テイスティング対策の失敗談その2は、醸造知識の欠如です。
正しい醸造知識がないと、練習用のワインを買うのにも正しいものが選べませんし、実際のテイスティングにおいても大きな失敗をしてしまいます。
例えば、その昔、ワインエキスパート2次試験対策用に、ガメイワインを購入しました。
よく言われるガメイの特徴と言えば、色のわりにタンニンが少ないとか、バナナのような甘い香りがするとかです。
しかし、私が購入したワインからはあまりそのような特徴を捉えることはできませんでした。
当時は欠陥ワインを購入してしまったくらいにしか考えていませんでしたが、今になって考えてみると、実はこれ、おそらくワインの選び方が原因だったのではないかと思っています。
「色のわりにタンニンが少ない」とか「バナナのような香り」という特徴は、実はガメイそのものが持つ特徴というよりは、マセラシオン・カルボニック/セミ・マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法/半炭酸ガス浸漬法)という特殊な製法によるワインが持つ特徴だったのです。
多分、私が購入したワインにはそのような製法が用いられていなかったか、その製法の特徴があまり表れていないワインだったのだと思います。
別の例を挙げると、同じくワインエキスパート対策で、テンプラニーリョワインを購入したことがありました。
ワインエキスパートの2次試験で出題されるテンプラニーリョワインには、「乾燥果実」や「タバコ」という特徴がよく挙げられます。
しかし、私が購入したワインからはそのような特徴を感じることはできませんでした。
それもそのはず、私が購入したリオハワインは「ホーベン」でした。ホーベンは、「樽熟成1年以下、または全く樽熟成を行わないワイン」のことです。このような熟成期間では、熟成香である「乾燥果実」や「タバコ」の香りが得られるわけがありません。
このように、「正しい醸造知識がない」ことで、練習用に購入するワインを完全に誤ってしまっていました。
また、「醸造知識の欠如」によって、実際のテイスティングにおいても失敗をしてしまうこともありました。
ある時のブラインドテイスティングにおいて、タンニンと酸味がしっかりとした、黒系果実のワインが出題されました。果実の熟度から判断するに、多分、ニューワールドのフルボディのワインだと思いました。
カベルネ・ソーヴィニヨンと、シラーズで迷いましたが、「酸味が高い」という特徴から、カベルネ・ソーヴィニヨンを選びました。
しかし、正しい答えは「シラーズ」でした。
高い酸味の原因は、おそらく「補酸(酸味の調整)」によるものでした。
当時の私は、ニューワールドのワインでは「補酸」が一般的に行われているという知識が全くありませんでした。そのため、単純に「高い酸」という特徴だけで、安直に回答を「カベルネ・ソーヴィニヨン」にしてしまうという失敗をしてしまいました。
このような失敗の経験から、テイスティングの準備にあたっては、ある程度の「醸造知識」を身につけておくことがとても重要であることが良く分かりました。