スペインには素晴らしいワイン産地がたくさんあるのですが、産地の数が多すぎて、個人的には1つ1つの特徴を捉えることが難しいと感じています。
リオハとプリオラートはとても有名なので、比較的しっかりと特徴を捉えているつもりですが、カスティーリャ・イ・レオン州となると、州全体の特徴は何とかわかるのですが、個別の産地の特徴については少しおぼろげです。
そこで今回は、スペインの「カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)州」のワイン産地の特徴をまとめてみたいと思います。
まず、スペインのワイン産地全般についてですが、基本的に、ワイン産地は州ごとにまとめられていることが多いです。ただし、リオハDOCaのように、ラ・リオハ州を中心としてバスク州とナバーラ州にもまたがっているという例外も存在します。
スペインには17の自治州があり、カスティーリャ・イ・レオン州は北部の内陸に位置しています。
カスティーリャ・イ・レオン州の基本的なブドウの栽培環境の特徴は、
・メセタにあるので標高が高い
・内陸にあるために大陸性気候(暑く短い夏と、寒い冬)である
・大西洋の影響はあまり受けず乾燥している
などです。
ちなみにメセタ(メセタ・セントラル)とは、イベリア半島中央部にある乾燥した高原のことです。下図のように広範囲に広がっています。
カスティーリャ・イ・レオン州の主なワイン産地をあげると次のような産地があがります:
・ビエルソDO
・リベラ・デル・ドゥエロDO
・トロDO
・ルエダDO
気候は基本的には温暖な大陸性気候です。しかし、やや海の影響を受けるビエルソDOと、完全な大陸性気候のその他3つの地域ではやや気候や栽培環境が異なります。
それぞれの栽培環境を簡単にまとめてみました。下図からも分かるように、「リベラ・デル・ドゥエロDO」、「トロDO」、「ルエダDO」はかなり乾燥した地域です。
栽培環境が異なれば、そこで造られるワインの特徴も異なります。各産地の主要なワインの特徴をまとめてみました。
ビエルソDOの主要なワインは、メンシア(Mencia)というブドウから造られるミディアム~ミディアム(+)ボディの赤ワインです。
メンシアという品種は、主にガリシア州で栽培されている品種ですが、ビエルソはガリシア州との境に位置している影響もあり、この品種が用いられているようです。
もともとはそれほど注目されていた産地ではありませんでしたが、90年代後半に、スレート土壌(プリオラートと同じ土壌)に目を付けたアルバロ・パラシオスとリカルド・ペレスが高品質なワインを造り始めたことで注目を集めた産地です。
ドゥエロ川に近い地域には、リベラ・デル・ドゥエロDO、ルエダDO、トロDOが位置します。
いずれの地域でも、赤、白、ロゼワインの製造が認められていますが、リベラ・デル・ドゥエロDOとトロDOは、赤ワインで有名な産地です。こちらでは、ビエルソとは異なり、テンプラニーリョのフルボディの赤ワインが有名です。
テンプラニーリョのワインと言えば、リオハDOCaのものが有名ですが、この2つの産地のテンプラニーリョは、リオハのものと比べてよりパワフルなワインと言われています。
これは、カスティーリャ・イ・レオンの産地はより内陸の標高の高い場所にあるために、ブドウがより暑く、乾燥した、太陽光の強い環境で栽培されている影響かもしれません。
リベラ・デル・ドゥエロDOはもともとマドリードに近いこともあって、多くのワインメーカーが投資をしてきた土地でしたが、最近はトロDOにも注目が集まっているようです。
最後に、ルエダDOはリベラ・デル・ドゥエロDOやトロDOとは対照的に、白ワインが有名な産地です。ここでは、ベルデホやソーヴィニヨンブランでフレッシュなワインが造られています。
基本的には、フレッシュ&フルーティーな早飲みの中程度の品質のワインが造られていますが、中にはオーク樽で発酵・熟成をしたワインも造られているようです。
このように、主要な4つのワインの地域を見てみると、主要ワインや主要品種に大きな違いがあることが分かりました。
<了>