今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
今回、異なるセミヨン(semillon)ワインの特徴をとらえるための練習をしてみました。
用意したのは、「ボルドーブラン」と「ハンターセミヨン」。
ボルドーブランは、ペサックレオニャンAOCの「レ・シェーヌ・ド・ブスコー・ブラン(2015)」。シャトー・ブスコーのセカンドワインです。セミヨンが60%を占めて、残りの40%はソーヴィニヨン・ブランです。
ハンターセミヨンは、「シングルヴィンヤード スティーブンス ハンターセミヨン (2014)」。こちらはセミヨン100%です。
ベンチマーク用にもう1つ、オーストラリアの手頃なシャルドネも用意しました。こちらは、「ジェイコブス・クリーク シャルドネ (2020)」。セミヨンは比較的ニュートラルな風味のワインなので、シャルドネと比較をすればその特徴がよくわかるのではないかと思いました。
テイスティングをする前は、あまり大きな違いを感じられないのではと思っていましたが、実際にテイスティングをしてみると、その違いがかなり顕著にわかりました。
まず、「ボルドーブラン」の特徴です。他の2つと比較をしてみると、フレッシュな果実の香りが弱く、樽の香り(第2の香り)と熟成によるハチミツのような香り(第3の香り)を強く感じました。5年前のヴィンテージなので、かなり熟成が進んでいるようです。また、他の2つと比較をすると、ワインの色は黄金色です。味わいは樽に由来すると思われる苦みが少し感じられます。これらの特徴も樽熟成による影響だと思います。
次に「ハンターセミヨン」の特徴です。他の2つと比較をしてみると、まずマッチを擦ったあとのような「スモーキー」な香りが強く感じられました。ハンターセミヨンは酸素との接触を極力抑えて還元的な醸造方法をとるために、このような還元臭が感じられるのだと思います。6年前のヴィンテージですが味わいはフレッシュで、柑橘類や、有核果実(モモなど)の香りとも強く感じます。あまり瓶熟成は進んでいない印象です。また少し「草」や「ハーブ」系の香りも感じられます。味わいの特徴は、比較的高い酸味とやや低めのアルコール度ですが、これはハンターバレーの特徴である「早摘み」が影響しているのだと思います。ハンターセミヨンは、秋雨を避けるためにブドウは早めに収穫されます。ワインの色が薄めで緑がかっているのもおそらく早摘みが影響していると考えられます。
比較的特徴の近いワインを並べて、比較テイスティングをすると、それぞれの特徴が自然と浮かび上がって、ワインの理解にかなり役立つと思いました。