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3月, 2020の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

なぜ北ローヌのシラーには黒コショウの香りが含まれるのか?

樽を効かせた赤ワインは、よく スパイス の香りがすると表現されます。 しかし、北ローヌのシラーは樽発酵や樽熟成を経験せずとも、スパイスの香り、特に「 黒コショウ 」の香りがすると言われます。 なぜ、樽を使っていないのにスパイスの香りがするんだろう? JSAワインエキスパート の テイスティング 対策をやっていた時に、ずっと疑問に思っていました。 実はワインにあらわれる コショウ の香りは、ブドウ由来の「 ロタンドン 」という成分が原因だそうなのです。 コショウ(黒コショウ、白コショウ) の香りと ロタンドン について分かったことをまとめてみました。 <黒コショウの香りとは?> ------------------------------------------------------------------------------------- ・シラー(シラーズ)のブドウには黒コショウ全く同じ香り成分「ロタンドン(Rotundone)」が含まれている。 ・「ロタンドン」は発酵過程において失われることがないために、この香りは最終的なワインにも含まれる。 Rotundone: the science behind 'pepper' in wine (https://www.decanter.com/premium/rotundone-decoding-pepper-wine-406544/) ・黒コショウの香りは、シラーの単一品種ワインや、シラーブレンドワイン(ムールヴェードルやグルナッシュ)などの土やスパイスの風味のある辛口赤ワインにあらわれる。北ローヌのシラーや、オーストラリアのシラーズがこれに該当する。 ・それ以外にも、プロヴァンスのロゼワイン(通常、グルナッシュ、シラー、サンソーのブレンドで造られる)やサンジョヴェーゼも黒コショウの香りを持つことがある。 [source] Black pepper (https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/) ------------------------------------------------------------

私的なリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、シャブリの見分け方

JSAソムリエ・ワインエキスパートの2次試験(テイスティング試験)対策を始めたときに、私にとっての最初の壁は「 アルザスのリースリング 」、「 ロワールのソーヴィニヨン・ブラン 」、「 シャブリ 」の3つの違いがわかるようになることでした。 この3つは、フランスの冷涼地域の代表的なワインで、本試験でも出題頻度が高いと言われているものです。 ワインスクールに通って何度もテイスティングをして講師の説明を聞いたのですが、なんだか最後まであまり腑に落ちなくて、最後はワインスクールの模範解答や、本試験の過去の出題履歴と模範解答を集めて、自分なりにそれぞれの違いを分析しました。 その分析結果を紹介します。 各項目でそれぞれのワインの模範解答(※)を紹介していますが、あくまでも私が調べた範囲の結果ですので、プロから見たら誤っている部分があるかもしれません。しかし、できるだけ回答をワインスクールで習ったことに合致させているつもりです。 また、 アルザスRI=アルザスのリースリング 、 ロワールSB=ロワールのソーヴィニヨン・ブラン と表記しています。 (※模範解答は、2次試験に出るワインが持つ傾向であり、必ずしもアルザスRI、ロワールSB、シャブリが全て模範解答のような特徴を持っているわけではありません。) <外観> 外観は、3つのワインにそれほど大きな違いはありません。 異なる部分は、ロワールSBに比べて、 アルザスRI と シャブリ は 色調や濃淡が濃くでやすい ということです。 <香り> 香りは、3つのワインで一番違いが出る部分です。 【第一印象】 まず第一印象において、 シャブリ は他の2つのワインよりも 香りの印象が控えめ な傾向があります。これは、 シャブリ に使われている シャルドネ が ノンアロマティック品種(ブドウ由来の香りが弱い品種) である一方で、 リースリング と ソーヴィニヨン・ブラン が アロマティック品種(ブドウ由来の香りの強い品種) であるためだと思います。 【果実】 果実味については、 アルザスRI が より強い果実味を持つ 傾向にあります。アルザスは年間の降水量が低く、日照時間が長いために、より果実の成熟度が高くフルーティーな香りになると考えられます。 【花・植

