トカイ・アスーはハンガリーで造られる貴腐ワインです。世界三大貴腐ワインの1つに数えられています。
トカイ・アスーの製造工程は、アスー(Aszú)ブドウと呼ばれる貴腐ブドウを発酵前/発酵中/発酵後のマスト(発酵後はベースワイン)に浸してつくるという非常に特徴的なものです。
多くの甘口ワインは通常の白ワインと同じような流れで作られますが、トカイ・アスーは少し独特な製法なので、その流れをまとめてみました。
やはり特徴的なのは、アスーブドウ(貴腐ブドウ)を収穫後にそのまま圧搾するのではなく、マスト/ベースワインに浸る(マセレーションする)という部分です。
アスーブドウの糖分の凝縮度が非常に高く、通常の圧搾では果汁が抽出できないために、このような製造工程になったのだとか。マセレーションに使われるアスーブドウはそのままの場合もあれば、つぶしてペースト状にしたものの場合もあるようです。
そして圧搾は、マスト/ベースワインに貴腐ブドウが浸されて、糖分や風味が抽出されたのちに行われます。
圧搾されたマスト/ベースワインは、アルコール発酵を経て、オーク樽で熟成されます。
このような製造工程を経るために、トカイ・アスーには次のような特徴が与えられると考えられます:
・貴腐ブドウの香り(オレンジの果皮、マーマレード、ハチミツなど)
・長期熟成による外観の変化(琥珀色)
・長期熟成による熟成香の発生(ハチミツ、ドライフルーツなど)
・[酸化熟成を経た場合] ナッツやキャラメルの香りの発生
実際に多くのトカイ・アスーは次のような特徴を持つと言われています:
・深い琥珀色の外観
・オレンジの果皮、アプリコット、ハチミツの強い香り
・高い酸味
・低~中程度のアルコール度
<了>