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「Petit Chablis」と「Chablis」の違いは?シャブリの4種類のワインの違いとは?を考察

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酒類飲料概論1-2の感想(ブドウの生育サイクルと栽培作業など)

第2回は引き続き酒類飲料概論1です

内容は、ブドウの栽培。
全体の流れは、前回の小テスト → テキスト解説(1時間程度) → テイスティング(1時間程度)


全体的な印象:
  • 一次試験対策部分は、独学でもできそうです。
  • 二次試験対策(テイスティング)は、コツが分かってきてどのような部分をどのように評価をして回答をすればよいかのイメージがつかめてきました。

良いと思った点:

  • 小テストはどの範囲も満遍なく復習してくモチベーションになるのでGood!独学だと、どうしても頻出分野の復習に偏ってしまうので、弱点分野ができがちです。
  • テイスティングは、引き続き第1回と同様の内容でしたが、同じことを繰り返していくと、だんだん注目するポイントや、それをどのように回答に結び付けたらいいかが分かってきて良いです。あとは、3,000円前後のワインを毎回4種類テイスティングできるのが良いです。自分でそろえるのはなかなか大変なので。

いまいちな点:
  • テキスト解説は独学でもできそうな内容。特に、「ブドウの栽培」は統計情報のように年によって変わるものではないので、スクールで最新の情報を教えてもらう必要はありません。


今回の重要ポイントのまとめです!

●ブドウの品種

ヴィティス・ヴィニフェラ
・中近東原産
・ワイン醸造に適し、耐病性が強い
・乾燥した気候に適応し、湿気の多い気候に弱い

ヴィティス・ラブルスカ
・北米大陸原産
・湿った気候に適応し、耐病性が強い
・フォキシーフレーヴァーと呼ばれる香りが出る


●ブドウの断面図 

果皮・・・色素(アシトシアニン類)が豊富に含まれる
果肉(果皮の内側)・・・糖度が高い部分
果肉(種子の間)・・・酸が高い部分
種子・・・ポリフェノール(タンニンなど)が豊富に含まれる


●ブドウの選抜

・マサルセレクション(集団選抜)・・・性質の良い複数の株から枝を取り、苗を作って植える方法。遺伝子の多様性が見込める。
・クローンセレクション・・・性質の良い株から挿し木で同じ遺伝子の苗を作り選抜をすること。


●栽培に適する条件

年平均温度(ブドウ一般): 10~20℃
年平均温度(ワイン用): 10~16℃
緯度: 北緯30~50度、南緯30~50度
日照時間(生育期間): 1000~1500時間
※光合成には、最低限の日照と気温が必要
年間降雨量: 500~900mm
土地: 排水性の良い団粒構造。痩せた砂利、礫質土壌、斜面など。


●ブドウの生育サイクルと栽培作業

11月 休眠
11~12月 土寄せ(Buttage ビュタージュ)
1~3月 剪定(Taille タイユ)
3月 樹液の溢出(Pleurs プルール)
4月 発芽(Débourrement デブールマン)→ 畝[うね]くずし(Débuttage デビュタージュ)
5月 展葉(Feuillaison フイエゾン)、蕾(Bourgeon à fleurs ブルジョン ア フルール)
6月 開花(Floraison フロレゾン)→ 新梢の固定(Accolage アコラージュ)
   結実(Nouaison ヌエゾン)→ 夏季選定(Rognage ロニャージュ)
7~8月 色付き[着色期](Véraison ヴェレゾン)
8~9月 成熟(Maruritéマチュリテ)
9~10月 収獲(Vendange ヴァンダンジュ)


ブドウの育成と作業の流れは、チャートにまとめると覚えやすいと思います。

ポイントは、
・ブドウ樹の休眠期間=4か月間
・ブドウ樹の育成期間=4か月間
・果実の育成=4か月間
です。



また、各工程のフランス語は次のような語呂合わせを用いて覚えました。

「ブドウのライフサイクル」からの本試験での出題は、各工程のフランス語の意味を答えさせるものが多いと聞いたことがあります。






●手摘み

長所

・傷つき帽子
・選果可能
・機械収獲でできないところも摘める


短所

・熟練者の手配が困難
・作業時間が長い
・労働コストが高い


●ブドウの栽培方法(仕立て方)