ソーヴィニヨン・ブランのハーブの香りを知る方法

ソーヴィニヨン(・ブラン) と言えば、 JSAソムリエ・ワインエキスパートのテイスティング試験 で頻出の白ワイン品種です。 品種特徴としてはよく、 「ハーブの香りを持つ」 と言われています。 ハーブの香りって、なんだかとても漠然として、よくわかりません。 ユーカリ、ミント、ラベンダー、フェンネル、ディルはどれもハーブの香りですが、それぞれ固有の違った香りをもっています。 私はよく言われている「 ハーブの香り 」は、英語で言う「 herbaceous(草のような) 」香りであると理解しています。 この香りは、 ピーマン などに含まれる メトキトピラジン という化学物質に由来するそうです。 私は実は、ソーヴィニヨン(・ブラン)の香りは「 herbal(ハーブの) 」ではなく、「 herbaceous(草のような) 」香りなのではないかと思っています。 参考記事: ワインの香りを表す英語「herbal」と「herbaceous」の違い なので本来であれば、香りを表す用語としては、「 青ピーマン 」や、「 芝 」、「 トマトの葉 」、「 アスパラガス 」、「 黒スグリの葉 」などが適切なのではと思っています。 しかし、このような考えの場合、JSAソムリエ・ワインエキスパートのテイスティング試験を受ける際に、大きな問題があります。 白ワイン用の回答用紙には、「 herbaceous(草のような) 」を表す、上のような青ピーマンなどの選択肢がないのです! 用意されているのは、「 ミント 」「 ヴェルヴェーヌ 」などの、ハーブを表す用語だけです。 ワインスクールの模範解答を見てみると、ソーヴィニヨン(・ブラン)に対しては、多くの場合「 ミント 」や「 ヴェルヴェーヌ 」が選ばれています。 ここから考えると、日本ソムリエ協会の考え方としては、「 ソーヴィニヨン(・ブラン)はあくまでもハーブの香りのするブドウ品種 」であるということのようです。そして、そのハーブとは具体的には「 ミント 」や「 ヴェルヴェーヌ 」を表すようです。 ちなみに、海外のワイン資格であるWSETでは、ソーヴィニヨン・ブランに対しては、「草のような香り」がするという説明があり、香りの表現

カベルネ・ソーヴィニヨンの香りは杉の香り?松の香り?

ワインのテイスティングを学ぶ上で良く耳にするのが「 杉(cedar) 」の香り。 WSET では 第二の(セカンダリー)香り の中の オークの香り に分類されており、 JSA試験 では 赤ワインの植物の香り として登場します。 (関連記事: ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察) ) 外部のサイトで調べてみると、「 杉(cedar) 」の香りは次のように赤ワイン、特に カベルネソーヴィニヨン の特徴を表す代表的な香りとして説明されています。 <cedarの香りについての説明> ------------------------------------------------------------- Most commonly, in full-bodied Cabernet Sauvignon single varietal and blended wines, such as those of Napa Valley or Bordeaux — particularly the Left Bank appellations.  As it’s related to the use of oak in post-fermentation winemaking, cedar is classified as a secondary aroma.  Its falls among the subtler secondary aromas, therefore it might be harder to detect in the strongly aromatic oaks; such as American oak, where coconut and vanilla fragrances can dominate. (source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/ ・一般的には、フルボディのカベルネソーヴィニヨンの単一品種ワインや、ブレンドワインに使われる。(ナパヴァレーやボルドー、特に左岸のワイン) ・発酵後の醸造工程でオークを使うことに関係しているため、「cedar」は第2アロマに分

WSETテキストでは足りない醸造工程に関する情報の調べ方

WSETレベル3の参考書の紹介です。 WSETのテキストの良いところ は、 必要な情報がぎゅっと詰まって書かれている ことです。 JSAソムリエ・ワインエキスパートの教本が、分厚くできているのとは対照的です。 しかしその反面、WSETのテキストには、もう少し知りたいのに 詳しい情報が載っていない というデメリットがあります。 特にWSETレベル3では 醸造工程 を深く突っ込んで勉強するので、テキストの文章を読んでもいまいちその醸造工程がイメージできない部分がありました。 そのような醸造工程の1つが、「 炭酸ガス浸漬法(Carbonic maceration)=マセラシオン・カルボニック 」でした。 複雑な工程 で、 様々なワインに使われる醸造オプション で、 試験に頻出 という三拍子。 にもかかわらず、レベル3のテキストに書かれている醸造工程の詳細は次のような簡単な内容です。 「密閉槽の中に破砕していないブドウの房のみを入れて、次にそれを炭酸ガスで満たして酸素を取り除く方法である。これにより細胞内の発酵が始まる。ブドウのアルコール度が2%に達すると、ブドウの果皮が敗れはじめ、果汁が出る。ブドウは一般にこの段階で圧搾されて、果汁と果皮に分けられる。それから果皮と離して酵母によって発酵を完了させる。」 発酵の仕組みはわかるのですが、もう少し、マストの動きや、最後の発酵の完了の部分を詳しく知りたいと思っていました。 色々検索をして、そこで見つけたのがこの参考書! Understanding Wine Technology: The Science of Wine Explained です。 この本では炭酸ガス浸漬法(Carbonic maceration)の工程が詳しく書かれていました。 引用をすると次の通りです: <炭酸ガス浸漬法(Carbonic maceration)に関する引用> ------------------------------------------------------------------------------- ...it produces a style of wine that is popular, a wine that is of goo

