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【考察】なぜ、マセラシオン・カルボニックではタンニンがあまり抽出されないのか?

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アロマティックな白ブドウ品種の特徴の違いは?(リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスの比較テイスティング)

 今回のテーマは、独特な香りを持つアロマティック品種から造られた白ワインとして、次の4つの品種のワインを集めてみました。


ワイン①:リースリング(AOCアルザス)

ワイン②:ピノグリ(AOCアルザス・グランクリュ)

ワイン③:ゲヴュルツトラミネール(AOCアルザス・グランクリュ)

ワイン④:トロンテス(アルゼンチン)



具体的なワイン名は次の通りです:


ワイン①:Riesling Tradition Charles Sparr 2017 

ワイン②:Alsace Grand Cru Pinot Gris Rangen 2003 Chateau d'Orschwihr 2003

ワイン③:Paul Ginglinger Alsace Grand Cru Gewurtztraminer Pfersigberg 2018

ワイン④:Cuma Organic Torrontes Bodega El Esteco 2020




外観の比較

まずは外観の比較から。



アルザスのワインは比較的、色が濃く表れていますが、これは品種による違いというよりは、ヴィンテージによる影響が大きいと思います。



香りの比較

次は香りの比較です。


リースリングとピノグリに比べると、ゲウェルツトラミネールと、トロンテスの香りは非常に強く感じられます。


また、それぞれのワインから感じられる特徴的な香りをまとめると、

・リースリング → 甘やかな花の香り

・ピノグリ → モモのコンポートやハチミツ

・ゲヴルツトラミネール → バラ、ライチ、非常に華やかな花の香り(芳香剤のよう)

・トロンテス → ブドウ(マスカット)の香り、火打石のようなスモーキーな香り

このようになりました。


トロンテスの火打石のようなスーッとした香りは、どこから来るものなのかは分かりませんでしたが、樽熟成をほとんど行っていないことを考えると、ブドウ由来の香りであると思われました。

【補足】Decanterのサイト(https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/)では標高の高い場所で栽培されたトロンテスは、ジュニパーベリーのような香りを持つそうなので、スーッとした香りはこの香りなのかもしれません。


また、トロンテスはゲヴュルツトラミネールと関係のある品種と言われるために、似ている香りを予測していましたが、実際にはそれぞれ全く異なる香りでした。ゲヴュルツトラミネールの方がずっと華やかで花の芳香剤を思わせるような重みのある香りである一方で、トロンテスはマスカットのような芳香系の香りを持ちながら、どこかスーッとした爽やかさを持ち合わせていました。


どれも特徴的な香りを持つ白ワインですが、しっかり比較をしてみると、それぞれかなり異なる香りであることが分かりました。



味わいの比較

最後に味わいの比較です。


香りと共に味わいにも各ワインにかなりの違いがありました。


リースリングと、トロンテスはともに似ている特徴を持っており、辛口(ドライ)で、酸味が高いという特徴を持っていました。一般的にトロンテスの酸味は中程度くらいなので、もしかしたらトロンテスの酸味を過大評価してしまっているかもしれません。


ボディは、リースリングがミディアムボディで、トロンテスはライトボディでした。トロンテスは比較的安いワインだったので少しボディが軽めだったのかもしれません。しかし、傾向としてはトロンテスはミディアム程度のボディが多いようです。


ピノグリと、ゲヴュルツトラミネールの特徴も似通っており、こちらはどちらも明確な残糖があり、フルボディで酸味が低~中で、トロッとした質感を持っていることが特徴的でした。両者ともに糖度が高くなりやすい性質を持っているためだと思います。ピノグリの粘性のある質感は有名で、よくオイリーテキスチャー(oily texture)とも表現されるようです。


今回のピノグリとゲヴュルツトラミネールはそれぞれオフドライと、ミディアムドライでしたが、両品種ともにドライ(辛口)からスイート(甘口)まで幅広い甘さのワインが造られるようです。また、辛口のものはアルコール度が高レベル(>14.5%)になる傾向があるようです。



まとめ

リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスのような品種は「アロマティック品種」と呼ばれて一括りにされがちですが、しっかりと比較をしてみると、それぞれ独自の特徴をもっていることが分かりました。


本当は、アロマティック品種であるヴィオニエも一緒に比較をしたかったのですが、手頃なワインが見つからず今回は比較の対象から外しました。


機会があれば、今度はヴィオニエの特徴も調べてみたいと思います。


<了>




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WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か