の問題を解決するために私がとった方法は「WSETレベル3日本語テキストの購入」でした。 ワインスクールでWSETレベル3を受ける場合、英語クラスを選択すると、英語テキストが配布されます。 しかし私はこれに加えて、日本語テキストを購入しました。ワインスクールでも購入ができるようなのですが、受講開始前に手にしておきたかったために個人的にWSETの公式ウェブサイト( https://shop.wsetglobal.com/collections/books )から購入しました。 注文から2週間ほどで手元に届いたと思います。レベル3のテキスト自体は £44.95 GBP でしたが、送料に £17.21 GBP かかり、合計費用は £62.16 GBP (8,300円程度) でした。 もう少し安く購入する方法としては、時々 メルカリ に出品されているものを購入する方法もありますが、常に売りに出されているわけではないのであまり期待できないかもしれません。 Amazonでも時々、中古品がでているのでここで検索するのも良いかもしれません。→  https://amzn.to/3YSx0xy  (Amazonへのリンクです) <情報検索にはテキストの電子化がおすすめ!> テキストが英語であることの問題がもう1つありました。それは、 知りたい情報を探すのが大変 であるということでした。 例えば、「カベルネ・ソーヴィニヨン」の産地ごとの特徴を知りたい場合、その情報は様々な章に分散されて書かれていました。醸造工程の章、ボルドーの章、アメリカの章などです。 日本語であれば、走り読みをしながらキーワードを探せばそれほど大変な作業ではありません。しかし、英語ネイティブでない私にとって、英語でこれをやるのはとても大変な作業でした。 英語テキストの情報検索の問題を解決する

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(=接ぎ木

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。

良いワインの条件とは?WSETのBLIC

ワインの 「品質レベル」 を学ぶことは、WSETのカリキュラムに従ってワインを学ぶ醍醐味の1つだと思います。 「品質レベル」 とは、その ワインの品質の高さ です。つまり、良いワインなのか、そうではないワインなのかということです。 WSETには「品質レベル」を評価する考え方として、「BLIC」という方法があるそうです。 BLICとは、Balance(バランス), Length(余韻), Intensity(凝縮度), Complexity(複雑さ)の頭文字です。 一般に、 これら4つの評価基準を全て満たしているワインは「素晴らしい(outstanding)」ワイン、3つを満たすものは「非常に良い(very good)」ワイン、2つを満たすものは「良い(good)」ワイン、1つしか満たさないものは「妥当な(acceptable)」ワインと言われるようです。そして、1つも満たさないものは「悪い(poor)」ワインです。 (※これは1つのガイドラインであって、必ずしもこの点数だけで厳密にはこの点数だけでワインの評価はできないそうです) 私もWSETを通してこの考え方を学びましたが、「なるほど!便利!わかりやすい!」と思いました。 しかし、実際にそれを実践しようとするとなかなかわかりにくかった部分もあったので、個人的な感想を紹介したいと思います。 Balance まず1つめは、4つの評価基準のうち、もっとも基本的な基準の 「バランス」 です。この「バランス」を満たしていない場合、ほとんどのワインは「悪い」ワインとみなされてしまいます。 バランスとは、例えば、次のようなポイントで評価がされるようです。 ・(果実味+糖分) vs (酸味+タンニン)はバランスがとれているか? ・甘味、酸味、タンニン、アルコールのいずれかが突出していないか? ・オークの香りが突出していないか? WSETをやり始めたころは、何が「正しいバランスなのか?」を判断することがとても大変でした。それはWSETを始めるまでに、あまりワインの品質について考えることがなかったからです。 しかし、いくつもテイスティングを重ねて、良いワインと言われるものをいくつか味わって、なんとなく「バランス」というものがわかってきたような気がしました。 多くのワインがバランスを満たしていると思うのですが、個人的には... ・寒い地

ワインから感じられる「醤油」の香り!?

