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8月, 2022の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

WSET Diploma D2 オンライン受講の感想と試験対策

以前のD1 (Wine Production)に続いて、今回はD2(Wine Business)のオンライン受講の感想です。 ≫  WSET diploma(ディプロマ)に関する記事一覧 D2では、次のような主にワインビジネスに関する内容を学びます。 ・ワインの価格に影響を与える要素 ・ワインの製造~販売に関わるプレイヤー ・ワインのマーケティング(販売) D1は登場する英単語が非常に専門的なものばかりでしたが、D2は一般ビジネスに登場する英単語が多いので、個人的には非常に取り掛かりやすい分野です。 オンライン受講の進め方は、基本的にはD1と同じです。 (関連記事: WSET Diploma D1オンライン受講の感想① ~オンライン受講の流れ~ ) D1では毎週、次のような課題が与えられましたが、D2では「グループ論述課題」と「テイスティング」が無くなりました。 ①    オンラインテキスト(テキストブック)の読み込み ②    個人論述課題 ③    グループ論述課題  → D2は無し ④    クイズ ⑤    テイスティング  → D2は無し 「グループ論述課題」と「テイスティング」は最も時間のかかる課題だったので、D1に比べると、非常に負荷の軽い受講内容となりました。 テキストブックのボリュームもD1では200ページありましたが、D2はわずか100ページ超程度で、学習内容のボリュームもかなり軽減されています。 D2の唯一の課題は、勉強時間の確保です。私の場合は、D1受講の終了後、続けてD2の受講をすることに決めたので、下図のようにD1の試験準備とD2の受講が重なりました。 私の場合、日中は仕事をしているので、ワイン学習に確保ができる時間は朝と夜のみです。毎日どちらか片方ずつをぞれぞれD1とD2の学習に充てることに決めました。 ちなみに、D2の試験準備は、D4やD5の受講と重なることになるので、ここでもやはり時間確保の問題が発生します。 D2の学習負荷は比較的軽いので、このような難しいスケジュールの中でもなんとかやりくりできました。 試験対策について D2は、D1に比べると学習ボリュームが少なく、試験準備期間も長めに確保ができるので、試験対策にも余裕があります。 しかし、D2試験の過去問を見ると、D1試験に比べて少し質問の難易度が高いように感じられます。 具体

なぜワインは瓶熟成で品質が向上するのか?ワインの熟成能力を考察

瓶内熟成の仕組みについて考察をしてみようと思います。 ある種のワインは瓶内熟成で品質が向上すると言われます。 瓶内熟成によってワインに変化が行われる原因は主に「緩やかな酸化反応」であると言われています。 なぜ緩やかな酸化反応が起こるかというと、ワインのコルク栓がわずかな量の酸素の侵入を許すからです。 この緩やかな酸化反応によって、ワインの「外観」、「香り」、「味」に変化が起こります。 「外観」の変化としては、赤白ワイン共に色味が茶色がかります。白ワインでは色が濃くなりますが、赤ワインは色が薄くなります。赤ワインでは、色素であるアントシアニンが酵母により吸収されたり、保存料であるSO2(二酸化硫黄)により脱色されるためだと言われています。 「香り」の変化としては、若いワインの持つ新鮮な果実の香りが徐々に失われ、ドライフルーツやナッツのような香りに変わります。また、醸造・熟成工程で加えられた澱の香りや樽香などが、品種本来の香りと一体化するとも言われます。 「味」の変化は主にタンニンの変化です。タンニンがより柔らかに、口当たりがよくなると言われています。一方で、酸味や、甘味、アルコール度には大きな変化はないと言われています。 では、このような変化が品質にどのような変化を与えるのかを考えてみたいと思います。 まず、全てのワインが瓶熟成によって品質が向上するわけではありません。多くのワインは瓶熟成によって品質が下がります。一般的に、瓶熟成によって品質が向上するワインには次のような要素を持っていると言われています。 ・ポジティブに発展する香りや風味 ・果実や風味の凝縮度 ・風味(果実味と骨格[酸味・タンニン])のバランス ・将来のワインを支える骨格(酸味やタンニン) 以前の記事で、ワインの品質はBLICを使って評価ができると書きました。これは「バランス(Balance)」、「余韻(Length)」、「香り・風味の強さ(Intensity)」、「複雑さ(Complexity)」の頭文字を表します。 (関連記事: 良いワインの条件とは?WSETのBLIC ) このBLICの評価軸に当てはめると、瓶熟成が可能なワインは、「バランス」が取れた、「強さと余韻(≒果実味)」が強い/長い、比較的品質の高いワインです。 そして、このようなワインは瓶熟成を経ることで、香りにはドライフルーツなナッ