リースリングの「菩提樹」の香りを知るヒント|ワインの香り用語

「菩提樹」 は、JSAソムリエ・ワインエキスパートの白ワイン用の回答用紙でよく登場する香りです。 リースリング 特有の香りを表す重要な香り用語なのですが、私は長らく、 この香りがどんなものなのかがわからず 、そのワインが リースリング だと思ったら、得点稼ぎのために 「菩提樹」 を選ぶという使い方をしていました。 実際に、私が分析をした範囲ではワインスクールの JSA試験対策 において リースリング のテイスティングシートでほぼ毎回 「菩提樹」 が選ばれていました。(下の回答シートは典型的なリースリングの回答例です) しかし、このままでは良くないと思い、 「菩提樹」 に関して調べてみてこれが何なのか、どんな香りなのか自分なりに研究をしてみました。 リースリングはワインにおいては重要な品種で、JSA試験において頻出の品種です。なので、この品種特徴について把握をしておくことはテイスティング能力を上げるうえで大きな助けになると思います。 私がワインエキスパート試験を受けたときには、実際に、ドイツのリースリングが出題されました。なんとか、その時は何とか品種・産地ともに当てることができました。 菩提樹とは何か? 菩提樹で検索をすると、「インド原産のクワ科イチジク属の常緑高木インドボダイジュ」、「インド原産のクワ科イチジク属の常緑高木ベンガルボダイジュ」、「中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュ」、「ヨーロッパ原産のセイヨウシナノキ(別名:リンデンバウム=リンデン)」が見つかります。 色々調べてみた結果、最後にあげた「ヨーロッパ原産のセイヨウシナノキ(別名:リンデンバウム= リンデン )」が、ワインの香りにおける「菩提樹」に該当しそうだとわかりました。 その理由は、海外の様々なウェブサイトで、リースリングの品種特有の香りとして、 「リンデン」 があげられていたからです。 リンデンとは何か? リンデンについて説明しているサイトがあったので、引用をしました。 ヨーロッパでは ハーブ として使われているようです。 ------------------------------------------------------ リンデンはヨーロッパ原産のハーブで、和名はセイヨウボダイジュといいます。お釈

【ワインの表現用語】Petrol(ペトロール=ガソリン)の香りとは?

ペトロール香(ガソリン香) は、リースリングワインのテイスティングにおいて重要な香りです。 WSETでは、 petrol(ガソリン) および kerosene(灯油) はともに 瓶熟成(白) に分類されています。 <外部サイトでのPetrolに関する説明> ----------------------------------------------------------------- Petrol notes in wine are caused by a chemical, trimethyl-dihydronaphthalene (TDN), whose precursors are naturally found in the juice and skins of the Riesling grape. Generally, aged Rieslings can have a petrol aroma as the precursors in the wine combine over time to form TDN. When this note is found in young wines, it is considered by some, notably Rhône and Australian producer Michel Chapoutier, to be a fault due to over-pressing during harvest. (source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/ ・ワインの中のペトロールの香りは、化学物質であるトリメチルジヒドロナフタレン(TDN)に由来する。この物質の前駆体(化学反応をするまえの物質)は自然のリースリングブドウの果汁と果皮の中に含まれている。 ・ワイン中の前駆体は時間をかけて結合しTDNを形成するために、一般的に、熟成したリースリングはペトロールの香りを持つ。若いワインでこの香りが見つかる場合は、収穫期の過度な圧搾による欠陥であるとみなされている。 -----------------------------------------

【ワインの表現用語】Acacia(アカシア)の香りとは?

