ロワール地方のアンジュ&ソミュール地区は、ロゼワインの製造で有名な地域です。 この地域で造られる主要なロゼワインと言えば次の3つです: ・ロゼ・ド・ロワール(Rosé de Loire) ・ロゼ・ダンジュ(Rosé d’Anjou) ・カベルネ・ダンジュ(Cabernet d’Anjou) この3つのロゼワインの特徴を簡単にまとめてみました。 使用されるブドウ品種 まず、試用されるブドウ品種ですが、それぞれに違いがあります。 ロゼ・ド・ロワール ではさまざまな黒ブドウ品種の利用が認められています。 具体的なブドウ品種をあげると、カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ガメイ、グロロー、コット(マルベック)、ピノノワール、ピノドニスです。 これはもしかしたら、ロゼ・ド・ロワールが他のロゼと比べて、製造範囲が広域であることと関係しているのかもしれません。 ロゼ・ダンジュ では、主に グロロー(grolleau) という黒ブドウ品種が使用されます。 このブドウ品種は、ロワール地方で栽培される主要ブドウ品種の1つであり、その名は黒色に近い見た目から、フランス語でカラスを表す「grolle」に由来しているのだとか。 しかし、特徴や凝縮感に欠けるため、赤ワインの製造には適しておらず、AOCワインとしては主にロゼワインの製造に用いられているようです。 アンジュを代表するロゼワインは、ロワールを代表する品種の1つであるグロローから造られています。 そして最後に、 カベルネ・ダンジュ は、その名の通り「カベルネ」を冠する2種類のブドウである カベルネフラン と カベルネソーヴィニヨン から造られています。 生産可能地域 生産地域の中心は、どのロゼワインも アンジュ&ソミュール 地域です。 しかし、 ロゼ・ド・ロワール のみが、アンジュ&ソミュール地域に加えて、隣のトゥーレーヌ地域でも生産は可能です。 ワインスタイル ロゼ・ド・ロワール は3つのうち、最も残糖が少なく、基本的には 辛口(ドライ) であるようです。 また、色合いは 淡く、フレッシュでフルーティー な早飲みタイプのものが多いようです。 ロゼ・ダンジュ も、ロゼ・ド・ロワールのように 淡い色合いで、フレッシュ&フルーティー ですが、一定量の残糖があるものが多く、半甘口であるようです。 カベルネ・ダンジュ は、ロゼ・...
イタリアのDOCG暗記は大変な作業ですが、トスカーナ州はその中でも暗記が大変な地域の1つです。
その理由は、この州が、ピエモンテ州、ヴェネト州に次いで、3番目に多いDOCGの数を抱えているためです。
私がJSAソムリエ・ワインエキスパートを受験した時は、トスカーナ全体で11のDOCGがありました。JSA試験の場合、トスカーナのDOCGは、大体の位置を含めて、全て暗記しておくことがおすすめです。(トスカーナ、ヴェネト、ピエモンテのDOCGは頻出です)
一見大変なトスカーナ州のDOCG暗記作業ですが、暗記をする際は地域を3つに分けるのがおすすめです。
3つの地域は、「北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯」、「南部の温暖な気候の丘陵と渓谷」、そして、「沿岸部の平野」です。
各地域のDOCG
【北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯】(DOCG4つ)
この地域には、ピサ市、フィレンツェ、シエナの3つの都市に広がる広大なキアンティ(Chianti)DOCGの生産地域が広がります。
キアンティの中心部のより標高の高い地域には、キアンティ・クラシコ(Chianti Classico)DOCGが存在します。ここでは、ブドウの成熟が遅くなり酸味が増してその結果、より質の高いワインが生まれます。気をつけなければならないのは、キアンティ・クラシコDOCGは、キアンティDOCGに含まれる小地区ではなく、独立したDOCGであるということです。
キアンティ・クラシコのDOCGの西側には、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)DOCGが位置します。これはトスカーナで唯一白ワインを生産できるDOCGです。
さらに、この地域の北部には、カルミニャーノ(Carmignano)DOCGが位置します。これは、1716年にトスカーナ大公コジモ3世によって、世界最初の原産地保護の例として生産地域の境界線が引かれた4つのワイン産地の1つです。他の3つのワイン産地は、キアンティ、ポミーノ(Pomino)、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラ(Val d'Arno di Sopra)です。
