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なぜ、A.O.C. フラジェ・エシェゾー(A.O.C. Flagey-Echézeaux) のワインが無いのか?を考察

 今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux)  」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...

酒類飲料概論1-2の感想(ブドウの生育サイクルと栽培作業など)

第2回は引き続き酒類飲料概論1です

内容は、ブドウの栽培。
全体の流れは、前回の小テスト → テキスト解説(1時間程度) → テイスティング(1時間程度)


全体的な印象:
  • 一次試験対策部分は、独学でもできそうです。
  • 二次試験対策(テイスティング)は、コツが分かってきてどのような部分をどのように評価をして回答をすればよいかのイメージがつかめてきました。

良いと思った点:

  • 小テストはどの範囲も満遍なく復習してくモチベーションになるのでGood!独学だと、どうしても頻出分野の復習に偏ってしまうので、弱点分野ができがちです。
  • テイスティングは、引き続き第1回と同様の内容でしたが、同じことを繰り返していくと、だんだん注目するポイントや、それをどのように回答に結び付けたらいいかが分かってきて良いです。あとは、3,000円前後のワインを毎回4種類テイスティングできるのが良いです。自分でそろえるのはなかなか大変なので。

いまいちな点:
  • テキスト解説は独学でもできそうな内容。特に、「ブドウの栽培」は統計情報のように年によって変わるものではないので、スクールで最新の情報を教えてもらう必要はありません。


今回の重要ポイントのまとめです!

●ブドウの品種

ヴィティス・ヴィニフェラ
・中近東原産
・ワイン醸造に適し、耐病性が強い
・乾燥した気候に適応し、湿気の多い気候に弱い

ヴィティス・ラブルスカ
・北米大陸原産
・湿った気候に適応し、耐病性が強い
・フォキシーフレーヴァーと呼ばれる香りが出る


●ブドウの断面図 

果皮・・・色素(アシトシアニン類)が豊富に含まれる
果肉(果皮の内側)・・・糖度が高い部分
果肉(種子の間)・・・酸が高い部分
種子・・・ポリフェノール(タンニンなど)が豊富に含まれる


●ブドウの選抜

・マサルセレクション(集団選抜)・・・性質の良い複数の株から枝を取り、苗を作って植える方法。遺伝子の多様性が見込める。
・クローンセレクション・・・性質の良い株から挿し木で同じ遺伝子の苗を作り選抜をすること。


●栽培に適する条件

年平均温度(ブドウ一般): 10~20℃
年平均温度(ワイン用): 10~16℃
緯度: 北緯30~50度、南緯30~50度
日照時間(生育期間): 1000~1500時間
※光合成には、最低限の日照と気温が必要
年間降雨量: 500~900mm
土地: 排水性の良い団粒構造。痩せた砂利、礫質土壌、斜面など。


●ブドウの生育サイクルと栽培作業

11月 休眠
11~12月 土寄せ(Buttage ビュタージュ)
1~3月 剪定(Taille タイユ)
3月 樹液の溢出(Pleurs プルール)
4月 発芽(Débourrement デブールマン)→ 畝[うね]くずし(Débuttage デビュタージュ)
5月 展葉(Feuillaison フイエゾン)、蕾(Bourgeon à fleurs ブルジョン ア フルール)
6月 開花(Floraison フロレゾン)→ 新梢の固定(Accolage アコラージュ)
   結実(Nouaison ヌエゾン)→ 夏季選定(Rognage ロニャージュ)
7~8月 色付き[着色期](Véraison ヴェレゾン)
8~9月 成熟(Maruritéマチュリテ)
9~10月 収獲(Vendange ヴァンダンジュ)


ブドウの育成と作業の流れは、チャートにまとめると覚えやすいと思います。

ポイントは、
・ブドウ樹の休眠期間=4か月間
・ブドウ樹の育成期間=4か月間
・果実の育成=4か月間
です。



また、各工程のフランス語は次のような語呂合わせを用いて覚えました。

「ブドウのライフサイクル」からの本試験での出題は、各工程のフランス語の意味を答えさせるものが多いと聞いたことがあります。






●手摘み

長所

・傷つき帽子
・選果可能
・機械収獲でできないところも摘める


短所

・熟練者の手配が困難
・作業時間が長い
・労働コストが高い


●ブドウの栽培方法(仕立て方)

垣根仕立て(ギヨ・サンプル、ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤ)
・世界的に広く採用
・ボルドー、ブルゴーニュ、ドイツ、イタリアなど

