トスカーナには非常に多くのDOCGやDOCがありますが、それらの場所を覚えるには、「シエナ」を基準に覚えるのが便利だと思います。
なぜならば、シエナはトスカーナ州の中心に位置しており、主要DOCGやDOCがシエナを囲むように位置しているからです。
上図のように、「シエナ」の位置はトスカーナ州の中心です。より大きな都市である「フィレンツェ」は州の北部に位置しています。
そして、主要なDOCGやDOCの位置関係は、上図のような並びです。
シエナの北部には、「キアンティ・クラッシコDOCG」があり、それを取り囲むように「キアンティDOCG」があります。両者ともに、おおよそシエナとフィレンツェの間にあることは有名です。
シエナの北西には、白ワインのDOCGである「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミャーノDOCG」が位置しています。
今度はシエナから南部に目を向けると、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCG」があります。そして、シエナの南東部には「ヴィーノ・ノビレ・モンテプルチャーノDOCG」があります。
シエナに近い北部と南部には伝統的な産地が多く、サンジョヴェーゼを主体とした赤ワインが多く造られています。
シエナの東部から南西部は海に近い産地です。ここでは、サンジョヴェーゼに加えて、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの国際品種の利用も許可しているDOC(G)が多いことが特徴です。
シエナの東部には、ボルドーブレンドの生産で有名な「ボルゲリDOC」があります。
シエナから見てより海に近い南部には、「モレッリーノ・ディ・スカンサーノDOCG」や「マレンマ・トスカーナDOC」が位置しています。前者では、サンジョヴェーゼ種主体の赤ワインが造られていますが、後者ではサンジョヴェーゼ種だけではなく国際品種も含めた様々な品種を利用したワインが造られています。
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サンジョヴェーゼ(Sangiovese)のシノニム
サンジョヴェーゼは産地ごとに異なる名前で呼ばれています。
キアンティ、キアンティ・クラッシコの地域では「サンジョヴェーゼ」と呼ばれていますが、
モンタルチーノでは「ブルネッロ(Brunello)」、
スカンサーノでは「モレッリーノ(Morellino)」、
と呼ばれ、その呼称がそのままDOCG名になっています。
モンテプルチャーノでは、この法則に従わずサンジョヴェーゼは「プルニョーロ・ジェンティーレ(Prugnolo Gentile)」という、DOGC名とはまた異なる名前で呼ばれています。