MLFと言えば、マロラクティック発酵。
ブドウ中のリンゴ酸が乳酸になる発酵です。
MLFの大きな特徴と言えば、ワインにバターなどの乳製品の香りが加えられることです。
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マコンやカリフォルニアのシャルドネからは、このMLFに起因する乳製品の香りが強く感じられます。
そう考えると、スパークリングワインの中にも、このバターや乳製品の香りが感じられるものがありそうです。
しかし、これまでシャンパーニュを含め、様々なスパークリングワインを味わってきましたが、はっきりとしたMLF由来の香りが感じられるものはありませんでした。
なので、私は多くのスパークリングワインはMLFをしないものとばかり思っていました。
ずっとそう思い続けてワインの勉強を続けてきたのですが、最近分かったことは、どうやらMLFを行うことはスパークリングワインにおいては決して珍しいことではないということです。
特に寒い地域のブドウを使う場合は、高すぎる酸味を抑えるためにMLFを行うのだそうです。(乳酸はリンゴ酸よりも酸味が低いため)
ここで1つ疑問が残ります。それは、「なぜ、MLF特有の乳製品の香りがはっきり分かるスパークリングワインが見つからないのか?」です。
これの疑問に対しては1つヒントが見つかりました。それは、「乳製品の香りの由来となるダイアセチル(diacetyl)という物質はスパークリングワインの2次発酵において、酵母によって代謝されてしまう」ということです。
つまり、乳製品の香りの由来となる物質がなくなってしまうので、その香りも消えてしまうということです。
スパークリングワインの主な製造方法のうち、伝統的製法(シャンパーニュ製法)、トランスファー方式、タンク方式、いずれも2次発酵を含むので、ダイアセチルの酵母による代謝が原因だとすると、たしかに合点がいきます。
一方で、2次発酵を炭酸ガス注入法式は理論的にはMLF香を含むスパークリングワインが見つかるはずですが、そもそもこの方式はMLFと相性の悪いアロマティック品種のスパークリングワインに多く使われる方法なので、そもそもMLF工程は抑制されていそうです。つまり、この製造方式の場合も、MLF香のあるスパークリングワインは見つからなさそうです。
こう考えると、MLFに由来するバターや乳製品の香りのするスパークリングワインが見つからない理由に一定の納得が得られますが、真実はどうなのでしょうか?