【南部の温暖な気候の丘陵と渓谷】(DOCG4つ)
トスカーナ南部のブドウ栽培地は、北部の畑よりも標高が低く、気候も温暖になります。一方で、南西から吹く冷たい海洋性の風により温暖な気候は緩和されます。
この地域の伝統的なDOCGワインは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)DOCGとヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano)DOCGです。
さらに南部には、比較的新しいDOCGのモンテクッコ・サンジョヴェーゼ(Montecucco Sangiovese)、モレッリーノ・ディ・スカンサーノ(Morellino di Scansano)が存在します。
この地域のDOCGも全てサンジョヴェーゼを主体とした赤ワインです(モレッリーノ・ディ・スカンサーノの主要品種であるモレッリーノ(Morellino)はサンジョヴェーゼの亜種と言われています)。南部のワインは温暖な気候のおかげで、北部のワインよりも凝縮されてボディも重厚になることが多いと言われています。
偶然なのか、この地域のDOCGは名称が「Mo」から始まるものが多いのも特徴です。
【沿岸部の平野】(DOCG3つ)
沿岸地域は比較的平たんで、ブドウ畑は海風によって冷やされます。ここは、「スーパー・タスカン(Super-Tuscan)」(モダンスタイルのイタリアワイン)が誕生した地であり、ボルドー原産の黒ブドウ品種やその他多数の国際的な品種が広く栽培されていることが特徴です。また、新しいDOCGが多いことも特徴です。
ここには、ロッソ・デッラ・ヴァル・ディ・コルニア/ヴァル・ディ・コルニア・ロッソ(Rosso della Val di Cornia/ Val di Comia Rosso)DOCG、スヴェレート(Suvereto)DOCGが存在します。両者ともに、国際品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの使用が認められています。
エルバ島には、エルバ・アレアティコ・パッシート/アレアティコ・パッシート・デッレルバ(Elba Aleatico Passito/ Aleatico Passito dell'Elba)DOCGというアレアティコ(Aleatico)を主体とした陰干しブドウから造った甘口ワイン(Passito)のDOCGがあります。
主要なワインの熟成規定
トスカーナのDOCGワインのいくつかには熟成規定があります。
JSAワインエキスパート試験の時にはほとんど覚えずに試験に臨みましたが、WSETレベル3の場合は出題される可能性が高いのが、この主なワインの熟成規定(年数)です。
主要なワインの熟成規定を紹介します。
キアンティ・クラッシコDOCG
キアンティ・クラッシコDOCGのワインは、販売前に12ヵ月間熟成させなければなりません。
キアンティ・クラッシコDOCGの中には、キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ(Reserva)と呼ばれる通常の熟成規定よりも長く熟成したワインがありますが、これを名乗るためには24ヵ月の熟成が必要です。さらにそのうち少なくとも3ヵ月は瓶熟成が必要とされます。
キャンティ・クラッシコDOCGの最高水準のワインは、キアンティ・クラッシコ・セレツィオーネ(Gran Selezione)と呼ばれ、単一エステートのブドウから造られます。このワインは、最低30ヵ月の熟成と、そのうち少なくとも3ヵ月の熟成規定が定められています。
その他の主なDOCGの熟成期間
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCGのワインは、規定によって、サンジョヴェーゼ種だけで造り、販売前に最低5年間の熟成期間を経る必要があり、そのうち2年はオークで熟成させなければならないことが定められています。
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノDOCGのワインは、サンジョヴェーゼ種と他の許可されている品種をブレンドして造ることができ、販売前に最低2年間熟成させなければならないことが規定されています。