タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
スペインのワイン産地のいくつかではスレート土壌が好まれて利用されています。
例えば、プリオラートやビエルソなどが該当します。
そこで、なぜスレート土壌がワイン用のブドウ栽培に好ましいのかを、プリオラートのスレート土壌であるリコレーリャ(リコレリャ、リコレッリャ)土壌の特徴から考察してみました。
リコレーリャ土壌とは、雲母の小粒を含む赤黒いスレート(粘板岩)土壌です。現地語では「LLICORELLA」と書かれます。
リコレーリャの特徴を下図のようにまとめてみました。
このリコレーリャの土壌のプリオラートでは、ブドウの収量が制限されるため、凝縮度の高い品質の高いブドウができると言われています。
収量が制限される理由は大きく2つあると思います。
1つは、土地がやせていて栄養分が少ないことです。これは、スレート土壌がもっている特徴の1つのようです。
そしてもう1つは、プリオラートの降水量の少なさです。夏場に雨が少ないことで、ブドウが摂取する水が制限されるので、収量が制限されるというわけです。
しかしその反面、安定的に一定の水が摂取できないと、かえってブドウには干ばつのリスクが高まります。
そこで役に立つのがスレート土壌の垂直に割れやすいという性質です。この性質によってブドウは地中深くの水を確保できるので、常に最低限の水が確保できるのだと思います。
これがスペインのいくつかの産地において、スレート土壌が好まれる理由なのではないかと考察します。
<了>