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なぜ、A.O.C. フラジェ・エシェゾー(A.O.C. Flagey-Echézeaux) のワインが無いのか?を考察

 今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux)  」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...

なぜ、パリ「ス」の審判と呼ばれているのか? ~カリフォルニアワイン躍進のきっかけを考察~


 パリスの審判(Judgment of Paris)は、1976年にイギリス人ワイン商のスティーヴン・スパリュア(Steven Spurrier)がパリで行った試飲会の通名です。


この試飲会では、フランスとカリフォルニアから集められた最高品質の赤白ワインが集められ、ブラインドテイスティングによって、それぞれのワインの評価が行われました。


当時、最高品質のワインはフランスでしか造ることができないと思われていましたが、赤ワイン、白ワインそれぞれの部門で最も良い評価を集めたのは、なんとカリフォルニアのワインでした。


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最高評価の赤ワイン:1973 Stag’s Leap Wine Cellars Cabernet Sauvignon(スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ・カベルネソーヴィニヨン)

最高評価の白ワイン:1973 Chateau Montelena Chardonnay(シャトー・モンテレーナ・シャルドネ)

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この結果は、この試飲会を取材した記者により「Judgement of Paris(パリスの審判)」と題してタイム誌に掲載され、世界に衝撃を与えました。



これがワイン界で有名な「パリスの審判」の概要なのですが、ここで1つ疑問があります。


それは、なぜ「パリの審判」ではなく、「パリスの審判」なのかということです。パリで行われた試飲会なのですが、なぜ「パリス」と呼ばれているのでしょうか?


それは、「Judgement of Paris(パリスの審判)」と呼ばれる通称が、ギリシャ神話に由来しているからです。


ギリシャ神話の「Judgement of Paris(パリスの審判)」とは、ギリシャ神話の英雄であるパリスが天界の三美神のうちで誰が最も美しいかを判定させられた出来事です。この神話は画家の好む主題の1つとなり、様々な画家が『パリスの審判』というタイトルの絵を描いたと言われています。


そして、タイム誌の記者は英雄の名前「パリス(Paris)」を試飲会の場所「パリ(Paris)」にもじって記事のタイトルとしたわけです。


ギリシャ神話や絵画に詳しい人なら、「Judgement of Paris(パリスの審判)」ときいただけですぐに分かるのかもしれませんが、私を含めワインの世界で初めてこの言葉を聞いた人にとっては「なぜパリス?」なのかもしれません。


<了>


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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって...

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

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WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)

ワインの素人だった私が、ワインの勉強をまじめに始めて2年目にWSETレベル3の英語試験を合格した勉強法を紹介したいと思います。 WSETは世界で通用するワイン資格です。主催団体によればレベル3は、 「 ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格 」 です。 全世界で通用する資格であるために、海外のワイナリーに行ってWSETのレベル3を持っていると言えば、ワインについてはそれなりに知っていると思ってもらえるようです。 いつか海外のワイナリーを訪れることを思い描きながら、WSETレベル3に挑戦をした軌跡を紹介します。 (参考記事: 意外に高い?WSETの合格率 ) なぜWSETレベル3を受験? 私にとってのワインの勉強は、 飲み友達作り にワインスクールに通ったことから始まりました。 当時はワインの勉強などそっちのけで、中途半端な知識でワインスクールのクラスメートとワインを飲み明かすことだけを楽しんでいました。 折角ワインスクールに通ったのに、フランスのワイン産地はブルゴーニュとボルドーしか頭に残っていませんでした。 そんなワイン素人の私がまわりの飲み友達に影響されて、JSAワインエキスパート試験に挑戦をしました。まじめなワインの勉強はゼロから始めたこともあり、はじめはイチかバチかくらいの気持ちで始めた挑戦でしたが、ワインスクールのサポートにも助けられてなんとか一回で合格をすることができました。 次に挑戦すべきは上位資格である「JSAワインエキスパート・エクセレンス」だと思い、この資格は5年間待たなければならないことを知って、ワインの勉強はしばらくお預けだと少し寂しく思っていました。 しかし、ひょんなことからWSETは英語でワインが学べるということを知って、今度も大きな挑戦でしたが、WSETレベル3の英語講座に通うことに決めました。 (参考記事: WSETとは?WSETワインレベル3資格とは? ) (参考記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) WSETレベル3を受講してよかったこと WSETレベル3を受講した良かったことは、ワインを英語で学んで、資格試験にも合格をしたことで、英語の環境でも臆せずワインについて話ができるようになっ...

ワインのテイスティングに使える英語表現 ~色、甘さ、酸味、苦み、ボディを表す表現は?~

  ワインの英語表現をまとめてみました。 この辺りを押さえておけば、ちょっとしたワインの英会話ができそうです。 香りと風味は似ていますが、「香り = aroma」は嗅覚、「風味 = flavor (flavour)」は味覚で感じるものです。 これらは味覚で感じるワインの味に関する表現です。 「Acidic」、「Tannic」については、「sour (酸っぱい)」や「astringent(渋い)」、「bitter(苦い)」を使うよりも、ワイン通な感じを与えるのではないかと思います。

