ワインと言えば、白ワイン、赤ワイン、ロゼワインの3つがメジャーなカテゴリーです。
しかし、近年、新たなカテゴリーとして「オレンジワイン」が人気を博しています。
オレンジワインとは、恐らくその見た目が命名由来であり、通常、オレンジ色や琥珀色をしています。
では、なぜそのような見た目の特徴が出るのかを、製造工程に焦点を当てて考察してみたいと思います。
オレンジワインの製造工程について
まず、オレンジワインは白ブドウからできています。
しかし、そのスタイルは白ワインとは大きく異なります。そのスタイルの違いは製造工程に由来しており、オレンジワインは白ブドウを使って赤ワインの製造工程を経て造られているとよく言われます。
白ワインと赤ワインの製造工程の違いを簡単にまとめると次のような図になります。
白ワインと赤ワインの製造工程の大きな違いは、果皮の分離のタイミングであり、白ワインはアルコール発酵前に果皮が果汁から分離されるのに対して、赤ワインでは果皮はアルコール発酵後に分離されます。
言い換えると、白ワインは果汁のみでアルコール発酵が行われるのに対して、赤ワインでは果汁が果皮(その他、種子や果肉も含む)を含んだ状態でアルコール発酵がなされます。
これを踏まえて、オレンジワインの製造工程を当てはめてみると、次の図のようにあらわされます。
同じ白ブドウから造られる白ワインと比較をしてみると、果皮の分離のタイミングがアルコール発酵後であることがわかります。
オレンジワインでは、果汁と果皮が接触している時間が長いために、果皮から溶け出す成分の影響によって、オレンジ色のような色になると言われています。
ちなみに、オレンジワインは別名、スキンコンタクトワインとも呼ばれています。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、オレンジワイン/アンバーワインは「マセラシオンのある白ワイン」と説明されており、その最低期間は1か月と言われています。
先ほど説明をしたオレンジワインの製造工程では、簡素化のために果皮分離のタイミングをアルコール発酵後としていましたが、OIVの説明によると長期のマセレーションを経ていれば、必ずしも果皮とともにアルコール発酵を行っている必要はなさそうです。
下図の上の流れが、それを表したものです。下の流れは、先ほどの説明のようにアルコール発酵後に果皮を分離するパターンです。つまり、どちらの流れの場合でも、果皮との長期マセレーションを経ていれば、「オレンジワイン」と呼ばれているのだと思います。
最後にロゼワインの製法との比較です。
下図では代表的なロゼワインの製法である、セニエ法と直接圧搾法を取り上げてみました。
よく、オレンジワインの製法はロゼワインの製法と対局的と言われますが、それはオレンジワインが果皮との接触を積極的に増やしている一方で、ロゼワインでは果皮との接触を最小限にとどめているところにあるのだと思います。
オレンジワインの味わいについて
オレンジワインは、果皮との長期の接触を経て製造されるため、白ワインに比べて色素や、香り、タンニンの抽出度合いが高められます。
そのため、白ワインに比べると、香りの強さや、しっかりと感じられるタンニンなどが味の特徴として現れます。また、抽出度合いが高められることから、多くの場合白ワインに比べるとよりしっかりとしたボディが感じられます。
オレンジワインの特徴として、しばしば、ドライフルーツやドライハーブ、干し草、ナッツなどの香りがあげられますが、これは特に長期熟成を経た品質の高いワインで感じられるものだと思います。早飲みタイプのオレンジワインではこれらの香りは感じられず、よりフレッシュな果実の香りが多くの部分を占めるはずです。
今回の記事では、製造工程に関する説明は最小限にとどめましたが、用いられる製造工程のオプションによって、オレンジワインの味わいは大きく変わります。特に、多くのオレンジワインではナチュラルワインに用いられるさまざまな醸造オプションが適応されており、これが近年のオレンジワイン人気の原因になっているようです。
<了>