スパークリングワインと言えば、ほとんどが白もしくはロゼのベースワインから造られると思います。
代表的なものと言えば、シャンパーニュやプロセッコ。ロゼのワインは見つかっても、赤ワインから造られるシャンパーニュやプロセッコは見つからないと思います。
しかし、世界には赤いベースワインから造られるスパークリングワインも存在しています。
その中で有名なものと言えば、「ランブルスコ」と「スパークリング・シラーズ」です。
ランブルスコ(Lambrusco)は、イタリアのエミリア=ロマーニャ州のスパークリングワインで、主にランブルスコ種のブドウから造られます。
スパークリング・シラーズは、オーストラリアのスパークリングワインで、シラーズ種のブドウから造られます。
赤系スパークリングワインと言えばあげられるこの2種類のワインですが、その違いを個人的に考察してみました。ランブルスコ種は、ワインのタイプによって色とボディに幅があるので、今回は「ランブルスコ・レッジャーノ」と「ランブルスコ・ソルバーラ」の2種類を用意してみました。
外観
まず外観から。
外観については、ランブルスコは非常にバリエーションに富んでいます。左の3つは全てランブルスコなのですが、淡いピンク色、中程度のルビー色、濃い紫色と様々です。実際、ランブルスコは、淡いピンク色から深いルビー色までかなりのバリエーションに富んでいるそうです。
一方、スパークリングシラーズは、深いルービー色をしています。スパークリングシラーズは外観のバリエーションは多くなく、ほとんどが、深いルビー色かガーネット色をしているようです。
ランブルスコの外観がバリエーションに富んでいるために、ランブルスコとスパークリングシラーズを比べる場合、外見で見分けるのは正直至難の業だと思います。
ランブルスコの香りは「赤系果実」が大きな部分を占めている一方で、スパークリングシラーズでは「黒系果実」が圧倒的です。
個人的には、赤系果実はより軽い印象があり、黒系果実はより重い・深い印象を持っています。
私も経験があるのですが、陥りがちな間違いは、製法の特徴によって判断をしてしまうことです。
例えば、ランブルスコの製法はタンクメソッド(シャルマ方式)が主流です。しかし、中には瓶内二次発酵を経て製造されているものもあります。写真の最も左のワインがそれです。瓶内二次発酵で造られているために、このワインには澱のニュアンスが感じられます。
ブラインドテイスティングにおいて、澱のニュアンス(イーストの香り)が感じられるからといってランブルスコの可能性を除外してしまうことは短絡的な考えとなります。
また、スパークリングシラーズも、何か特定の製造方法と決めつけてしまうのは危険があります。なぜならは、このワインはドラディッショナルメソッド(瓶内二次発酵)、トランスファーメソッド、タンクメソッド、カーボネーション(炭酸ガス注入法)のあらゆる手法で製造されている可能性があるためです。
風味
ランブルスコの風味の特徴は、高い酸味、中~高程度のタンニン、残糖を持つものが多いことです。また、スプマンテ、フリザンテ(微発泡)の両方のタイプがあることも特徴です。
一方で、スパークリング・シラーズの特徴は、中程度かそれ未満の酸味、中程度の成熟したやわらかいタンニン、中~高程度のアルコール、中程度からフルボディ、多くの残糖を持つものが多いことです。
風味における2つのワインの違いは、酸味の高さとアルコール度だと思います。個人的な印象では、ランブルスコのアルコール度は一般的に、スパークリング・シラーズより低めです。
甘味は一般的にスパークリング・シラーズの方が残糖が多いものが多いようですが、ランブルスコは作り手によって、ほとんど残糖の無いものから、残糖の多いものまで作れるようなので、一概に判断することは難しそうです。
まとめ
以上のことから、
ランブルスコ = 赤系果実、高い酸味、やや低めのアルコール
スパークリング・シラーズ = 黒系果実、中程度かそれ以下の酸味、やや高めのアルコール
となりそうです。
全体的に、ランブルスコはよりエレガントなスタイルであり、スパークリング・シラーズにはよりパワフルなスタイルと言えそうです。