タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
各国のワインを学習していると、ワイン産地の地理的な区分が、国が行政を行う上での行政区画と一致しない場合があります。
ギリシャもそのうちの1つです。
ギリシャの行政区画は、最も大きな区画で、13の「ペリフェリア(=地方)」に分かれています。
そして、このペリフェリアの下に、県にあたるペリフェリアキ・エノティタ(74)と、市にあたるディモス(325)が区画されています。
しかし、ワイン産地における地理的区分は若干異なり、9つの地方に分かれています。
ここで使われる「地方」は「ディアメリスマタ」と呼ばれていますが、日本語では「ペリフェリア」と「ディアメリスマタ」のどちらも「地方」と翻訳されているようです。
なぜ、行政とワイン産地で地理的な区画が異なるのかが疑問でしたが、調べてみた結果、なんとなく理由が分かりました。
それは、ギリシャでは比較的最近(2010年)に「カリクラティス改革」と呼ばれる大規模な地方制度改革が行われ、新たな行政区画が2011年1月1日付で導入されたからです。
この新たな行政区画が、「ペリフェリア」を用いた13の地方の行政区画です。
最近導入された区画であるため、ワイン産地としては、昔から用いられていた9の地方の地理的区分も用いているようです。
細かい話ですが、このようなことを学んでいくのもワイン学習の楽しみの1つだと思います。
<了>