垣根仕立て(ギヨ・サンプル、ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤ)
・世界的に広く採用
・ボルドー、ブルゴーニュ、ドイツ、イタリアなど

棒仕立て
・垣根を張ることのできない急斜面に適している
・モーゼル、北部ローヌなど

株仕立て
・乾燥地で多く採用
・南フランス、スペイン、ポルトガルなど

棚仕立て
・生食用ブドウ栽培に採用されることが多い
・降雨の多い日本、日差しの強いイタリア、ポルトガルの一部、エジプトなど


●ブドウの病気

ウドンコ病(1850年頃にヨーロッパに伝播)
・症状: 白色の粉上の胞子で覆われたようになり生育障害を引き起こす
・対処策: 硫黄を含む農薬

ベト病(1878年ヨーロッパで発見)
・症状: 白カビにより、落葉、落花、落果
・対処策: ボルドー液(硫酸銅+生石灰+水の混合溶液)

灰色カビ病
・症状: ボトリヌス・シネレア菌の影響で花や葉、果粒を灰色のカビが覆う
・対処策: イプロジオン水和液
※完熟気に付くと貴腐ブドウとなる

晩腐病
・症状: 収穫期のブドウを腐敗させる。淡褐色→紫褐色→腐敗・ミイラ化
・対処策: ベンレート液
※日本で最大の病害

ウイルス病
・ウイルスが植物、動物、昆虫、バクテリアを介してブドウに被害をもたらす
・ブドウリーフロール病(葉巻病)、フレック、コーキーバークなど

フィロキセラ(1863年~19世紀でヨーロッパで甚大な被害)
・1mmほどのアブラムシの一種(アメリカ→フランスに侵入)
・対処法:アメリカ産のブドウ樹(ヴィティス・ルペストリスなど)を台木にして接木

花振い
・悪天候や不適切な栽培管理などが原因の生理障害
・果粒が極端に少なくなったり、小粒の果粒のまま肥大しないなど



(参考記事:JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法



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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

アロマティックな白ブドウ品種の特徴の違いは?(リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスの比較テイスティング)

 今回のテーマは、独特な香りを持つアロマティック品種から造られた白ワインとして、次の4つの品種のワインを集めてみました。 ワイン①:リースリング(AOCアルザス) ワイン②:ピノグリ(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン③:ゲヴュルツトラミネール(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン④:トロンテス(アルゼンチン) 具体的なワイン名は次の通りです: ワイン①:Riesling Tradition Charles Sparr 2017 → https://amzn.to/40WFuGO (Amazonのサイトへ) ワイン②:Alsace Grand Cru Pinot Gris Rangen 2003 Chateau d'Orschwihr 2003 →  https://amzn.to/3YYvHxb (Amazonのサイトへ) ワイン③:Paul Ginglinger Alsace Grand Cru Gewurtztraminer Pfersigberg 2018 →  https://amzn.to/3OhcZMl (Amazonのサイトへ) ワイン④:Cuma Organic Torrontes Bodega El Esteco 2020 →  https://amzn.to/4hUluul (Amazonのサイトへ) 外観の比較 まずは外観の比較から。 アルザスのワインは比較的、色が濃く表れていますが、これは品種による違いというよりは、ヴィンテージによる影響が大きいと思います。 香りの比較 次は香りの比較です。 リースリングとピノグリに比べると、ゲウェルツトラミネールと、トロンテスの香りは非常に強く感じられます。 また、それぞれのワインから感じられる特徴的な香りをまとめると、 ・リースリング → 甘やかな花の香り ・ピノグリ → モモのコンポートやハチミツ ・ゲヴ ュ ルツトラミネール → バラ、ライチ、非常に華やかな花の香り(芳香剤のよう) ・トロンテス → ブドウ(マスカット)の香り、火打石のようなスモーキーな香り このようになりました。 トロンテスの火打石のようなスーッとした香りは、どこから来るものなのかは分かりませんでしたが、樽熟成をほとんど行っていないことを考えると、ブドウ由来の香りであると思われまし...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

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