Acacia(アカシア)の香り について調べた内容をまとめます。 Acacia(アカシア) はアカシア属の総称で、約1000種類が熱帯から温帯にかけて分布する植物で、 黄色い花 をつけるものが多いようです。 WSET では花(Floral)の香りに分類され、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では白ワインの香りの特徴として用意されることの多い香りです。 <外部サイトでのAcacia(アカシア)の香りの説明> --------------------------------------------------------------- Acacia flowers bring their sweet, honey-like aroma to wine. The smell is often found in sparkling wines that have just been uncorked like Champagne and Prosecco. (source) https://www.proplants.com/blog/flower-aromas-in-wine ・アカシアの花は、甘く、ハチミツのような香りをワインにもたらす。この香りは、コルク栓を開けたばかりのシャンパーニュやプロセッコなどのスパークリングワインによく見られる。 --------------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------- A sweet and delicate vegetal character, slightly floral at that. If you’ve ever smelt the leaves of an acacia tree, you would have found a mellowed scent of honey combined with a hint of grassiness. The acacia aroma can also be experienced in acacia honey which has a

Honeysuckle(セイヨウスイカズラ)の香りとは?|ワインの香り用語

「Honeysuckle(セイヨウスイカズラ)」 は、白ワインの香りを表す香り用語として、よく用いられます。 WSET では 「Honeysuckle(セイヨウスイカズラ)」 は 花の香り に分類されています。一方で、 JSAソムリエ・ワインエキスパートのテイスティング では、白ワインの香りを表す香り用語として多く登場しています。 スイカズラ の名は「吸い葛」の意で、細長い花筒の奥に蜜があり、古くは子どもが好んで花を口にくわえて甘い蜜を吸うことが行なわれたことにちなむそうです。英語名の ハニーサックル(honeysuckle) も、花筒をちぎって蜜(honey)を吸う(suck)ところから生まれた名前であるといわれるそうです。 しかし、この植物を実際に手にして、香りを感じる機会というのは限られていると思います。そこで、「セイヨウスイカズラ」の香り、特にワインにおいてこれが一体どのような香りを表しているのかについて、さまざまなサイトを参考に調べてみました。 <Honeysuckle(セイヨウスイカズラ)の香りの外部サイトでの説明> ---------------------------------------------------------------- ・honeysuckle(セイヨウスイカズラ)は、ボルドーのソーテルヌやバルサックの甘口の白ワインが持つ香りである。honeysuckle(セイヨウスイカズラ)の花は、これらのワインの持つ強いハチミツのような花の香りを発するからである。この香りは貴腐によって造られる。 ・甘口ワインの他にも、honeysuckle(セイヨウスイカズラ)は、オークの香りを持つブルゴーニュのコートドボーヌのシャルドネの典型的な表現である。 (source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/ ・honeysuckle(セイヨウスイカズラ)は、ジャスミンの香りに似た繊細な花の香りであるが、甘さと草のような香りを持っている。控えめな香りなので、花の香りを持つそれほどアロマが強くない白ワインでのみ見つかる。 ・この香りは、シャルドネベースのワインや、控えめなト

【ワインの表現用語】Pear(洋ナシ)、Pear drop(洋ナシ香味のキャンディー)の香りとは?

Pear(洋ナシ) 、 Pear drop(洋ナシ香味のキャンディー) の香りについてまとめてみました。 WSETでは、 Pear(洋ナシ)、 Pear drop(洋ナシ 香味のキャンディー ) ともには 緑色系果実 に分類されています。 また、JSAソムリエ・ワインエキスパートのテイスティング試験では、白ワインの香りの特徴として登場することが多いようです。 <Pearの香りに関する説明>(英語と要点をまとめた日本語) ------------------------------------------------------------- PEAR - Amyl or isoamyl acetate , also known as “Banana Oil” or “Pear Oil”, is characteristic of cool-fermented whites and red wines that have undergone carbonic maceration (e.g., Beaujolais Nouveau). (source) https://wine-pages.com/columnist-articles/wine-tastes-and-flavours/ ・「バナナオイル」もしくは「ペアー(洋ナシ)オイル」として知られている酢酸アミル、もしくは、酢酸イソアミルは、マセラシオン・カルボニックを経験した低温発酵の白ワインや赤ワインの特徴である。(ボージョレ・ヌーヴォーなど) ------------------------------------------------------------- ------------------------------------------------------------- A pear drop is a hard candy popular in England, and it gets its flavors from an ester called isoamyl acetate... If you haven't had a pear drop, it actually reminds me more of bananas tha

【ワインの表現用語】Geranium(ゼラニウム)の香りとは?