シラーのワインから確実に黒コショウの香りを感じるテイスティング練習法

 シラー/シラーズワインの特徴として、 「黒コショウ」 の香りを持つと言われます。 しかし、この 「黒コショウ」 の香りを見つけ出すのは、何回練習をしても非常に難しいことだと思います。様々な練習をしてみましたが、私も未だに、この香りをかぎ分ける自信がありません。 (関連記事: シラー(Syrah)ワインの黒コショウの香りを感じるための個人的な練習方法 ) この香りの特定を難しくしている理由は、主に次のような理由にあるのではないかと個人的に思っています。 ・樽由来のスパイスの香り(ヴァニラ、クローヴ、シナモンなど)と、品種由来のスパイスの香り(シラーの黒コショウ)が混ざってしまう ・全てのシラー/シラーズが黒コショウの香りを持っているわけではない(比較的涼しい地域で出やすい香りのようですが、ヴィンテージによっても異なるそうです) ちなみに、 「黒コショウ」 の香りをもたらす原因は 「ロタンドン(rotundone)」 という名の化学物質であり、シラー/シラーズ種のブドウとコショウに共通して含まれているそうです。 (関連記事: なぜ北ローヌのシラーには黒コショウの香りが含まれるのか? ) シラー種のワインから「黒コショウ」の香りを感じ取る何か良い方法がないかと、様々なウェブサイトを調べてみました。 そこで、面白い練習方法を見つけました。 それは赤ワインに実際に黒コショウを入れてしまうという方法です。確かに、この方法であれば、確実に黒コショウの香りが感じ取れるはずです。原因物質であるロタンドンを人工的に加えてしまえばよいわけです。 自分なりのアレンジを加えて、次のような手順で試してみました。 ① 同じシラーワインの入ったワイングラスを2つと黒コショウを用意する 今回は、もともとあまり黒コショウの香りが感じられない、安いオーストラリアのシラーズワインを用意しました。フルボトルで1本1000円未満のものです。 ② 片方のワインに黒コショウを加える 1つまみくらいの少量を少しずつ加えていき、ぎりぎり黒コショウの香りが感じられる辺りで止めるのが良いと思います。 香りがワインによく溶け込むように、マドラーなどを使ってかき混ぜると良いかもしれません。 ③ 黒コショウを加えていないグラスと、黒コショウを加えたグラスで香りを比較する 香りを比較しながら、必要により黒コショウを加えます。反

アルゼンチンの主要ワイン産地(地方・州)の覚え方【語呂合わせ】

アルゼンチンの主要ワイン産地の覚え方を考えてみました。 アルゼンチンのワイン産地は、「北部」、「クージョ」、「パタゴニア」の3つの「地方」に分かれており、それぞれの「地方」に行政区画である「州」が含まれています。 地図をみると、主要なワイン産地の全てがアンデス山脈のふもとにあるのが特徴です。 アルゼンチンは、チリのように海風による冷却効果が得られないため、特に緯度の低い暑い地域では、標高による冷涼効果を得ています。 主要産地としては、サルタ州(北部地方)、ラ・リオハ州、サン・ファン州、メンドーサ州(クージョ地方)、ネウケン州、リオ・ネグロ州(パタゴニア地方)の6つを取り上げました。 このうち、ワインの生産量の多い州のトップ3は全てクージョ地方に位置しています。 ・メンドーサ州(1位) ・サン・ファン州(2位) ・ラ・リオハ州(3位) ちなみに4位には、トロンテスで有名な北部地方の サルタ州 が続きます。

