パリスの審判(Judgment of Paris)は、1976年にイギリス人ワイン商のスティーヴン・スパリュア(Steven Spurrier)がパリで行った試飲会の通名です。
この試飲会では、フランスとカリフォルニアから集められた最高品質の赤白ワインが集められ、ブラインドテイスティングによって、それぞれのワインの評価が行われました。
当時、最高品質のワインはフランスでしか造ることができないと思われていましたが、赤ワイン、白ワインそれぞれの部門で最も良い評価を集めたのは、なんとカリフォルニアのワインでした。
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最高評価の赤ワイン:1973 Stag’s Leap Wine Cellars Cabernet Sauvignon(スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ・カベルネソーヴィニヨン)
最高評価の白ワイン:1973 Chateau Montelena Chardonnay(シャトー・モンテレーナ・シャルドネ)
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この結果は、この試飲会を取材した記者により「Judgement of Paris(パリスの審判)」と題してタイム誌に掲載され、世界に衝撃を与えました。
これがワイン界で有名な「パリスの審判」の概要なのですが、ここで1つ疑問があります。
それは、なぜ「パリの審判」ではなく、「パリスの審判」なのかということです。パリで行われた試飲会なのですが、なぜ「パリス」と呼ばれているのでしょうか?
それは、「Judgement of Paris(パリスの審判)」と呼ばれる通称が、ギリシャ神話に由来しているからです。
ギリシャ神話の「Judgement of Paris(パリスの審判)」とは、ギリシャ神話の英雄であるパリスが天界の三美神のうちで誰が最も美しいかを判定させられた出来事です。この神話は画家の好む主題の1つとなり、様々な画家が『パリスの審判』というタイトルの絵を描いたと言われています。
そして、タイム誌の記者は英雄の名前「パリス(Paris)」を試飲会の場所「パリ(Paris)」にもじって記事のタイトルとしたわけです。
ギリシャ神話や絵画に詳しい人なら、「Judgement of Paris(パリスの審判)」ときいただけですぐに分かるのかもしれませんが、私を含めワインの世界で初めてこの言葉を聞いた人にとっては「なぜパリス?」なのかもしれません。
<了>