タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
今回は世界三大貴腐ワインの産地として知られるトカイの自然環境について調べてみたいと思います。
まず、トカイがどこにあるかというと、ハンガリーの北東部に位置しています。
スロバキアとの国境の近くです。
この地図を見ると、ハンガリーがいかに内陸にあり、様々な国に挟まれているかが分かります。
トカイはちょうど、ボドログ川(Bodrog river)とティサ川(Tiza river)という2つの川が合流する場所に位置しています。
そして、トカイのブドウ畑はゼンプレーン山脈(Zemplen mountains)とボドログ側を挟むように、北部のスロバキアとの国境に向かって広がっています。
ボドログ川とティサ川には若干の水温の差があり、これが秋の早朝に貴腐の発生に必要な湿気を作り出すのだとか。
そして、その湿気はブドウ畑に広がり、広くブドウに貴腐菌を繁殖させます。
しかし、貴腐ブドウを造るにはもう1つ重要な自然環境が必要です。それは、午後には日差しが良く当たりブドウの水分を十分に蒸発させる環境があることです。
トカイは北西部に広がるゼンプレーン山脈のおかげで比較的降水量が少なく、暖かい地域です。また、多くのブドウ畑は南向きの斜面に位置しており、昼間はたくさんの日照を得ることができます。
このような環境が揃っていることで、貴腐菌によって果皮に穴の開けられたブドウから水分が蒸発し、糖分の凝縮した貴腐ブドウができあがると考えられます。
<続く>