ワイン資格受験生がおすすめする高コスパワイン② ~ 北ローヌ・シラー編 ~

 ワイン資格の勉強を始めてから5年目になりますが、テイスティング練習を通して様々なワインを味わってきました。   始めのうちはワインスクールに通って用意されているワインを味わうだけでしたが、最近は、自分でワインを選んでワインを味わうようになりました。しかし、私にとってのワインはあくまでも趣味なので、それほど高いワインは買えません。そのため私が選ぶ商品は、あるテーマに沿ったワインの中で、最も価格の安い部類のものがほとんどです。   しかし、そんなワインの中でも、時々、「とてもおいしい!」と驚くワインに出会います。そんな、ワイン受験生が出会った、おすすめのワインを紹介したいと思います。 今回のワインは 「E.ギガル エルミタージュ ルージュ 2009 」 です。 フランスは北ローヌのシラー種から造られる、 「エルミタージュAOC」 の赤ワインです。 エルミタージュでは、ルーサンヌ・マルサンヌとの混醸が15%まで認められていますが、このワインは100%シラー種から造られています。 北ローヌのシラーワインを選ぶ場合に、コスパ重視の私はずっと「クローズ・エルミタージュAOC」のワインばかり選んできました。クローズエルミタージュは、栽培面積が広く、機械作業が可能な平地も多く、比較的お手頃な価格でシラーワインが手に入ります。しかしその反面、栽培環境は北ローヌの他のAOCよりも劣ると言われており、ワインの品質は少し下がります。 そんな、クローズ・エルミタージュのお手頃価格のワインばかり飲んできた私にとって、北ローヌのシラーの印象は、 「パワフルだけど、果実やタンニンが未熟で、口当たりの良くないワイン」 でした。 しかし、このエルミタージュ・ルージュを飲んで、その印象は一掃されました! まず香りは、強い成熟した赤系果実と黒系果実の香りが漂います。シラーと言えば一般的に黒系果実の香りが中心と言われますが、このワインからは赤系果実の華やかな香りも感じられます。 さらに、しっかりとした果実の香りとバランスをとるように、甘いヴァニラのような樽香が加えられています。フランスらしいとてもデザートを思わせるような、エレガントな樽の香りです。 味わいはしっかりとした果実味が感じられ、高いレベルの酸味やタンニンと良いバランスを形成しています。タンニンは十分に成熟しており、クローズ・エルミタージ

シラー/シラーズの味わいは産地によってどうかわるのか(産地比較)? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~

最近は、様々なブドウ品種についての産地による味わいの違いを中心にテイスティングを行っていますが、今回はシラー/シラーズに関してです。 (関連記事: テイスティング記事一覧 ) シラー/シラーズは世界中で栽培される国際品種の黒ブドウです。フランスでは「シラー」、オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれています。 シラー/シラーズから造られる一般的なワインの特徴は次の通りです: ・色濃いワインになる(果皮が厚く、色濃く、顆粒が小さいため) ・中程度から高いレベルのタンニンと、中程度の酸味を持つ ・通常フルボディのワインとなり、黒系果実(ブラックベリー)やダークチョコレートの特徴を持つ ・冷涼地域では、ブドウが完熟しない ・温暖地域では、草、燻製肉、黒コショウのニュアンスを持つ ・暑い地域では、より甘いスパイス(リコリス)の香りを持つ ・熟成により、皮革、湿った葉、土の香りを持つ ・多くのシラーワインはオークの香りを持つ(樽熟成や、オークチップやオーク板の利用による) 続いて、主なシラー/シラーズの産地について、主なワインの特徴をまとめてみました。今回も、独断や偏見が含まれます。 さらに、実際のテイスティングを通して、味わいを確認していきたいと思います。 今回用意をしたワインは次の通りです。 ワイン①:E.guigal Crozes Hermitage Rouge 2018(クローズ・エルミタージュ [仏]) ワイン②:E.Guigal Hermitage Rouge (エルミタージュ [仏]) ワイン③:Hidden Pearl Shiraz Berton Vineyards Pty Ltd 2020 (低価格オーストラリアワイン) ワイン④:Village Shiraz Yering Station 2017 (ヤラヴァレー [豪]) ワイン⑤:Barossa Valley Shiraz Powell & Son 2017 (バロッサヴァレー [豪]) ワイン⑥:Hawkes Bay Syrah Cooper‘s Creek Vinyards 2015 (ホークスベイ [NZ]) フランス・ローヌ産2種類と、オーストラリア産3種類、ニュージーランド産1種類です。 テイスティング ワイン①:E.guigal Crozes Hermitage Rouge 2018(

