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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

酒類飲料概論1-2の感想(ブドウの生育サイクルと栽培作業など)

第2回は引き続き酒類飲料概論1です

内容は、ブドウの栽培。
全体の流れは、前回の小テスト → テキスト解説(1時間程度) → テイスティング(1時間程度)


全体的な印象:
  • 一次試験対策部分は、独学でもできそうです。
  • 二次試験対策(テイスティング)は、コツが分かってきてどのような部分をどのように評価をして回答をすればよいかのイメージがつかめてきました。

良いと思った点:

  • 小テストはどの範囲も満遍なく復習してくモチベーションになるのでGood!独学だと、どうしても頻出分野の復習に偏ってしまうので、弱点分野ができがちです。
  • テイスティングは、引き続き第1回と同様の内容でしたが、同じことを繰り返していくと、だんだん注目するポイントや、それをどのように回答に結び付けたらいいかが分かってきて良いです。あとは、3,000円前後のワインを毎回4種類テイスティングできるのが良いです。自分でそろえるのはなかなか大変なので。

いまいちな点:
  • テキスト解説は独学でもできそうな内容。特に、「ブドウの栽培」は統計情報のように年によって変わるものではないので、スクールで最新の情報を教えてもらう必要はありません。


今回の重要ポイントのまとめです!

●ブドウの品種

ヴィティス・ヴィニフェラ
・中近東原産
・ワイン醸造に適し、耐病性が強い
・乾燥した気候に適応し、湿気の多い気候に弱い

ヴィティス・ラブルスカ
・北米大陸原産
・湿った気候に適応し、耐病性が強い
・フォキシーフレーヴァーと呼ばれる香りが出る


●ブドウの断面図 

果皮・・・色素(アシトシアニン類)が豊富に含まれる
果肉(果皮の内側)・・・糖度が高い部分
果肉(種子の間)・・・酸が高い部分
種子・・・ポリフェノール(タンニンなど)が豊富に含まれる


●ブドウの選抜

・マサルセレクション(集団選抜)・・・性質の良い複数の株から枝を取り、苗を作って植える方法。遺伝子の多様性が見込める。
・クローンセレクション・・・性質の良い株から挿し木で同じ遺伝子の苗を作り選抜をすること。


●栽培に適する条件

年平均温度(ブドウ一般): 10~20℃
年平均温度(ワイン用): 10~16℃
緯度: 北緯30~50度、南緯30~50度
日照時間(生育期間): 1000~1500時間
※光合成には、最低限の日照と気温が必要
年間降雨量: 500~900mm
土地: 排水性の良い団粒構造。痩せた砂利、礫質土壌、斜面など。


●ブドウの生育サイクルと栽培作業

11月 休眠
11~12月 土寄せ(Buttage ビュタージュ)
1~3月 剪定(Taille タイユ)
3月 樹液の溢出(Pleurs プルール)
4月 発芽(Débourrement デブールマン)→ 畝[うね]くずし(Débuttage デビュタージュ)
5月 展葉(Feuillaison フイエゾン)、蕾(Bourgeon à fleurs ブルジョン ア フルール)
6月 開花(Floraison フロレゾン)→ 新梢の固定(Accolage アコラージュ)
   結実(Nouaison ヌエゾン)→ 夏季選定(Rognage ロニャージュ)
7~8月 色付き[着色期](Véraison ヴェレゾン)
8~9月 成熟(Maruritéマチュリテ)
9~10月 収獲(Vendange ヴァンダンジュ)


ブドウの育成と作業の流れは、チャートにまとめると覚えやすいと思います。

ポイントは、
・ブドウ樹の休眠期間=4か月間
・ブドウ樹の育成期間=4か月間
・果実の育成=4か月間
です。



また、各工程のフランス語は次のような語呂合わせを用いて覚えました。

「ブドウのライフサイクル」からの本試験での出題は、各工程のフランス語の意味を答えさせるものが多いと聞いたことがあります。






●手摘み

長所

・傷つき帽子
・選果可能
・機械収獲でできないところも摘める


短所

・熟練者の手配が困難
・作業時間が長い
・労働コストが高い


●ブドウの栽培方法(仕立て方)

垣根仕立て(ギヨ・サンプル、ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤ)
・世界的に広く採用
・ボルドー、ブルゴーニュ、ドイツ、イタリアなど

