今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
ピエモンテ(Piemonte)州は、イタリアの中で最もDOCGの数の多い州です。
私がJSAソムリエ・ワインエキスパート試験の学習をしたときは、全部で17のDOCGがありました。
ピエモンテ州のDOCGの栽培地域は特に南部で複雑に入り組んでいるために、主要品種ごとに覚えるのがおすすめです。
【DOCG】
ネッビオーロ(Nebbiolo)のDOCG
ネッビオーロ種は、酸味が高く、タンニンが多いが、色はあまりつかない黒ブドウです。熟成すると、サワーチェリー、ハーブ、ときにはドライフラワーの芳しい香りを醸し出します。
ピエモンテ北部には、この品種から造られるゲンメ(Ghemme)DOCGとガッティナーラ(Gattinara)DOCGがあります。この地域ではネッビオーロは、スパンナ(Spanna)とも呼ばれています。
ピエモンテ南部のクーネオ(Cuneo)県には、ネッビオーロ種から造られるイタリアでも屈指の知名度を誇るバローロ(Barolo)DOCG、バルバレスコ(Barbaresco)DOCGがあります。両者ともに、ブドウがその村だけで産出されたものである場合は、Barolo Serralunga d'Albaのように村名がラベルに記載されることがります。
バルベーラ(Barbera)のDOCG
バルベーラ種はピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。晩熟で、中程度から濃い色をしていて、タンニンのレベルは低から中程度、酸味は高く、レッドチェリーやプラム、ときには黒コショウの香りを呈する黒ブドウ品種です。
ピエモンテ南部には、この品種から造られるBarbera d’Asti(バルベーラ・ダスティ)DOCG、Nizza(ニッツァ)DOCG、Barbera del Monferrato Superiore(バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレ)DOCGの3つのDOCGがあります。ニッツァDOCGは、バルベーラ・ダスティのサブゾーンから独立したDOCGです。
ドルチェット(Dolcetto)のDOCG
ドルチェットもピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。色が濃くて、たいていは紫色で、タンニンのレベルは中程度から多く、中程度の酸味を持ち、ブラックプラム、レッドチェリー、乾燥ハーブの香りを呈する黒ブドウ品種です。
ピエモンテ南部には、この品種から造られるDogliani(ドリアーニ)DOCG、Dolcetto di Diano d’Alba(ドルチェット・ディ・ディアーノ・ダルバ)DOCG、Dolcetto di Ovada(ドルチェット・ディ・オヴァーダ)Superiore DOCGという3つのDOCGがあります。
主要な白ワイン、赤白ワインのDOCG
ピエモンテ南部には、モスカート・ビアンコ(Moscato Bianco)種から造られる甘口白ワインのAsti(アスティ)DOCGと、コルテーゼ(Cortese)種から造られる白ワインのガヴィ/コルテーゼ・ディ・ガヴィ(Gavi/ Cortese di Gavi)DOCGがあります。
また、ピエモンテ州では唯一赤ワインと白ワインを造ることができるロエーロ(Roero)DOCGもピエモンテ南部にあります。赤ワインはネッビオーロ種から、白ワインはアルネイス(Arneis)種から造られます。
その他のDOCG
ピエモンテにはその他、次のようなDOCGがあります:
・エルバルーチェ・ディ・カルーソ/カルーソ(Erbaluce di Caluso/ Caluso)DOCG
・ブラケット・ダックイ(Brachetto d’Acqui)DOCG
・ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート(Ruche di Castagnole Monferrato)DOCG
・アルタ・ランガ(Alta Langa)DOCG
【主要なDOC】
アスティ(Asti)とアルバ(Alba)近郊のDOC
アスティとアルバの周辺では広域に渡って上述のDOCGや、DOCが生産されています。こうした呼称の大半は、ブドウ品種の後に一番近い町名をつけて命名されています。
DOCGではありませんが、アルバの近くではバルベーラとドルチェットが栽培されており、バルベーラ・ダルバ(Barbera d’Alba)DOC、ドルチェット・ダルバ(Dolchetto d’Alba)DOCがあります。
また、アスティ近郊でもバルベーラとドルチェットが栽培されており、ドルチェット・ダスティ(Dolchetto d’Alba)DOCがあります。バルベーラの栽培地域は、上述のバルベーラ・ダスティDOCGがあります。
【アスティとアルバ付近のDOCG略図】
【バローロ、バルバレスコの熟成規定】
バローロは販売前に3年間熟成させなければならず、そのうち18ヵ月はオークを使って熟成させる必要があります。バローロはきついタンニンを和らげるためにオークの大樽での規定期間以上の熟成が伝統的に行われてきました。しかし、今では熟成させずともより柔らかいタンニンを持つようにできるようになったために、より短い熟成期間が選ばれているようです。
一方、バルバレスコは販売前に2年間熟成させなければならず、そのうち9ヵ月はオークでの熟成が必要です。