ワイン資格受験生がおすすめする高コスパワイン① ~ ボルドー・ブラン編 ~

ワイン資格の勉強を始めてから5年目になりますが、テイスティング練習を通して様々なワインを味わってきました。   始めのうちはワインスクールに通って用意されているワインを味わうだけでしたが、最近は、自分でワインを選んでワインを味わうようになりました。しかし、私にとってのワインはあくまでも趣味なので、それほど高いワインは買えません。そのため私が選ぶ商品は、あるテーマに沿ったワインの中で、最も価格の安い部類のものがほとんどです。   しかし、そんなワインの中でも、時々、「とてもおいしい!」と驚くワインに出会います。そんな、ワイン受験生が出会った、おすすめのワインを紹介したいと思います。 今回のワインは 「シャトー・ブスコー・レ・シェーヌ・ド・ブスコー・ブラン (Le Chenes de Bouscaut Blanc) 2015 」 です。   これは、「樽香のきいたボルドー・ブラン」を探している中で見つけたワインです。   このワインは、ボルドーのグラーヴ地区の(赤・白ワインの両方ともに)格付けシャトーに選ばれている「シャトー・ブスコー( Chateau Bouscaut )」のセカンドワインです。さらに 2015 年はボルドーのグレートヴィンテージと言われています。     正直私はこのワインに出会うまで、ボルドーブランを美味しいと思ったことがありませんでした。それまで私がボルドーブランに持っていたイメージは、「ソーヴィニヨンブランから酸味やフレッシュさを奪った中途半端な味のワイン」という印象でした。   しかし、このワインは違いました。確かにロワールのようなフレッシュさを楽しむワインではありません。しかし、しっかりとした果実味に樽香の甘い香りが加えられ、それほど目立ちはしませんが高いレベルの酸味と調和して、なんとも言えないバランスを保っています。後味として樽由来の苦みがやや感じられますが、これもしっかりとしたボディと果実味と調和をしている印象です。   個人的な印象なのですが、いわゆるソーヴィニヨンブランらしさを生かしたフレッシュなワインと言うよりは、樽醸造や樽熟成、バトナージュなどの醸造手法を用いて、品種本来の香りに追加の香りや質感を加えた、高度な醸造技術を持つフランスらしいワインです。よ

WSET Diploma D1 試験突破に必要なものは?~ 認定試験の感想と、試験対策に関する後悔 ~

D1 の認定試験の結果が返ってきました。結果の通知は受験日から10週後が目安なので、おおむね予定通りです。 (関連記事: 「WSET Level 4 Diploma in Wines(通称、ディプロマ)」について調べてみました )   結果は登録住所(私の場合は自宅)に封書で届きました。   数か月間の努力の結果が一瞬で明らかになってしまうので、なかなか開ける勇気がありません。届いてから暫く放置をしておきました。   それから心を落ち着けて「えいやっ」と開封しましたが、結果は無事「 PASS 」でした。   しかし、その結果は期待していたほど良いものではありませんでした。   合格をしたことは嬉しかったのですが、 Diploma は決して甘くないという現実を突きつけられました。と同時に、試験対策についての大きな後悔も残りました。   自分への戒めも込めて、 D1 の試験対策の後悔を書き留めたいと思います。   試験対策の後悔   後悔①: 専門用語にとらわれ過ぎた   D1 は一般的なブドウ栽培からワイン醸造までを詳しく学ぶ Diploma プログラムの根幹となる分野です。   そのため、生物や化学分野の日頃は目にしないような英単語や専門用語がたくさん登場します。   (関連記事: WSET Diploma D1オンライン受講の感想② ~オンライン テキスト ブックの読み込み~ ) 最初の私の後悔は、これらの英単語のスペルや、専門用語の意味を覚えるのにこだわりすぎてしまったことです。   これは、 JSA ワインエキスパートの試験対策で身についてしまった悪癖なのですが、専門用語を目にするとすぐにそれに飛びついて、その意味を覚えることに多くの時間を割いてしまうことです。ワインエキスパートの試験では、用語の意味を問う問題が多数く出題される傾向にあったためにこのような癖がついてしまっていました。   しかし、このような勉強法は Diploma においては学習効率の悪さにつながってしまったと思います。 Diploma でも専門用語の意味を答える問題は出題されます。しかし、その配点はそれほど大きくありません。そのため、専門用語にあまりこだわり過ぎず、より多くの時間をブドウ栽

