ワイン試験に取り組むにあたって、テイスティングの自宅練習は大きなアドバンテージとなると思います。
しかし、自宅練習に取り組むにあたって、大きな壁となるのが、「ワインの選定」と「費用」の問題だと思います。
これは言い換えると、いかに費用をかけずに試験の役に立ちそうなワインを選ぶか?ということになると思います。
私が初めてのワイン試験(ワインエキスパート)に取り組んだときに、本当にこれに苦労させられました。
例えば、リースリングワインを探そうと思っても、ワインショップに行くと、様々な産地や価格帯のリースリングワインが並んでいて、自宅練習用に一体どのワインを選んだらいいのか全く見当がつかない状態でした。
当時通っていたワインスクールの講師に相談をすると、「インターネットを検索して、試験対策として紹介されている銘柄を選んだらいいですよ」と言われましたが、紹介されている銘柄と全く同じワインが手に入らなかったり、どのウェブサイトを参考したらよいのかわからなかったりで、あまり参考にはなりませんでした。
あれから数年、少しは自分でワイン選定ができるようになった今当時を振り返ると、自分でワインの選定をするには圧倒的にワインに関する知識が足りなかったのだと思います。
それを反省して、今だったらこうするという、自宅練習用のワイン選定の方法を簡単にまとめてみようと思います。まずは、白ワインの試験頻出品種の1つである「リースリング」についてです。想定する試験は、JSAソムリエ・ワインエキスパート2次試験です。
JSAソムリエ・ワインエキスパート2次試験において重要なことは、
① 品種特徴を捉える
② 主な産地特徴を捉える
の2点だと思います。
ワインの選定方針としては、メジャー産地のリースリングワインを用意することで、①および②のための練習ができると思います。
リースリングのメジャー産地と言えば、アルザス(フランス)、ドイツ、オーストラリアです。実際に、JSAソムリエ・ワインエキスパートの過去問を見ても、リースリングワインの産地はこの3地域に限られます。
アルザスのリースリング ワインの選定
アルザスのリースリングワインの選定は、基本的に「アルザスAOC」の最近の収穫年(直近2年くらい)のワインを選んでおけば、あまり銘柄にこだわる必要はないと思います(あくまでも個人的な意見です)。
なぜなら、AOCカテゴリーというだけで、ある程度ブドウの品質や製造手法が標準化されているためです。
ただし、「Vendange Tardive」や「Sélection de Grains Nobles」と書かれた、遅摘みブドウや貴腐ブドウから造られた甘口ワインは選定から外す必要があります。そもそも価格が高いので、できるだけ安いAOCワインを探せば自動的に選定から外れると思います。
価格は多分、2000円台くらいで収まるのではないかと思います。全体を通して2000円台を基準としていますが、品種特徴をとらえるのであればこのくらいの価格のワインが最もコスパが良いと個人的に考えているからです(もちろん、産地によっては1000円台で十分なものもあると思います)。安い価格のもの、特に1000円未満のワインは、品種特徴が消えてしまっているものが多いので、あまりお勧めはできません。
ドイツのリースリング ワインの選定
ドイツのリースリングワインは、クヴァリテーツヴァイン以上(つまり、クヴァリテーツヴァインか、プレティカーツヴァイン)の最近の収穫年のもの(2年以内くらい)を選んでおけば間違いがないのではないかと思います。価格も安いものを選べば、2000円台くらいで収まると思います。
ドイツのリースリングワインの注意点は、「残糖のある半甘~甘口ワイン」と、「残糖のほとんどない辛口ワイン(通常、トロッケンと表示がある)」があることです。
ドイツワインの特徴を把握しておくためには両方味わった方が間違いがないと思いますが、リースリングの特徴を把握するためであれば、どちらか一方でも良いと思います。
半甘~甘口ワインの場合は、プレディカーツヴァインの「カビネット」か、甘口のクヴァリテーツヴァインあたりが狙い目になるのではないかと思います。一方で、辛口ワインの場合は、クヴァリテーツヴァインのうち、「トロッケン」と表示のあるものを選べば良いと思います(基本的に、プレディカーツヴァインの「トロッケン」はほとんど見つからないと思います)。
オーストラリアのリースリング ワインの選定
オーストラリアのリースリング ワインの場合は、メジャー産地である「イーデン・ヴァレー」か「クレア・ヴァレー」と表示されているものを選べば間違いがないと思います。
個人的な経験だと、実店舗だと2000円台のものがなかなか見つからなかったので、オンラインショップなどで探した方が手っ取り早いかもしれません。
リースリングの香りはよく「ペトロール香」と形容されますが、これらの産地のリースリングはこの香りを感じ取りやすいと言われています。ですので、産地特徴だけではなく、リースリング特有の香りを把握するためにもおすすめのワインです。
最後に、産地ごとのリースリングの特徴の個人的なまとめです。赤字の部分が特にその特徴を表しています。
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