ある種のワインは「肉(meat, meaty)」の香りや風味を持つと言われています。
ブドウから造られるワインから、タンパク質でできている肉の香り/風味がするのは少し奇妙な感じがしてしまいます。
しかし、一方で「肉」やこれに近い香り/風味で表されるワインを、結構よく目にするような気がします。
個人的にはなんとなく分かっているような、分かっていないような「肉」という表現ですが、今回いくつかのサイトを参考に調べてみました。
どんなワインに使われることが多いのか?
「肉」で例えられるワインとして真っ先にあがるのが、北部ローヌのシラー(Syrah)です。北部ローヌ以外でも、この表現が用いられるシラー/シラーズは多いようです。
また、その他の「肉」で例えられるワインとしては、カベルネソーヴィニヨンなどから造られるボルドーの赤や、テンプラニーリョから造られるスペインのトロなどもあがるようです。
これらのワインに共通することは、力強い赤ワインで、黒系果実の香り/風味を持つことだと思います。
また、もう1つの要素として、「肉」の香り/風味はワインの熟成と関係があるようです。
ワインは熟成過程を経ることで、ブドウ由来の第一の香り/風味が薄れ、発酵後の醸造工程で生まれる第二の香り/風味や、熟成過程で生まれる第三の香り・風味が現れます。
第一の香り・風味がフレッシュで「果実味」に富んだ香りである一方で、第二、第三の香り/風味は、より「うま味」を感じさせる香り/風味です。
「肉」の香り/風味とは、どうやら果実味が少し薄れて、うま味が現れてきたワインで感じられることが多いようです。「肉」の香りが「うま味」の現れ始めたワインから感じられるというのは、直感的にも納得です。
これらを合わせて考えてみると、「肉」の香り/風味を感じられるワインは、力強く黒系果実の香りを持つワインのうち、一定の熟成期間を経たものから感じられると考えるのがよさそうです。
「肉(meat, meaty)」の香りとはどんな香り?
肉の香り/風味は、「ローストした肉やベーコン」や「グリルから出る血や煙」などで例えられるようです。
しかし中にはより、「生肉や血」に近いニュアンスで例えられるワインもあるようです。これには、メンシアというブドウ品種から造られるビエルソ(スペイン)のワインがあるようです。「血」や「鉄」、「金属」を感じさせる香り/風味を持つと言われています。
「肉」に近い他の香り
「肉(meat, meaty)」に近い香りの中には、「ジビエ(game, gamy)」という香りもあるようです。
この香りは、「肉」が感じられるワインと比べると、より軽いワインで、赤系果実の香りが中心のワインから感じられると言われているようです。例えば、ピノ・ノワール、バルバレスコ、リオハ、ピノタージュなどのワインが含まれるようです。
「ジビエ」の香りは、「肉」よりは軽めで、より香ばしさがあり、「吊るされたキジ」や「農園」の香りを連想させるそうです。
欠陥を表す「肉」の香り
最後に、欠陥が理由でワインから「肉」のニュアンスが感じられることもあるそうです。
その原因は、天然(野生)酵母であるブレタノマイセス(Brettanomyces)による汚染です。
ブレタノマイセスは少量であれば、良い風味を醸し出しワインの複雑性を高めると言われていますが、量が多くなると、燻製肉や皮革、汗をかいた馬、絆創膏、熱を加えたビニールなどの動物やプラスチックの香り/風味をワインに与えてワインを台無しにしてしまうと言われています。
まとめ
色々調べてみて、理論の面ではなんとなく「肉」の香り/風味の輪郭が見えてきたような気がします。
しかし一方で、「肉」の香りが捉えられるかどうかは、やはり嗅覚や味覚の問題なので、対象のワインを様々比較をしながら練習を繰り返し、直感的に理解をしていくことも必要なんだろうと思います。
ただ、予めこのような言語化された情報を頭に入れておくことは、実際にワインを味わう際に、「肉」の香りを捉えるための大きな助けになるのではないかと思います。
【今回参考にしたウェブサイト】
https://www.winemag.com/2020/07/30/wine-term-guide-meaty/
https://www.decanter.com/learn/makes-wine-taste-meaty-ask-decanter-367191/
https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/