タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
「variety = 品種」です。
有名なブドウ品種である、Cabernet Sauvignon, Pinot Noir, Sauvignon Blanc, Rieslingなどがこれにあたります。
複数形は、「verieties」で、次のように使われます。
--------------
There are thousands of grape varieties belonging to the V.vinifera species.
(ヴィティス・ヴィニフェラ種に属するブドウ品種は何千もある。)
--------------
Species
varietyと混同しやすい言葉として、「species」という言葉があります。「species = 種」と訳されます。
ワインに使われるブドウのほとんどは、「Vitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)種」に属します。先ほど挙げた、Cabernet Sauvignon, Pinot Noir, Sauvignon Blanc, Rieslingも全て、このVitis vinifera種に属します。また、日本固有の品種の中では唯一、甲州種がVitis vinifera種と言われています。
ブドウの種(grape species)には他にも、Vitis riparia種, Vitis berlandieri種, Vitis rupestris種, Vitis champini種などがあります。これらは、vitis viniferaとは違い、多くは台木として使われます。
「species」は単複同形で、単数でも複数でもその形はかわりません。
--------------
Vitis vinifera is a species of Vitis, native to the Mediterranean region, central Europe, and southwestern Asia, from Morocco and Portugal north to southern Germany
There are many different species of vine that have evolved throughout the world
--------------
Clone
関連する言葉としてもう一つ「Clone = クローン(分枝系)」があります。
広辞苑によればクローンは、「1個の細胞または生物から無性生殖的に増殖した生物の一群。また、遺伝子組成が完全に等しい遺伝子・細胞または生物の集団。栄養系。分枝系。クロン。」と説明されています。
しかし、ブドウの栽培においては、「特定の独特の特徴を表す個々のブドウ樹もしくはその集団」のことをクローンと呼ぶそうです。遺伝的に同一(同じブドウ品種=variety)であるにも関わらず、「特定の独特の特徴を表す個々のブドウ樹もしくはその集団」がある場合、それぞれは異なる名前で呼ばれます。
例えばPinot Noirには「Pinot Noir Clone 115」や「Pinot Noir Clone 521」というクローンがあります。前者は実が小さく収穫量が少ないという特徴がありますが、後者は大きな実をつけて収穫量が大きいという異なる特徴を持っています。
このような特徴の違いは、成長過程の突然変異によって引き起こされます。この突然変異による特徴の違いが大きい場合、クローンであったても新しい品種として扱われる場合もあります。
例えば、Pinot Noir, Pinot Meunier, Pinot Blanc, Pinot Grisのブドウ品種は、全て同一のブドウ品種の突然変異により生まれたと言われています。