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ピノノワールの味わいは産地によってどう変わるのか?ブルゴーニュ、ドイツ、カリフォルニア、ニュージーランド、チリ産の特徴の違いを考察

今回はピノノワールのワインの味わいが、産地によってどのように変わるのかを考察してみたいと思います。


(関連記事:メルローワインの味わいは産地によってどう変わるのか?チリ、アメリカ、フランス産の違いを考察


取り上げる産地は次の通りです:

① ブルゴーニュ(フランス)

② ドイツ

③ カリフォルニア(アメリカ)

④ ニュージーランド

⑤ チリ





ブルゴーニュ(フランス)


ブルゴーニュは、世界の醸造家がお手本とするようなピノノワールの代表的な産地です。


今回取り上げたピノノワールの産地の中では比較的涼しい場所にあります。果実の成熟は全ての畑で毎年、約束されているわけではありません。


そのため、ボディは、広域AOCのワイン(Bourgogne AOCなど)でミディアム程度と言われています。涼しい地域であるために、酸味は高めで、アルコールは中程度(11.0~13.9%)です。タンニンについては、ピノノワールは果皮が薄い品種であるために、少なめ~中程度くらいです。


香りについては、赤系果実の香りを中心に、樽熟成のオークの香りが感じられるのが特徴です。新樽が一部利用されていることが多いですが、果実の成熟度に合わせて、バランスの取れた繊細な樽香が付けられていることが特徴です。


ブルゴーニュのワインは、広域AOCのものから、グランクリュまで品質の幅が広いため、その特徴も大きく変わりますが、おおよそ次のような特徴をもっているのではないかと考察します。


【外観】

・中程度のルビー色

【香り】

・中程度~強い香りの強さ

・フレッシュな赤系果実の香り(イチゴ、ラズベリー、赤サクランボ)

・樽香(クローブなど) ※果実の凝縮度が高いものほど、強い樽香を帯びている

・土、猟鳥類、キノコ ※数年の瓶内熟成を経たワインのみ 

【風味】

・辛口

・高い酸味

・少ない~中程度のタンニン ※ただし長期の樽熟成を経た高品質なワインはもう少し高め

・中程度のアルコール度

・中程度のボディ ※品質の高いワインはより厚いボディを持つ

【品質・価格】

・良いワイン~非常に良いワイン、素晴らしいワイン

・中程度~高価格帯が多い



これらを踏まえると、ブルゴーニュのピノノワールの特徴は、ミディアム程度のボディとアルコール、高い酸味、繊細な樽の香りになるのではないかと思います。個人的には、ミディアムボディで、品質の高いワインにあたったら、ブルゴーニュを疑うようにしています。



ドイツ


ピノノワールは、ドイツで3番目に多く栽培されているワイン用ブドウ品種であり、「シュペートブルグンダー(Spätburgunder)」という名前で親しまれています。この品種は、黒ブドウの中ではドイツで最も多く栽培されています。


(関連記事:「遅いブルゴーニュ」、「早いブルゴーニュ」とは?ドイツのブドウ品種の名前


ドイツのピノノワールは、寒さに強いリースリングやミュラートゥルガウに比べると、そこまで寒さに強いわけではないためか、ファルツやバーデンなどのより南部の暖かい地域で多く生産されています。



ファルツやバーデンはドイツでは比較的暖かい南部に位置していますが、それでもブルゴーニュよりは高緯度です。そのため、これらの地域で栽培されているピノノワールは、より涼しい気候にさらされていると考えられます。


このような栽培条件から、ドイツのピノノワールは今回選ばれている産地のワインの中では、もっともボディが軽めであるとともに、酸味は十分に保たれていると考えられます。


ドイツでは、早飲みのフルーティなワインと、樽熟成を経た複雑性のあるワインの両方がつくられているようですが、樽熟成の多くは大樽で行われているようです。


ドイツのピノノワールノスタイルは、おおよそ次のような特徴になるのではないかと思います。


【外観】

・淡い~中程度のルビー色

【香り】

・フレッシュな赤系果実の香り(イチゴ、ラズベリー)

