今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
アデレード・ヒルズ(Adelaide Hills)とマクラーレン・ヴェイル(McLaren Vale)はともに、南オーストラリア州の州都であるアデレード近郊に位置するワイン産地です。 地理的な場所が近いので、何となく似通ったイメージも持ってしまいやすい2つの産地ですが、調べてみるとかなり特徴が異なります。 今回は、その違いについて調べてみました。 まずは、 アデレード・ヒルズ の特徴から。 この地域の特徴は次の通りです: ・マウントロフティレンジ・ゾーン(Mount Lofty Ranges Zone)に属する ・丘陵や谷が多く、機械作業が困難 ・標高が高く、オーストラリアのワイン産地の中では涼しい(冷涼~温和) ・昼夜の寒暖差(日較差)が大きい ・海に近い海洋性気候で雨が多い(特に冬から春にかけて) ・オーストラリアの産地の中では湿気が高く、カビのリスクが高い ・緯度が低めのため、日光が強い ・白ワイン品種の方が多く栽培されている(ソーヴィニヨンブランやシャルドネなど) ・赤ワイン品種ではピノノワールの栽培が多く、スパークリングワインやスティルワインが製造されている ・オーストラリアの産地の中ではシラーズの栽培が少ない まとめると、アデレード・ヒルズはその名の通り、丘陵にある標高の高い地域であるために、気温が低く、白ブドウ栽培や早熟な黒ブドウ品種の栽培に適した地域であるようです。雨が多く、比較的湿気の多い地域でもあり、これも気温の低さに影響しているのかもしれません。 次に、 マクラーレン・ヴェイル の特徴です。 この地域の特徴は次の通りです: ・フルリオ・ゾーン(Fleurieu Zone)に属する ・気候は暖かい地中海性気候 ・海風や丘陵からの風が暖かい気候を緩和するとともに、カビのリスクを減らす ・春から秋にかけて雨が少ない ・圧倒的に、赤ワイン用品種の栽培が多い(シラーズ、カベルネソーヴィニヨン、グルナッシュなど) ・シラーズの栽培が最も多い ・機械収穫を取り入れている大規模なブドウ畑が多い まとめると、マクラーレン・ヴェイルは、アデレードヒルズに比べると低い地域であり、気温もかなり高めです。比較的、乾燥した気候で、日照量も多く、フルボディの赤ワインを造るような晩熟のブドウを栽培するのに非常に適した地域です。涼しさの必要な、白ブドウ品種やピノノワー...