今回は、ジンファンデルとテンプラニーリョの品種比較テイスティングをしてみたいと思います。
なぜこの2つを選んだかというと、どちらも赤系~黒系果実の香りを持ち、ミドル~フルボディのワインを造り、オーク樽との相性が良いという共通点を持っているからです。
今まであまり比較をする機会が無かったので、どのような違いがあるのかを調べてみたいと思います。
今回用意をしたワインは次の通り:
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①ジンファンデル / ドライ・クリーク・ヴァレー(ソノマ、カリフォルニア)
・ワイン名:Dry Creek Valley Zinfandel Dashe 2017
②テンプラニーリョ / リオハ(スペイン)ー 伝統的スタイル(アメリカンオーク+フレンチオーク利用で、新樽比率高め)
・ワイン名:Dominio de Ugarte Reserva 2013
③テンプラニーリョ/ リオハ(スペイン)ー モダンスタイル(フレンチオーク利用で、新樽比率は低め)
・ワイン名:Remelluri Lindes de Remelluri Viñedos de Labastida 2014
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リオハのテンプラニーリョは、念のために異なる2つのスタイルのものを用意しました。結果としては、ワイン②(伝統的スタイル)の樽香が強すぎて、ワイン①(ジンファンデル)との比較にならなかったので、ワイン③(モダンスタイル)も用意をしておいて正解でした。
外観の比較
まずは外観ですが、どれも濃いルビー色で、それほど大きな違いは見られません。
外観での判別は難しいと思います。
香りの比較
次に香りの比較ですが、用意したジンファンデル(ワイン①)は、よりモダンスタイルのリオハ(ワイン③)に近い香りを持っていました。
反対に、ワイン②はヴァニラの甘い香りが特徴的で、ワイン①とワイン③とは少し香りの質が異なります。
これは、ワイン①、ワイン③ともに、それほど新樽比率の高くないフレンチオークで熟成をしているためだと思います。
香りの近いワイン①(ジンファンデル)とワイン③(テンプラニーリョ)を比べると、ワイン①はより成熟度の高いジャムのようなレーズンのような果実の香りを持っていることが特徴的でした。
また、ワイン①(ジンファンデル)は成熟度の高いジャムのような香りを持つ一方で、少し植物を感じさせるようなスミレやハーブの香りを持っていることも特徴的でした。ちなみに、ジンファンデルは同じ房の中にあるブドウの実が、異なるスピードで成熟をするという性質を持つブドウ品種です。なので、同じ房からとった果実でも十分に熟した果実と、未熟な果実が混ざることがあると言われています。この植物を感じさせる香りはもしかしたら、未熟なブドウの果実に由来をする香りなのかもしれません。
「熟した果実の香り」と「スミレ~ハーブの香り」はジンファンデルの特徴なのではないかと思いました。
味わいの比較
最後に味わいの比較ですが、これが「ジンファンデル」と「テンプラニーリョ」のワインの違いが最も分かりやすく表れました。
テンプラニーリョと比べると、ジンファンデルは圧倒的に熟した果実の味わいが感じられ、より豊富なボディが感じられました。今回用意をしたテンプラニーリョもかなりフルボディに近い味わいのものでしたが、ジンファンデルに比べると、水を加えて薄めたと思えるくらい果実味やボディに違いを感じました。
また、アルコール度が高いこともジンファンデルの特徴でした。
酸味、タンニンに関してはどれもしっかりとした酸味・タンニンを持っており、それほど大きな違いは感じられませんでした。ちなみにいずれのワインも辛口でした。
まとめ
ジンファンデルとテンプラニーリョは外見からの判断は難しいものの、香りと味わいからは判別ができそうです。
テンプラニーリョは、ジンファンデルと比べると、果実の熟度は低めで、ボディも軽めで、アルコールも低めです。
ジンファンデルは、より果実の成熟度が高く、ボディもよりフルボディであり、アルコールもより高めです。
ジンファンデルの果実味、ボディ、アルコール度は、その他のワインと比べてもかなり高い部類にあるので、ブラインドテイスティングではこれが大きなヒントになるのではないかと思います。