ワインの原産地統制名称 - AOC、AOP、PDOのざっくり整理

私がワインの勉強を始めた時に最初に行き詰ってしまったのが、AOC, AOP, PDO, PGI, IGTなどの3文字アルファベットです。 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ... と勉強を進めるにつれて、次々とあらたなアルファベットと、ピラミッドが登場します。 必死でそれらを丸暗記してワインエキスパートの試験に臨んだのですが、結局はあまり深い理解が得られないままに、試験の合格と共にワインの勉強を終えてしまいました。 当時は完全に、覚えるべき3文字アルファベットの多さに圧倒されて、その森の中に迷い込んでしまっていました。 今、改めて振り返ってみて、3文字アルファベット(つまり、ワイン法の品質分類)は、すごく平たく言うとこういうことだったのではないかと思っています。その理解を、下に簡単にまとめてみました。個人的な理解なので、完全に正しいかどうかはわかりません。 以下、スライドの説明です。 【ワインの分類】について すごく大雑把に言うと、ワインには「産地名が保護されているワイン」と、そうでないワインがあります。 「産地名が保護されているワイン」とは、例えば、「ブルゴーニュ」ワイン。ブルゴーニュのブドウを使ってなかったり、ブルゴーニュで造られてないワインには、ボトルのラベルに「ブルゴーニュ」という名前を使ってはいけないということです。 さらに、EU圏内の場合、「産地名が保護されているワイン」の中には「産地名が厳しく保護されているワイン」があります。 「厳しく」というのは、ブドウ品種や、ブドウの収穫量、醸造方法、熟成期間などに関する基準を指します。つまり、決められた作り方をしたワインでなければ、その産地名をラベルに表記してはいけないということです。 例えば、シャンパーニュ地方のブドウを使い、そこで醸造をしたワインであっても、シャンパーニュ製法で作られていなければ、「シャンパーニュ」とラベルに表記ができないということです。 【ワイン分類の名称】について 上で説明をしたワインのうち、産地名が保護されているワインは、それぞれの分類(品質分類)の名前がついています。 厳しく産地名が保護されたワイン=PDO 産地名が保護されたワイン=PGI EU圏外で産地が保護されたワイン=GI 【EU各国での名称の違い】について PDOやPGIという名称は、EUが近年(2008年)新た...

コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

  「コート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)」の村名は正直言って、「コート・ド・ニュイ(Cotes de Nuits)」よりも覚えるのが大変です。 その理由は、村の名前が多いことです。 コート・ド・ボーヌの村名は、地域を区切って、主要な村を先に覚えていく方法が個人的には有効だと思います。 分け方は、「コルトンの丘付近」、「ボーヌ付近」、「シャニー付近」の3つの地域に分けました。 ちなみに、「コルトンの丘付近」は、特級畑「コルトン・シャルルマーニュ」を共有する3村、「ボーヌ付近」は赤ワインの生産が多い3村、そして「シャニー付近」は白ワインの生産の多い4村です。 コルトンの丘付近 コルトンの丘付近の村は、頭文字で覚えます。 ペルナン・ヴェルジュレス(Pernand-Vergelesses) アロース・コルトン(Aloxe-Corton) ラドワ・セリニィ(Ladoix-Serrigny) コルトンの丘を中心に反時計回りで、「 PAL 」となります。 この3村は先述の通り、特級畑「 コルトン・シャルルマーニュ 」を有していることで有名です。 (関連記事: 地図を使うと覚えやすい!コルトンの丘のグラン・クリュAOCの暗記法 ) ボーヌ付近 ボーヌ近辺の3村は、ボーヌ付近のいずれも赤ワインの生産の多い村です。 ボーヌ(Beaune) ポマール(Pommard) ヴォルネイ(Volnay) ボーヌは赤白ワインの生産が許可されていますが、ポマールとヴォルネイは赤ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 シャニー付近 シャニーに近い次の4つの村では白ワインが多く生産されています。 サン・トーバン(St Aubin) ムルソー(Meursault) ピュリニィ・モンラッシェ(Puligny-Montrachet) シャサーニュ・モンラッシェ(Chassagne-Montrachet) いずれの村でも赤白ワインの生産が許可されていますが、両モンラッシェの特級畑では白ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 その他の村 その他の村は、余裕があれば少しずつ覚えます。 ちなみに、ブラニィ(Blagny)は、ムルソー村とピュリニィ・モンラッシェ村にまたがる地域のことで、ブラニ...

coulure(=クリュール、クルール、花振るい)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 coulure = クリュール、クルール、花振るい 」です。 coulure とは、ブドウの房における受粉・結実不良です。 「 花振るい 」もあまり聞きなれない言葉ですが、辞書では「花が多数開花しても、着果が極めて少ない現象。ブドウによくみられる。」と説明されています。 同様の症状を表す英語として「 shatter 」という言葉が使われることもあるそうです。 ブドウの実は、果房に含まれる1つ1つのブドウの花で受粉が成功することで結実します。 一定数の花で受粉・結実の不良が起こることは通常でも起こることですが、 coulure(クリュール) は高い割合でこの受粉・結実不良が起こることを指すそうです。 ブドウの結実の数が減ることで、収穫量は大幅に減少します。 coulure(クリュール) の原因は、ブドウの栄養分である炭水化物の不足であると言われています。例えば、気温が低く曇りの日が多かったり、その反対に、気温が高すぎてブドウ樹が水不足を起こしてしまったりで、光合成が妨げられる場合などです。 また、ブドウの枝葉が成長しすぎて、ブドウの実に十分に炭水化物が行きわたらない場合も、 coulure(クリュール) の原因となるようです。 ブドウの結実障害として、他には「 millerandage(ミルランダージュ) 」というものがあります。 これは、種の無いブドウが高い割合で結実することを指すようです。種の無いブドウは、小さく緑色のまま成熟しないことがあるため、これも収穫量の減少や、ワインの品質の劣化につながるそうです。 millerandage(ミルランダージュ) の原因は、受粉・結実期の低い気温や、湿度の高さ、風の強さなどと言われています。