・樽香 ※高品質なワインのみ

【風味】

・辛口

・高い酸味

・少ないタンニン ※高品質なワインの中程度くらい

・中程度のアルコール度

・ライトボディ~中程度のボディ 

【品質・価格】

・良いワイン~非常に良いワイン ※近年は品質の高いワインが多く造られているようになっているようです

・低価格~高価格帯 



個人的な考察ですが、他の産地のものと比べると、ドイツのピノノワールの特徴は、

・ニューワールドやブルゴーニュのワインに比べるとよりライトボディであること、酸味が高いこと

・ブルゴーニュのワインに比べると樽香がそれほど顕著ではないこと(※大樽利用のため)

になるのではないかと思います。




カリフォルニア(アメリカ)


カリフォルニアでは、ピノノワールのワインはさまざまな産地で造られています。


名前をあげると、アンダーソン・ヴァレー(メンドシーノ・カウンティ)、ロシアン・リヴァー・ヴァレー(ソノマ・カウンティ)、ロス・カーネロス(ソノマ/ナパ・カウンティ)、サンタ・マリア・ヴァレー、サンタ・リタ・ヒルズ(サンタ・バーバラ・カウンティ)などが含まれます。



ピノノワールの栽培には一定の涼しさが求められるために、これらの産地はどこも海風による冷涼効果が得られる場所に位置しています。


しかしそれでも、カリフォルニアは全体的にかなり暖かい地域であるために、カリフォルニアのピノノワールワインは成熟度の高いブドウから造られます。


産地によってスタイルの違いはありますが、カリフォルニアのピノノワールワインは一般的に、熟した赤系果実(赤いサクランボ、イチゴ)の香りを持ち、特に熟度の高いものは、ジャムのような煮詰めたような果実の香りや、黒系果実(ブラックチェリー、ブラックプラム)などの香りまで持つと言われています。


ピノノワールはそれほどアルコール度が高くなる品種ではありませんが、アルコール度は中程度(11.0~13.9%)のものから、高い(14%以上)ものにまでなるようです。そのためボディはフルボディに近づきます。


可ろふぉるにあでは品質の高いピノノワールワインが増えており、風味の複雑性を増すことを目的に、房ごとのブドウや茎とともに発酵する醸造手法なども行われており、その分、タンニンもやや豊富になります。


熟成には、一部、新樽も使われており、フレンチオークの利用が一般的であるようです。


これらを踏まえると、カリフォルニアのピノノワールは次のような特徴になるのではないかと考察されます。


【外観】

・中程度のルビー色

【香り】

・熟した赤系果実の香り(赤いサクランボ、イチゴ)

・しっかりとした樽香

・猟鳥類、野菜 ※瓶内熟成を経たもの

【風味】

・辛口

・中程度~高い酸味

・中程度の熟したタンニン

・中程度~高いアルコール度

・中程度のボディ~フルボディ 

【品質・価格】

・良いワイン~素晴らしいワイン

・中程度~高価格帯(いくつかは超高価格帯) 



個人的な考察ですが、カリフォルニアのピノノワールの特徴は、果実の熟度の高さ、ピノノワールにしてはボディとアルコールの豊富さ、しっかりとした樽香になるのではないかと思います。また、ピノノワールにしては多めのタンニンも特徴の一つになるのではないかと思います。



ニュージーランド


ピノノワールは、ニュージーランドではソーヴィニヨン・ブランに次いで、2番目に最も多く栽培されているブドウ品種です。


ニュージーランドでは、さまざまな場所でピノノワールのワインが製造されています。


主な産地の例をあげると、北島では「ワイララパ」、南島では「マールボロ」、「カンタベリー」、「セントラル・オタゴ」などです。




ほとんどの産地が、中部から南島に位置しているのは、ピノノワールノ栽培には一定の涼しさが必要なためだと考えられます。しかし、涼しいとは言えど、日照の強さも相まって、ブルゴーニュに比べると、全体的に暖かいようです。


そのため、ニュージーランドのワインはブルゴーニュのものに比べて、より香りが強く、よりフルボディになり、酸味はやや低めとなると言われています。アルコール度も高く、タンニンも成熟したものになるようです。