チリのワイン産地、コキンボ・スールのサブリージョンの覚え方【語呂合わせ】

 前回の「セントラル・ヴァレー」リージョンのサブリージョン覚え方に続いて、今回は「コキンボ」と「スール」リージョンのサブリージョンの覚え方を考えてみました。 (関連記事: チリのワイン産地、セントラルヴァレーのサブリージョンの覚え方【語呂合わせ】 ) コキンボ リージョン まずは、より北の 「コキンボ(Coquimbo)」リージョン から。 コキンボリージョンは、チリで北部にあるアタカマ・リージョンと、アコンカグア・リージョンに挟まれる産地です。 (関連記事: チリの主要ワイン産地(リージョン)の覚え方【語呂合わせ】 ) ここには 「エルキ・ヴァレー」 、 「リマリ・ヴァレー」 、 「チョアパ・ヴァレー」 という3つの主要なサブリージョンがあります。 そして、次のような語呂合わせで覚えます。 「チリは、 今期も (コキンボ) エレキの利回り (エリキ・ヴァレー) 利回り (リマリ・ヴァレー) 超アップ (チョアパ・ヴァレー)」 スール リージョン 次は、 「スール(South/Sur)」リージョン です。 「スール」リージョンは、セントラルヴァレー・リージョンと、アウストラル・リージョンに挟まれたチリ南部の産地です。 (関連記事: チリの主要ワイン産地(リージョン)の覚え方【語呂合わせ】 ) ここには、「イタタ・ヴァレー」、「ビオ・ビオ・ヴァレー」、「マジェコ・ヴァレー」の3つの主要なサブリージョンがあります。 そして次のような語呂合わせで覚えます。 「チリ 擦るよ(スール) 痛い(イタタ・ヴァレー) 病気に(ビオ・ビオ・ヴァレー) マジか?(マジェコ・ヴァレー)」 アコンカグア・リージョンについては特に独自の語呂合わせは作りませんでしたが、 「あかん!母さんが、アントニオ猪木にラブレター」のような、有名な語呂合わせで覚えることができます。

チリの主要ワイン産地(リージョン)の覚え方【語呂合わせ】

チリの主要ワイン産地の覚え方を考えました。 チリの産地には、「リージョン」→「サブリージョン」→「ゾーン」→「エリア」の4つの階層がありますが、今回は最上位階層である「リージョン」についてです。 北から、「アタカマ」、「コキンボ」、「アコンカグア」、「セントラル」、「スール」、「アウストラル」の6つのリージョンがあります。 「チリチリ (チリ) あたまに (アタカマ) コキン (コキンボ) あかん! (アコンカグア) センター (セントラル) スルーで (スール) アウトとれん (アウストラル)」 と覚えます。 チリの産地は、アルゼンチンの産地と混同しがちなので注意が必要だと思います。

なぜワインはおいしくないのか?【考察】

お酒を飲む人の中でも、ワインが苦手と言う人の話はよく聞きます。なぜ、ワインが苦手になってしまうのかを、これまでの個人的な経験をもとに考察してみました。 ある調査によれば、ワインの味が苦手な人の主な理由は、ワインの 「酸っぱさ」 と 「苦み」 にあるそうです。 私もその意見に共感します。かつて、私にとってもワインは決して好きなお酒ではありませんでした。 ビールやサワー、焼酎をある飲んだ後に、気分を変えてワインを飲むことはあったのですが、決して好んで最初に選ぶお酒ではありませんでした。 その頃は、酸味や苦みが強調されているような気がして、ワインのどこにおいしさを感じてよいのかがよくわかりませんでした。 今ではワインを美味しいと感じられるようになりましたが、過去の経験を振り返ると、ワインが苦手だと思ってしまうのには次のような理由があるのではないかと思います。 ワインが美味しくないと感じる理由 ワインが苦手に感じる理由の1つとしては、まずは 「ワインの味に慣れていない」 ことがあると思います。ワインが持つ「酸味」や「苦み」は決して口当たりの良い味ではないと思います。ビールの苦みが美味しいと感じるまでに時間がかかるように、ワインの味に慣れるのにも一定の時間がかかると思います。 しかし、個人的にはもう1つ大きな理由があると思います。それは 「飲んでいるワインが本当においしくない」 ということです。 ワインを学んでいると、ワインについてネガティブな表現をしてはいけないということをよく言われますが、それでも実際に美味しくないワインはあると思います。そんなワインの特徴は、酸味や苦み、またはアルコールだけが強調されているということです。 美味しいワインの特徴は? ワインは基本的に、「果実味」と「骨格(酸味+タンニン)」、「アルコール」のバランスを楽しむお酒だと思います。 「果実味」は口当たりが良く、受け入れられやすい味の要素である一方で、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」はそれ単体だけだと不快な口当たりを与え、受け入れられにくい要素です。タンニンやアルコールは苦みを感じる要素ともなります。 酸味やタンニン、アルコールは、料理におけるスパイスに似ていると思います。たとえば、唐辛子はそれだけを食べると苦痛に感じますが、それ自体にしっかりとした旨味を持った料理に加えると良いアクセントとな