WSETやJSA試験のワインの表現に使われる Geranium(ゼラニウム) の香りについてまとめてみました。 WSETでは、ゼラニウムは 花の属性 に分類されています。 下は外部のサイトの説明の引用です。また、英語に引き続き、主なポイントをそれぞれ日本語でまとめています。 <ゼラニウムの香りに関する説明> ------------------------------------------------------ Geraniums are much loved for their vivid flowers, but it’s the leaves that are responsible for their distinctive musky-floral aroma; something that is widely used in perfumes and aromatherapy. In the wine lexicon geranium is in the floral category of primary aromas, meaning it’s usually created by the grape and alcoholic fermentation, rather than winemaking techniques or ageing. Within the floral category it can perhaps be thought of as more herbaceous than rose, though more floral than elderflower. Geranium aromas are most commonly found in aromatic whites, such as premium aged examples Verdicchio dei Castelli di Jesi, from the eastern Italian Marche region. Alternatively, you might find geranium notes in the floral aroma profile of German Rieslings... (source)

【ワインの表現用語】Fennel(フェンネル)、Dill(ディル)の香りとは?

WSETのテイスティングにおいて、Herb(ハーブ)の香りとして分類される Fennel(フェンネル) と Dill(ディル) の香りの特徴について、外部サイトの情報を参考にしてまとめてみました。 両者ともに私にとってはなじみの薄い植物で、WSET L3を学習している間は、どんな香りを持っているのかかがよくわからないままでした まず、 Fennel(フェンネル) は、セリ科ウイキョウ属の多年生草本で、日本語ではウイキョウと呼ばれる植物です。 外部サイトでは次のように説明されていました。(英語の後に、ポイントをまとめた日本語をのせてあります) <Fennelの香りについての説明> ---------------------------------------------------------- Fennel is a bulbous vegetable with a fresh but slightly bitter taste... It belongs to the same family as anise; both have similar bittersweet liquorice-like flavours and aromas... In the wine lexicon, fennel is found in the herbal branch of the spice and vegetable category... Tasting notes referring to fennel may be describing either the fresh and bitter fennel vegetable, or the sweet medicinal fennel seeds. Fresh vegetal fennel notes are usually ascribed to dry white or rosé wines. These can include Verdejo wines from Rueda... Provence rosés... could have a savoury gentle herb character, in which red fruits underlay fennel

【ワインの表現用語】Bramble(キイチゴ)の香りとは?

ワインを表す用語の中には、普段の生活の中でなじみのないものが多く出てきます。 WSETでは全世界共通のワイン語彙(Wine-Lexicon)を用意しているためにそのような用語がたくさん登場します。 そのうちの1つである 「Bramble(キイチゴ)」 の香りがどのように使われるのかをいくつかのサイトを利用して調べてみました。 ちなみに、WSETでは Bramble(キイチゴ) は、 Black fruit(黒系果実) の分類に属しています。 <Brambleに対する説明> --------------------------------------------------------------- I mostly see “brambly” as a way to describe Zinfandels or other red wines. A bramble is a wild, tangled, prickly blackberry bush. Used in a wine note, “brambly” refers to the whole bush, as if you were to put your face in it, thorns and all. Think of wild blackberry (or other berry) flavors mingling with a vegetal, green or spicy, peppery undertone or a slight wood note. Depending on the context, it can also refer to prominent, prickly, rustic tannins. [source] https://www.winespectator.com/articles/what-does-the-wine-descriptor-brambly-mean-52844 ・主に、ジンファンデルやその他の赤ワインを表す場合に使われる ・キイチゴは、野生の、もつれあった、とげのある、ブラックベリーの低木 ・ワインの特徴で使われる場合は、低木全体を指す。つまり、植物、青さ、スパイス、呼称系の香り、わずかな木の香り

ワインにおけるマロラクティック発酵(MLF)の効用

WSET試験でもよく出題されるといわれる MLF(malo-lactic fermentation = マロラクティック発酵) の効用を、WSET L3のテキストから抜粋してまとめてみました。 <MLF(マロラクティック発酵)の効用> ---------------------------------------------------------- ・MLF softens and reduces acidity (MLFは酸味を減少させて口当たりをまろやかにする) ・creating buttery flavours. MLF may be encouraged in non-aromatic varieties to give the wines a rounder, creamier mouthfeel.   (バターのような風味をもたらす。MLFは、ノンアロマティックな品種でワインにまろやかでクリーミーな口当たりを与えるために与えるために使用が奨められることがある) ・a dry, high acid wine that has undergone MLF is naturally quite resistant to microbiological spoilage. (MLF醗酵を経ている辛口で酸味の高いワインは自然と微生物が及ぼす害に対してかなり耐性を持つ) ※「MLF醗酵を経て辛口で酸性になった」という意味ではなく、「MLF醗酵を経た、かつ、辛口、かつ、酸性」という意味です ---------------------------------------------------------- ここから言えることは、MLFは... ---------------------------------------------------------- ① reduces acidity  of the wine (ワインの酸味を減らす) ② increases complexity  of the wine (ワインの複雑性を増す) ③ increases the stability of the wine (ワインの安定性を増す) -----------------------------