また、品質としても比較的高いものが多く、大樽による熟成により、一定の樽香を帯びたものが多いようです。


これらを踏まえると、ニュージーランドのピノノワールは次のような特徴になるのではないかと考察されます。


【外観】

・中程度のルビー色

【香り】

・熟した赤系果実の香り(赤いサクランボ、イチゴ)

・(一部、黒系果実の香りを持つものもあり)

・一定の樽香

【風味】

・辛口

・中程度の酸味

・中程度の熟したタンニン

・中程度~高いアルコール度

・中程度のボディ~フルボディ 

【品質・価格】

・良いワイン~素晴らしいワイン

・中程度~高価格帯(いくつかは超高価格帯) 



全体的な特徴は、カリフォルニアのピノノワールと非常に似ている印象で、区別をするのはかなり難しいのではないかと感じています。


個人的な印象ですが、ニュージーランドのピノノワールはより果実味の強さが際立たピュアなものが多い印象であり、カリフォルニアのものはやや樽香や熟成香などの醸造テクニックが現れたものが多いような印象を持っています。しかし、実際には作り手や個々の産地の特徴に依存する部分もあるので、一概には言えないのかもしれません。



チリ


チリも、ピノノワールのワインの産地の1つです。


チリのブドウ産地は、首都のサンティアゴを中心に広がっていますが、緯度(南緯30-38度)から考えると涼しさの必要なピノノワールには暑い地域です。


そのため、ピノノワールの栽培は、寒流(フンボルト海流)からの海風の影響の強い沿岸部に位置する「カサブランカ・ヴァレー」や「サンアントニオ・ヴァレー」で行われています。


これらの地域の緯度は南緯33度のサンティアゴとほぼ同等であるため、海風や朝霧の影響を受けつつも、日中の気温は高くなると考えられます。


そのため、ここで造られるピノノワールワインは、ブルゴーニュのような繊細なものではなく、カリフォルニアやニュージーランドのようなよりボディがしっかりしたものになると思われます。


実際、この地域のピノノワールのワインのアルコール度は、中程度(11.0~13.9%)~高程度(14.0%以上)にも達するそうです。


香りの特徴は、赤系果実(イチゴや野イチゴ)の強い香りを持ち、場合によってはイチゴジャムのような香りにもなるようです。また、ハーブのような香りを持つことも特徴のようです。ハーブの香りを持つ理由はよくわからないのですが、チリのワインはカルメネールをはじめ、野菜のような青い香りを持つものが多いような気がします。


果実味を前面に押し出したものが多いようで、樽香は典型的な特徴ではないと思われます。


チリのピノノワールの特徴は、概ね次のようになるのではないかと思います。


【外観】

・中程度のルビー色

【香り】

・赤系果実の香り(イチゴ、野イチゴ)

・一部、イチゴジャムの香り

【風味】

・辛口

・中程度の酸味

・中程度の熟したタンニン

・中程度~高いアルコール度

・中程度のボディ~フルボディ 

【品質・価格】

・良いワイン

・中程度の価格帯 



チリのピノノワールは、高い熟度のブドウから造られるものが多く、ニュージーランドやカリフォルニアのものに近い特徴を持つと考えられ、見分けることは難しいのではないかと思います。