ワインから醤油の香りを感じたことはないでしょうか? 私は時々、フルボディの赤ワインから醤油を連想させる香りを感じることがありました。 特にある種のシラーワインの香りをとると、どうしても醤油にしか感じられないことが何度かありました。 しかし、日本由来の調味料である「醤油」など、ワインの表現として役に立つことはないだろうと、ずっと自分の心にだけとどめておきました…。 それから暫くたって、先日あるウェブサイトで「醤油(Soy sauce)」がテイスティング用語として説明されているのを見つけて驚きました! それが時々参考にしている「Decanter」のこのページ( https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/ )。「Fermentation / Winemaking(発酵/ワイン醸造)」のカテゴリのテイスティング用語として、なんと!「Soy sauce」が説明されていました。 このページによれば、醤油は肉のような旨味を表す表現用語であり、一般的に辛口でフルボディの赤ワインで、酸味が強く、樽熟成が進んでいるものを表すようです。例えば、リオハのテンプラニーリョや、ピエモンテのバルベーラ、サンジョヴェーゼを用いたキアンティなどです。 醤油の旨味は発酵中にタンパク質が分解されることで生まれます。ワイン醸造においても、同様に、ブドウのタンパク質が酵母の働きで分解され、この旨味の風味が生まれると考えられているようです。 このページではシラーのワインは例としてあげられていませんでしたが、辛口、フルボディ、赤ワイン、酸味が強い、という条件を満たしていたために、醤油の風味が感じられたのかもしれません。

WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ?

ある程度、体系的にワインの事を学びたいと思ったらワインの資格取得はおすすめです。 資格を取得するためには決められた範囲を満遍なく学ばなければならないために、試験勉強を終えた頃にはしっかりと 体系立ったワインの知識 が頭の中に残ります。 メジャーなワイン資格といえば何と言っても、日本ソムリエ協会(JSA)の運営する ソムリエ・ワインエキスパート試験 。これはおそらく日本でもっとも有名なワイン資格です。大雑把に言うと、ソムリエ試験はソムリエ向け、ワインエキスパートは私のようなそれ以外の受験者向けです。 そしてもう一つ、世界的にメジャーなワイン資格といえば、 WSET 。この資格はレベル1〜4までありますが、JSAソムリエ・ワインエキスパート資格と同等レベルと言われるのはWSETレベル3です。WSETレベル3は、レベル2を取得していなくても取得が可能ですが、レベル4を取得するにはレベル3の取得が必須です。 私はこの「JSAワインエキスパート」と「WSETレベル3」の両方を受験しましたが、実際に経験をしてみて様々な違いを感じました。 違いは様々ありますが、一番違いを感じたのは学習内容。 ・JSAワインエキスパート=膨大な情報の詰め込み ・WSET=なぜ?なぜ?なぜ?を突き詰める こんなイメージです。 JSAワインエキスパートではとにかくワインの名前や、世界の地理、 ワインの色、品種、格付けなど覚えることが盛りだくさんです。 代表的な例は、ボルドーメドックの格付け1級〜5級を全て覚えなければならないことです。 一方、WSETでは覚えることは各地、各国の代表的な産地やワインくらい。 その反面、 なぜそこでそのようなワインが作られていて、 なぜそのようなブドウが作られているのか? なぜ、そのようなブドウ栽培方法がとられているのか? など、ひたすら理由を追求して、試験ではそれを文章で説明しなければなりません。 この2つは、 ・「知識の幅」 (JSA) ・「知識の深さ」 (WSET) というそれぞれの強みがあるために、 両方学ぶ事で一段とワインへの理解が深まります。 私は、JSAワインエキスパートを合格した後にWSETを受講したのですが、 JSAで詰め込みで覚

ワインから感じられるバナナの香りとは?

特定のワインはバナナの香りを持っていると言われます。 例えば、マセラシオン・カルボニック製法で造られたボージョレワイン、南アフリカのピノタージュ、スペインのガリシア地方で造られるアルバリーニョなどが該当します。 バナナの香りの元となる化学物質は酢酸イソアミル(isoamyl acetate)と呼ばれるエステルです。この物質は、マセラシオン・カルボニックの副産物として、または、通常のアルコール発酵において酵母から発生すると言われています。酢酸イソアミルの香りは、洋ナシや風船ガムの香りとも形容されます。 (関連記事: 【ワインの表現用語】Pear(洋ナシ)、Pear drop(洋ナシ香味のキャンディー)の香りとは? ) 酢酸イソアミルに代表されるワイン中のエステルは、特に低温(例えば15°C前後)で発酵された場合に多く発生すると言われています。 エステルは、ワインにフレッシュでフルーティなアロをもたらすために、若いスタイルのワイン、特に白ワインには欠かせないと言われています。 そのため、多くの白ワインでは赤ワインよりも低い発酵温度が好まれるとも言われます。 反対に、白ワインの中でもフレッシュでフルーティーな香りが好まれないワインでは、やや高めの発酵温度(例えば、17~25°Cなど)で発酵を行い、エステルの生成が抑制されます。