名前の紛らわしいフォーティファイドワイン VDN、VDLの覚え方

醸造法で分けるとワインには次の4つのタイプがあるのですが、 ① Still wine (スティルワイン) ② Sparkling wine (スパークリングワイン) ③ Fortified wine (フォーティファイドワイン/ 酒精強化ワイン) ④ Flavored wine (フレーヴァードワイン) VDNとVDLは、フランスを代表するフォーティファイドワイン(③)として登場します。 VDNはVins Doux Naturels (ヴァン・ドゥー・ナチュレル = 天然甘口ワイン)、VDLはVins de Liqueurs (ヴァン・ド・リキュール = リキュールワイン)の略称です。 VDNの代表的なワインは「ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズ」で、一方、VDLは「ピノー・デ・シャラント」などです。 名前も似ており、紛らわしいこの2つのワインですが、大きく違うのは 酒精強化のタイミング です。 酒精強化とは、ワインにコクや保存性を持たせるために醸造中にブランデーやアルコールを添加する処理のことです。 VDNでは酒精強化を 果汁の発酵中 に行うのに対して、VDLでは 未発酵の状態 (一部例外もある)で行います。 主なフォーティファイドワインの酒精強化のタイミングをまとめてみました。 VDNでは酒精強化が行われることで、ワイン酵母が活動できなくなりアルコール発酵はこのタイミングで止まります(このことを、 Mutage ミュタージュ といいます)。甘味を残すために醗酵を途中で止めるという製法は、一般的な甘口ワインと同様です(ただし、一般の甘口ワインでは、発酵を止めるための方法としてアルコール添加は行いません)。 このことから、VDNの「天然の糖から造られた 甘口ワイン 」というネーミングが何となく関連付けられます。 一方で、VDLは基本的に、ブドウジュースにアルコールを加えただけの飲み物です。ワインの定義を「ブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料」とすると、ワインと言えるかどうかも怪しいです。むしろ、蒸留酒に風味成分や甘味を加えるリキュールに近い製法です。 これが理由ではありませんが、VDLの名前に リキュール が含まれていると、

カビに関係するワイン英単語 fungus, mildew, moldの違いなど

ワインの書籍を読んでいると、「カビ」を表す用語やそれに関連する用語が様々でてきます。 まず、はじめに「 fungus 」。これはカビが属している「 菌類 」を表す単語です。複数形は「 fungi 」と不規則な変化をする単語です。 fungas(菌類)には、カビだけではなく、アルコール発酵を助ける「 yeast 」( 酵母 )も含まれます。 酵母のうち、ワインの発酵を主に行う酵母は、 Saccharomyces cerevisiae ( サッカロミセス・セレヴィシエ )と呼ばれています。スペルが長くて覚えるのが大変な名前です。この名称はラテン語に由来し、Saccharo は sugar(糖) 、 myces は mold/fungus(カビ/菌類) 、そして、 cerevisiae は of beer(ビールの)  という意味があるそうです。合わせると、 ビールのための砂糖カビ といったところでしょうか。 実際に、ワインの発酵だけではなく、ビールやパンの発酵にも使われているそうです。酵母などから構成される澱に一定期間浸す製法である シュール・リー で造られたワインが、パンの香りを持つのもこのためだと思われます。 次に、今度はカビそのものを表す英単語である「 mildew 」と「 mold (米) / mould (英)」です。 両者ともに カビ という意味ですが、 mildew は主に白いカビを表すのに対して、 mold は青や緑色のカビを指すようです。 ブドウの病気で知られる、白カビが原因の ベト病 の英語名は Downy mildew 、白色の粉状の胞子が表れる ウドンコ病 の英語名は Powdery mildew です。 一方で、 ボトリティス・シネレア菌 ( botrytis cinerea )が原因の 灰色カビ病 の英語名は、 gray mold (gray rot) でこちらは白いカビではないために mold/mould と名付けられているようです。 <ブドウの菌類病のまとめ> 上の説明に登場した、「ウドンコ病」、「ベト病」、「灰色カビ病」の詳細です。 これらに加えて、日本では「晩腐病」がブドウに大きな被害を与えています。 ----------------------------