しかし、個人的な印象としては、ニュージーランドやカリフォルニアのものよりは、ブドウ本来の風味が前面に出た素朴なワインになるのではないかと思います。

(関連記事:素朴なワイン(Rustic Wine)とは?そのワインスタイルを考察


また、青いハーブの香りも、チリのピノノワールを特定するための助けになるかもしれません。


<了>


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ピエモンテ(Piemonte)州は、イタリアの中で最もDOCGの数の多い州です。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパート試験の学習をしたときは、全部で17のDOCGがありました。 ピエモンテ州のDOCGの栽培地域は特に南部で複雑に入り組んでいるために、主要品種ごとに覚えるのがおすすめです。 【DOCG】 ネッビオーロ(Nebbiolo)のDOCG ネッビオーロ種は、酸味が高く、タンニンが多いが、色はあまりつかない黒ブドウです。熟成すると、サワーチェリー、ハーブ、ときにはドライフラワーの芳しい香りを醸し出します。 ピエモンテ北部には、この品種から造られる ゲンメ(Ghemme)DOCG と ガッティナーラ(Gattinara)DOCG があります。この地域ではネッビオーロは、 スパンナ(Spanna) とも呼ばれています。 ピエモンテ南部のクーネオ(Cuneo)県には、ネッビオーロ種から造られるイタリアでも屈指の知名度を誇る バローロ(Barolo)DOCG 、 バルバレスコ(Barbaresco)DOCG があります。両者ともに、ブドウがその村だけで産出されたものである場合は、Barolo Serralunga d'Albaのように村名がラベルに記載されることがります。 バルベーラ(Barbera) のDOCG バルベーラ種はピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。晩熟で、中程度から濃い色をしていて、タンニンのレベルは低から中程度、酸味は高く、レッドチェリーやプラム、ときには黒コショウの香りを呈する黒ブドウ品種です。 ピエモンテ南部には、この品種から造られる Barbera d’Asti(バルベーラ・ダスティ)DOCG 、 Nizza(ニッツァ)DOCG 、 Barbera del Monferrato Superiore(バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレ)DOCG の3つのDOCGがあります。ニッツァDOCGは、バルベーラ・ダスティのサブゾーンから独立したDOCGです。 ドルチェット(Dolcetto) のDOCG ドルチェットもピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。色が濃くて、たいていは紫色で、タンニンのレベルは中程度から多く、中程度の酸味を持ち、ブラックプラム、レッドチェリー、乾燥ハーブの香りを呈する黒ブドウ品種です。 ピエモ...

クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバとは?スペインワインの熟成規定(最低熟成期間)の私的暗記法

スペインの赤ワインのうち、最良のワインにはほぼ確実にオークを使用した熟成がされていると言われています。白ワインの大半はフレッシュで果実味が豊かなワインと言われていますが、一部のワインではオークを使った熟成が行われ、異なる風味が加えられています。 スペインのワイン法でもワインの熟成表記に関する規定が定められており、最低熟成期間の長さによって、「 クリアンサ(Crianza) 」、「 レゼルバ(Reserva) 」、「 グラン・レゼルバ(Gran Reserva) 」などのカテゴリーが規定されています。 最低熟成期間には、総熟成期間と樽熟成期間があり、総熟成期間は樽熟成期間を含めたトータルの熟成期間を示しています。 いくつかのワイン試験では、この最低熟成期間をワインの種類(赤、白・ロゼ)ごと、カテゴリーごとに覚えなければならないのですが、この数字の羅列を覚えるのはなかなか至難の業です。 そこで、個人的に考えた、このスペインワインの熟成規定の覚え方を紹介したいと思います。 1. 表を年表示にする まずは、数字を覚えやすくするために、表の単位を「月」から「年」に変換します。 まるで囲んだ部分だけ、語呂合わせなどを使って覚えます。 2. 赤ワインの「グラン・レゼルバ」の熟成期間を覚える 赤ワインのグラン・レゼルバの最低熟成期間は、偶然にもクリアンサとレゼルバの最低熟成期間を足し合わせた期間なので、簡単に覚えられます。 3. 白・ロゼワインの「クリアンサ」、「レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 白・ロゼワインにおいて、クリアンサ、レゼルバの最低の総熟成期間は、偶然にも赤ワインの「最低総熟成期間ー最低樽熟成期間」に一致します。これを覚えます。 4. 白・ロゼワインの「グラン・ レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 今までの法則で行くと、「グラン・レゼルバ」の最低の総熟成期間は3.5年が望ましいですが、 実際は4年 です。ここだけ、例外的に 0.5年だけずれる と覚えます。 5. 白・ロゼワインの 最低樽熟成期間を覚える 白・ロゼワインの最低の樽熟成期間は、全て同一の0.5年です。 赤ワインの「クリアンサ」のものと同じと覚えておくと、覚えやすいかもしれません。 最後に、この表を法則とともに覚えておくことで、暗記作業は完了です。 関連記事: スペインの「グラン・レセルバ(Gran Re...

ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>