棒仕立て
・垣根を張ることのできない急斜面に適している
・モーゼル、北部ローヌなど

株仕立て
・乾燥地で多く採用
・南フランス、スペイン、ポルトガルなど

棚仕立て
・生食用ブドウ栽培に採用されることが多い
・降雨の多い日本、日差しの強いイタリア、ポルトガルの一部、エジプトなど


●ブドウの病気

ウドンコ病(1850年頃にヨーロッパに伝播)
・症状: 白色の粉上の胞子で覆われたようになり生育障害を引き起こす
・対処策: 硫黄を含む農薬

ベト病(1878年ヨーロッパで発見)
・症状: 白カビにより、落葉、落花、落果
・対処策: ボルドー液(硫酸銅+生石灰+水の混合溶液)

灰色カビ病
・症状: ボトリヌス・シネレア菌の影響で花や葉、果粒を灰色のカビが覆う
・対処策: イプロジオン水和液
※完熟気に付くと貴腐ブドウとなる

晩腐病
・症状: 収穫期のブドウを腐敗させる。淡褐色→紫褐色→腐敗・ミイラ化
・対処策: ベンレート液
※日本で最大の病害

ウイルス病
・ウイルスが植物、動物、昆虫、バクテリアを介してブドウに被害をもたらす
・ブドウリーフロール病(葉巻病)、フレック、コーキーバークなど

フィロキセラ(1863年~19世紀でヨーロッパで甚大な被害)
・1mmほどのアブラムシの一種(アメリカ→フランスに侵入)
・対処法:アメリカ産のブドウ樹(ヴィティス・ルペストリスなど)を台木にして接木

花振い
・悪天候や不適切な栽培管理などが原因の生理障害
・果粒が極端に少なくなったり、小粒の果粒のまま肥大しないなど



(参考記事:JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法



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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって...

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

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WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

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ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ?

ある程度、体系的にワインの事を学びたいと思ったらワインの資格取得はおすすめです。 資格を取得するためには決められた範囲を満遍なく学ばなければならないために、試験勉強を終えた頃にはしっかりと 体系立ったワインの知識 が頭の中に残ります。 メジャーなワイン資格といえば何と言っても、日本ソムリエ協会(JSA)の運営する ソムリエ・ワインエキスパート試験 。これはおそらく日本でもっとも有名なワイン資格です。大雑把に言うと、ソムリエ試験はソムリエ向け、ワインエキスパートは私のようなそれ以外の受験者向けです。 そしてもう一つ、世界的にメジャーなワイン資格といえば、 WSET 。この資格はレベル1〜4までありますが、JSAソムリエ・ワインエキスパート資格と同等レベルと言われるのはWSETレベル3です。WSETレベル3は、レベル2を取得していなくても取得が可能ですが、レベル4を取得するにはレベル3の取得が必須です。 私はこの「JSAワインエキスパート」と「WSETレベル3」の両方を受験しましたが、実際に経験をしてみて様々な違いを感じました。 違いは様々ありますが、一番違いを感じたのは学習内容。 ・JSAワインエキスパート=膨大な情報の詰め込み ・WSET=なぜ?なぜ?なぜ?を突き詰める こんなイメージです。 JSAワインエキスパートではとにかくワインの名前や、世界の地理、 ワインの色、品種、格付けなど覚えることが盛りだくさんです。 代表的な例は、ボルドーメドックの格付け1級〜5級を全て覚えなければならないことです。 一方、WSETでは覚えることは各地、各国の代表的な産地やワインくらい。 その反面、 なぜそこでそのようなワインが作られていて、 なぜそのようなブドウが作られているのか? なぜ、そのようなブドウ栽培方法がとられているのか? など、ひたすら理由を追求して、試験ではそれを文章で説明しなければなりません。 この2つは、 ・「知識の幅」 (JSA) ・「知識の深さ」 (WSET) というそれぞれの強みがあるために、 両方学ぶ事で一段とワインへの理解が深まります。 私は、JSAワインエキスパートを合格した後にWSETを受講したのですが、 JSAで詰め込みで覚...

WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)

ワインの素人だった私が、ワインの勉強をまじめに始めて2年目にWSETレベル3の英語試験を合格した勉強法を紹介したいと思います。 WSETは世界で通用するワイン資格です。主催団体によればレベル3は、 「 ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格 」 です。 全世界で通用する資格であるために、海外のワイナリーに行ってWSETのレベル3を持っていると言えば、ワインについてはそれなりに知っていると思ってもらえるようです。 いつか海外のワイナリーを訪れることを思い描きながら、WSETレベル3に挑戦をした軌跡を紹介します。 (参考記事: 意外に高い?WSETの合格率 ) なぜWSETレベル3を受験? 私にとってのワインの勉強は、 飲み友達作り にワインスクールに通ったことから始まりました。 当時はワインの勉強などそっちのけで、中途半端な知識でワインスクールのクラスメートとワインを飲み明かすことだけを楽しんでいました。 折角ワインスクールに通ったのに、フランスのワイン産地はブルゴーニュとボルドーしか頭に残っていませんでした。 そんなワイン素人の私がまわりの飲み友達に影響されて、JSAワインエキスパート試験に挑戦をしました。まじめなワインの勉強はゼロから始めたこともあり、はじめはイチかバチかくらいの気持ちで始めた挑戦でしたが、ワインスクールのサポートにも助けられてなんとか一回で合格をすることができました。 次に挑戦すべきは上位資格である「JSAワインエキスパート・エクセレンス」だと思い、この資格は5年間待たなければならないことを知って、ワインの勉強はしばらくお預けだと少し寂しく思っていました。 しかし、ひょんなことからWSETは英語でワインが学べるということを知って、今度も大きな挑戦でしたが、WSETレベル3の英語講座に通うことに決めました。 (参考記事: WSETとは?WSETワインレベル3資格とは? ) (参考記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) WSETレベル3を受講してよかったこと WSETレベル3を受講した良かったことは、ワインを英語で学んで、資格試験にも合格をしたことで、英語の環境でも臆せずワインについて話ができるようになっ...

WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト

資格試験合格のコツは、 出題される問題の傾向を調べて、その対策を意識しながら学習を進めること だと思います。 J.S.A.ワインエキスパート の受験勉強をしたときは、様々なウェブサイトや書籍で過去問が公開されていたので、いち早くそれらを手に入れて早めに対策を進めることができました。 (参考記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) WSETレベル3 の場合、それは大きな課題でした。 なぜなら、WSETは 過去問の公開や口外が禁止されており 、実際に出題された問題や、試験問題のサンプルを公開しているウェブサイトや書籍がほとんどなかった ためです。 しかし、世界的なプログラムであるWSETの良いところは、世界中に情報ソースが散らばっているところ! その数は多くはありませんが、英語で検索をするといくつか本試験問題を把握する上で参考となるサイトが見つかります。 私が見つけて参考にしたウェブサイトのいくつかを紹介したいと思います。 <WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト> https://www.dallaswinecenter.com/short-answer-question-mosel/ *記述式試験サンプル問題です。 http://www.phillywine.com/wset/advanced/acexam.html *記述式試験サンプル問題です。 https://fromgrapestowine.wordpress.com/2013/11/19/wine-spirits-education-trust-wset-level-3-model-de-examen/ *記述式試験サンプル問題です。 https://www.thirtyfifty.co.uk/WSET-L3-Exam-Questions.asp *email登録で一部「Viticulture (Vine-growing) Questions」が無料で参照できます。 *有料登録をすると記述式、選択式の問題がかなり入手できるのでおすすめです。 https://www.finevintageltd.com/contentmanager/file/PRACTICE%20QUESTIONS/...

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...

トゥーレーヌ地区(ロワール)で覚えたいAOC【語呂合わせ】

前回の記事(関連記事: アンジュ&ソミュール地区で覚えたいAOC )に続いて、今回はトゥーレーヌ地区についてです。 トゥーレーヌ地区は、アンジュ&ソミュール地区に比べるとシンプルです。 次の6つのAOCをあげてみました。 トゥーレーヌ(Touraine)AOC  ・トゥーレーヌ広域のAOC ・白、赤、ロゼ、泡などの製造が許可されている ・白はソーヴィニヨンブラン、赤はカベルネフランとコット、ロゼはカベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ガメイ、グロローなどから造られる ヴーヴレ(Vouvray)AOC  ・白ワインのみ ・ほとんどシュナンブランのみから造られる ・主に辛口で、半甘口、甘口も造られる モンルイ・シュール・ロワール(Montlouis-sur-Loire)AOC  ・ロワール川の南の斜面 ・シュナンブランのみから造られる白ワイン(ヴーヴレに似ている) ブルグイユ(Bourgueil)AOC  ・赤ワイン、ロゼワインの製造が許可されている ・主にカベルネフランから造られる ・カベルネソーヴィニヨンの使用も少量許可されている サン・二コラ・ブルグイユ(St-Nicolas-de-Bourgueil)AOC  ・赤ワイン、ロゼワインの製造が許可されている ・ブルグイユよりも軽いスタイルのワイン ・ソミュールシャンピニィに似たスタイル シノン(Chinon)AOC ・赤、白、ロゼワインの製造が許可されている ・赤、ロゼはカベルネフラン、白はシュナンブランから造られる そして、個人的にはこんな語呂合わせで覚えています。 その他のAOC その他のAOCとしては、東部に シュヴェルニ(Cheverny) クール・シュヴェルニ(Cour Cheverny) ヴァランセ(Valencay) などがあります。 シュヴェルニやヴァランセでは、ピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランなど、「サントル・ニヴェルネ地区」で利用される品種が利用されています。 クール・シュヴェルニは、 ロモランラン(Romorantin) 種という珍しい品種から造られる白ワインが製造されています。