WSET Diploma D1オンライン受講の感想⑧ ~求められた英語力~

前回の記事でも書きましたが、 D1 のオンライン受講で求められた英語力は圧倒的にリーディング能力とライティング能力でした。 (関連記事: WSET Diploma D1オンライン受講の感想⑦ ~D1認定試験の準備~ )  個人的な意見で言うと、各英語力の重要性は次のような感じだと思います。   ・リーディング力  → 超重要 ・ライティング力  → やや重要 ・リスニング力  → それほど重要ではない ・スピーキング力  → ほとんど重要ではない     リーディング力   オンライン受講においてリーディング力は最も重要で下。なぜなら、オンライン受講のインプットは、ほとんど全てがリーディングによって得られるからです。読むべきものは例えば次のようなものでした。   ・テキストブック ・課題の指示 ・試験対策資料(理論試験ガイド、テイスティングガイド) ・ Diploma プログラム全般の説明資料( Specification )   また、講師とのやり取りも基本的にほぼすべてがオンラインプラットフォーム上のツール(メール、チャット、コメントツール)を使ってのテキストベースのやり取りでした。   とにかく毎週読むものが多くて、担当講師から時々送られてくる有難いはずの長文メールもうんざりしてしまうほどでした。   講師とのやり取りで私が最も苦労をしたのはチャットでのやり取りでした。毎週1回、各担当講師が1時間のチャットセッションを開催して、受講者全員を対象に自由に質問のできる場を与えてくれたのですが、即座に英文を書いたり読んだりするスピードについていけず、その場を有効に活用することはできませんでした。質問を送ろうときっちりスペルや文法を確認したりしていると、完全にチャットの流れに遅れてしまっていました。     ライティング力   英語のライティング力もリーディング力に次いで重要です。ライティング力は主に課題の提出に必要とされました。   論述課題は結構な長文になることもあるので、日ごろからある程度の英文を書くことに慣れていないと、毎週すべての課題をやり終えるのはかなり大変な作業だと思いました。   また、講師への質問は基本的には、メールもしくは

ピノ・ノワールの味わいは産地によってどうかわるのか(産地比較)? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~

今回はピノ・ノワールについて調べてみたいと思います。 まず、ピノ・ノワールワインの特徴は、次のようにまとめられると思います。 ・色は淡く、タンニンは低め~中程度 ・多くのワインは果実味の豊富な若いうちにのまれるが、特に品質の良いものは熟成能力を持つ ・熟成能力のあるワインはオーク樽で熟成されるが、繊細な香りが特徴であるために、新樽比率が高いと品種由来の香りが樽由来のヴァニラやトーストの香りに圧倒されてしまう 【冷涼~温暖地域の場合】 ・赤系果実(イチゴ、ラズベリー、サクランボ)の香りを持つ ・熟成を経ることで、野菜や動物を連想される香り(湿った葉、キノコ、猟鳥類、肉類の香り)に発展する ・涼しすぎると、過剰な野菜の香り(キャベツ、湿った葉)の香りを持つ 【高温の気候の場合】 ・過剰なジャムのような香りを持つ ピノ・ノワールワインは世界中で製造がされていますが、主な生産地域は、「ブルゴーニュ」や「ファルツ、バーデン(独)」、「セントラル・オタゴ(NZ)」、「ソノマ、サンタバーバラ、オレゴン(米)」、「カサブランカヴァレー(チリ)」などがあげられると思います。 それぞれの地域の特徴を、ある程度独断も含めてまとめてみました。 次に、実際のワインのテイスティングを通して、各産地のワインにこのような味わいの特徴が現れているかを確認していきたいと思います。 今回用意をしたワインは次の5つです。 ワイン①:Spätburgunder Qba Trocken Bernhard Koch 2019(ファルツ [独]) ワイン②:Beaune 1er Cru Les Theurons Albert Moro 2014(ブルゴーニュ 1er Cru) ワイン③:Roaring Meg Pinot Noir 2016(セントラルオタゴ[NZ]) ワイン④:Pinot Noir Mt.jefferson Cuvee Cristom Vineyards 2016(オレゴン[米]) ワイン⑤:Migration Pinot Noir Sonoma Coast Duckhorn Vinyards 2016(ソノマ[米]) テイスティング ワイン①:  Spätburgunder Qba Trocken Bernhard Koch 2019(ファルツ [独]) 【よりどり6本以上送料無料】 ベル