タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
備忘として、以前に調べた「フラッシュ・デタント (Flash détente)」の特徴をまとめます。
フラッシュ・デタントとは?
・発酵前の抽出の方法の1つ
・除梗したブドウを素早くに熱し(85-90°C)、真空下で素早く冷やすことで(約2分)、マセラシオンによる色素や風味成分の抽出を高める
・(発酵前抽出なので、タンニンの抽出は目的としていない)
効果(メリット)
・色素と香りを素早く抽出できる
・ワインの果実味を強められる
・貴腐化したブドウの酸化を抑えられる(高温により酸化酵素のラッカーゼが変性する)
・煙に汚染されたブドウから造られるワインが持つ独特の香りを減らすことができる
デメリット
・色が定着しにくい(なので長期熟成のワインには向かない)
・真空装置を購入するのに大きな費用がかかる
・熱する時間が長いとフレッシュな香りが失われてしまうリスクがある(「調理した」果実の香りになる)
似た手法として「サーモヴィニフィケーション(thermovinification)」がありますが、こちらは真空状態は利用せずに、50~60℃程度の温度でより緩やかに抽出を行うようです。