トロンテスは、アルゼンチンで生産される代表的な白ワイン品種です。
アルゼンチンワインと言えば、赤=マルベック、白=トロンテス、というイメージがあります。
実際、マルベックはアルゼンチンで最も栽培面積の広いワイン用ブドウ品種です。
栽培規模
トロンテスの栽培規模というと、必ずしも大きいわけではありません。
栽培面積は白ブドウで2番目ですが(1位はペドロ・ジメネス)、白黒合わせた全体では、6、7番目くらいの栽培規模です。
アルゼンチンは、黒ブドウ品種に加えて、ピンク系ブドウ品種の栽培も多いので、白ブドウ品種の生産はそこまで多くないためです。
主要産地
トロンテスの主要産地は、メンドーサ州、サンフアン州、ラ・リオハ州、そして、最も成功していると言われているのはサルタ州のカファジャテ(Cafayate)です。
これらの地域は、ワイン用の産地としてはかなり低い緯度に位置しているのが特徴です。サルタ州は南緯24度と、本来であればかなり暑い地域に位置しています。
ブドウ栽培における特徴
トロンテスは早熟なブドウ品種です。気温の高さによって成熟し過ぎると、アルコールが過度に高く、酸味に乏しく、苦みのあるワインになってしまうという特徴があります。
では、このような特徴を持つトロンテスが、なぜ南緯20~35度のような本来であれば暑い場所で栽培されるかというと、メンドーサ州、サンフアン州、ラ・リオハ州、サルタ州の標高の高さに理由があります。
トロンテスが栽培される畑は全て標高の高い場所に位置するため、栽培環境の気温は低くなり、早熟なブドウ品種のトロンテスに適した環境となるわけです。また、昼と夜の温度差が大きく、ブドウの酸味や、新鮮な果実の香りの保たれた高品質なブドウが造られます。高品質なトロンテスの栽培で有名なカファジャテの標高は、1,700mにもなります。
ブドウの起源
トロンテスは、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と「クリオージャ・チカ」の自然交配品種と言われています。クリオージャ・チカは、チリでは「パイス」と呼ばれるブドウです。
アルゼンチンでトロンテスと名の付くブドウ品種は、「Torrontes Riojano」、「Torrontes Sanjuanino」、「Torrontes Mendocino」の3つがあると言われています。このうち、トロンテス・リオハーノが最も品質が高いと言われており、「トロンテス」とラベルに書かれたほとんどのワインはこの品種からできているようです。
ワインの特徴
アルゼンチンで造られるトロンテスワインの多くが単一品種ワインと言われています。
ほとんどのワインのスタイルは、オーク熟成を行わず、早飲みスタイルに造られます。
一般的なワインの特徴は、強い果実と花の香り(芳香、マスカットの香り、モモの香りなど)を持ち、味わいは辛口で、中程度の酸味を持ち、アルコールは高めで、ミディアムボディと言われています。
近年は、消費者の趣向に合わせて、香りやアルコール度の控えめなスタイルのワインが多く造られているそうです。
<了>