タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
「grafting = 接ぎ木」です。
grafting(接ぎ木)は、ワイン用として栽培されるほとんどのブドウ樹に採用されている手法です。
上部のscion(穂木)にはVitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)と呼ばれるユーラシアの種が一般的に用いられます。
一方で、rootstock(台木)にはVitis Rupestris(ヴィティス・ルペストリス)、Vitis Riparia(ヴィティス・リパリア)、Vitis Berlandieri(ヴィティス・ベルランディエリ)などの北米原産種が用いられます。
一般的にワイン用ブドウに向いている種はVitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)と言われています。しかし、Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)には大きな弱点があります。それは、フィロキセラと言われる害虫に対する耐性がないことです。フィロキセラは主にブドウ樹の根を襲って、最終的にはブドウ樹を死に至らしめます。
フィロキセラはもともと北米からやってきた害虫です。北米原産のブドウ品種は長い時間をかけて、フィロキセラに対する体制を身につけてきました。
そのため、穂木をVitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)、台木を北米原産種とすることで、両者の「いいとこどりをする」というのが、この接ぎ木の考え方です。
こうしてできたブドウ樹は、Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)のブドウの味を持ちつつ、フィロキセラに対する耐性を保持します。
最も一般的な接ぎ木の手法は、穂木と台木になる両方のブドウ樹から長梢を切り取り苗木を作るという方法です。
この苗木を植えて育てることで、フィロキセラ耐性のあるブドウ樹に成長します。
高接ぎ
高接ぎ(Head grafting / Top grafting)は、苗木としての接ぎ木とは異なり、既に収穫ができるまでに成長したブドウの樹に接ぎ木をする方法です。
高接ぎでは、ブドウの樹は主幹だけを残して短く切られ、枝接ぎ、または、芽接ぎによって主幹とは異なる新しい品種のブドウ樹が接ぎ木がされます。
高接ぎの最大のメリットは、接ぎ木をしてからワイン生産用の果実を収穫できるようになるまでのスピードの速さにあります。
通常、新しく植えられたブドウの樹からワイン生産用の果実を収穫できるようになるまでは、最低3年かかると言われています。
しかし、高接ぎした場合には、新しい品種のワイン生産用ブドウが次のシーズンには収穫できるようになります。
この収穫までのスピードの速さによって、栽培者は市場のニーズの変化に素早く対応できるようになるわけです。
また、高接ぎは費用面でも大きなメリットを生み出します。畑全体を新しい品種に植え替えることと比べたら、高接ぎによる新品種への枝接ぎ、または、芽接ぎはずっと低コストに抑えられると言われています。