棒仕立て
・垣根を張ることのできない急斜面に適している
・モーゼル、北部ローヌなど

株仕立て
・乾燥地で多く採用
・南フランス、スペイン、ポルトガルなど

棚仕立て
・生食用ブドウ栽培に採用されることが多い
・降雨の多い日本、日差しの強いイタリア、ポルトガルの一部、エジプトなど


●ブドウの病気

ウドンコ病(1850年頃にヨーロッパに伝播)
・症状: 白色の粉上の胞子で覆われたようになり生育障害を引き起こす
・対処策: 硫黄を含む農薬

ベト病(1878年ヨーロッパで発見)
・症状: 白カビにより、落葉、落花、落果
・対処策: ボルドー液(硫酸銅+生石灰+水の混合溶液)

灰色カビ病
・症状: ボトリヌス・シネレア菌の影響で花や葉、果粒を灰色のカビが覆う
・対処策: イプロジオン水和液
※完熟気に付くと貴腐ブドウとなる

晩腐病
・症状: 収穫期のブドウを腐敗させる。淡褐色→紫褐色→腐敗・ミイラ化
・対処策: ベンレート液
※日本で最大の病害

ウイルス病
・ウイルスが植物、動物、昆虫、バクテリアを介してブドウに被害をもたらす
・ブドウリーフロール病(葉巻病)、フレック、コーキーバークなど

フィロキセラ(1863年~19世紀でヨーロッパで甚大な被害)
・1mmほどのアブラムシの一種(アメリカ→フランスに侵入)
・対処法:アメリカ産のブドウ樹(ヴィティス・ルペストリスなど)を台木にして接木

花振い
・悪天候や不適切な栽培管理などが原因の生理障害
・果粒が極端に少なくなったり、小粒の果粒のまま肥大しないなど



(参考記事:JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法



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ブドウ品種「ピクプール(Piquepoul)」とは?

ピクプール(Piquepoul) というブドウ品種について調べてみました。 この品種は、主にフランスのローヌ渓谷や、ラングドック地方、また、スペインのカタルーニャで栽培されているワイン用ブドウ品種です。萌芽が遅く、ウドンコ病の影響を受けやすい品種です。 ピクプールには果皮の色が異なる 「ピクプール・ノワール」 、 「ピクプール・ブラン」 、 「ピクプール・グリ」 の3種類があります。 ラングドック地方では長い歴史があり、最も古い土着品種の1つのようです。ここでは、ブレンドワインとヴァラエタルワインの両方に使われています。特に、ピクプール・ノワールから生産される赤ワインは、アルコール度数が高く、香りが豊かですが、非常に色が薄いため、ブレンドに使われることが多いようです。 ローヌ渓谷では、ピクプール・ノワール、ピクプール・ブランがシャトーヌフ・デュ・パプAOCのブレンド品種として許可されています。また、広域のコート・デュ・ローヌAOCにも使われています。 ピクプール・ノワール、ピクプール・ブラン、ピクプール・グリのうち、最もよく知られているものは「ピクプール・ブラン」であり、栽培面積は増加傾向にあるようです。 フランスだけではなく、ピクプール・ブランはカリフォルニア州ソノマやオーストラリアでも栽培がされているようです。 ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC ピクプールを使った最も有名なワインの1つはラングドック地方の 「ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC」 だと思います。 このワインは、その名が表す通り、ピクプール品種から造られており 「ピクプール・ブラン」100%の白ワイン です。しかし、品種( Piquepoul )とワイン名( Picpoul )で「ピクプール」のスペルが若干異なります。 この地域では、ピクプールはもともと主にベルモットのベースワインとして利用されていましたが、醸造技術の発展により、フルーティーなヴァラエタルワインとして造られるようになりました。 ピクプール・ブランは、温暖な気候にあっても成熟時に高い酸味を保持することができ、ピクプール・ド・ピネAOCワインは、高いレベルの酸味を持つことが特徴です。 レモンや花の香りを持つ、ミディアムボディの辛口ワインとして造られます。 下のような特徴的なボトル...

「ジンファンデル」と「テンプラニーリョ」の違いをしらべる!比較テイスティング

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2次試験でも役立つ?酒精強化ワインの見分け方(シェリー、ポートワイン、マデイラ、VDN、ラザグレン・マスカット)

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ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~リキュール編~

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