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シャルドネの味わいは産地によってどう変わるのか(産地比較)? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~

 前回のリースリングに引き続き、今回はシャルドネワインについて特徴や産地による味わいの違いをまとめたいと思います。


(関連記事:リースリングの味わいは産地やタイプでどう違うのか? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~


まず、シャルドネワインの特徴は次の通り:




シャルドネの大きな特徴は、


・非アロマティック品種

・なので、品種由来の香りに加え、製造工程由来の香りも強く表れる

・栽培地域によって異なる特徴のワインを造る

・品質の高いワインは、熟成能力を持つ


この辺りではないでしょうか。


シャルドネは世界の様々な地域で造られているために、主要な栽培地域もフランスからニューワールドまで様々です。


その主要産地で造られるシャルドネワインの特徴を簡単にまとめてみました。これもやはり個人的な知識や判断に基づく情報が含まれています。







シャルドネのテイスティング


では、この情報を踏まえて、実際にテイスティングをしてみようと思います。


用意をしたワインは次の通りです:


ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee (2018)』(通常のシャブリ)


ワイン②:『Chablis 1er Cru Fourchaume Half La Chablisienne (2017)』(シャブリ1erクリュ)


ワイン③:『Domaine Bouchard Père & Fils Beaune du Château Premier Cru Blanc (2016) (2016)』(コード・ド・ボーヌ 1erクリュ)


ワイン④:『Louis Jadot Mâcon Villages (2018)』(マコン・ヴィラージュ)


ワイン⑤:『Saint-Veran Les Deux Moulins (2016)』(サン・ヴェラン [マコネ地区])


ワイン⑥:『Jacob’s Creek Chardonnay (2020)』(低価格オーストラリアワイン)


ワイン⑦:『Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg (2018)』(アデレードヒルズ [豪])


ワイン⑧:『Marlborough Chardonnay Summerhouse wine (2017) 』(マールボロ [NZ])


ワイン⑨:『Carneros Chardonnay Saintsbury (2018)』(カーネロス [ナパ・ソノマ])





ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee (2018)』(通常のシャブリ)



まずは、通常のシャブリです。


シャルドネのワインの中ではもっともボディが軽く、酸味が高い部類だと思います。色も最も薄い部類です。


冷涼な産地のワインの特徴が現れています。


アルコール度は 13.0% abvと意外としっかりと確保されています。


香りの特徴はとにかくミネラル感が強く、火打石のような香りが全体を占めている印象です。かすかな果実(リンゴ、洋ナシ、グレープフルーツ)の香りが、火打石の香りにカバーされてしまっているような印象です。


製造元の説明を見るとMLFや、澱との接触(12か月間)、一部の樽熟成がされているようですが、繊細過ぎてこれらの明らかな特徴はほとんど感じられません。(https://chablisienne.com/en/la-pierrelee-2018.html?___store=en)


しかし、これらの製造工程に加えられる香り(第2の香り)が組み合わされることで、ワインのニュートラル感が生み出されているような気がします。


個人的にまとめると、シャブリの特徴は、高い酸味、軽いボディ、火打石の香り、ニュートラル感(果実味が弱い)なのではないかと思います。




ワイン②:『Chablis 1er Cru Fourchaume Half La Chablisienne (2017)』(シャブリ1erクリュ)



つづいて、シャブリのプルミエ・クリュです。


通常のシャブリとの大きな違いは、ボディがしっかり感じられることと、フルーツの香り(洋ナシ、リンゴ、モモなど)の強さです。


また、香りに華やかさがあり、やや花の香り(ジャスミン)も感じられる気がします。


香りが華やかになった分、通常のシャブリで感じたミネラル感(火打石の香り)はやや影を潜めている印象です。


味わいについては、辛口で、酸味は高めだけど通常のシャブリよりはやや弱く感じられます。


余韻はボディが増した分やや長めの印象です。


製造元の説明を見るとMLFや、澱との接触(12か月間)、一部の樽熟成がされているようですが、こちらもあまり感じられませんでした。(https://chablisienne.com/en/the-wines/nos-premiers-cru/grande-cuvee-2018.html)


樽についてはおそらく新樽がほとんど使われていないのだと思いました。プルミエ・クリュだからと言って、全てに新樽が使われているわけではないのかもしれません。




ワイン③:『Domaine Bouchard Père & Fils Beaune du Château Premier Cru Blanc (2016)』(コード・ド・ボーヌ 1erクリュ)



ボーヌ(Beaune)AOCのプルミエ・クリュのワインです。


このワインはひとたび香りをとっただけで、とても良くできたワインであることが分かりました。


華やかなフルーツの香り(リンゴ、モモ、グレープフルーツ、レモン)に、酵母の香り(パン)や乳製品(クリーム)の香りと、樽の香り(ヴァニラ)の香りがしっかり感じられます。フルーツをトッピングしたケーキのような香りを連想しました。香りの強さもやや強めです。


味わいは、辛口で、ボディにも厚みが感じられ、長い余韻の感じられるワインです。酸味もシャブリほどではないですが、やや高めで、果実の香りととてもバランスが取れています。


作り手のサイトによると、新樽が15%ほど使われているそうです。果実味を消さないようにバランスの良く樽の香りが加えられています。(https://api-vins.bouchard-pereetfils.com/pdf/bouchard/BNIHBD.en.pdf)


明示はされていませんでしたが、澱との熟成もある程度されているのではないかと思いました。


ニューワールドほどのパワーはないですが、とても繊細に丁寧に造られているような気がします。多少高価でもコート・ド・ボーヌのクリュワインが人気な理由が分かるワインです。




ワイン④:『Louis Jadot Mâcon Villages (2018)』(マコン・ヴィラージュ)



マコネ地区の広域で造られるマコン・ヴィラージュAOCのワインです。


香りは果実の香り(モモ、リンゴなど)が中心で、かすかに乳製品の香り(ヨーグルト)が感じられます。


樽に由来するスパイスの香りは感じられません。マコン・ヴィラージュにはあまり新樽は使われないようです。


製造元によれば、発酵・熟成はステンレスタンクで行われているようなので納得です。(https://www.louisjadot.com/en/wines/7414-macon-villages-2)


味わいはドライで、酸味は中程度、ボディも中程度です。アルコールは12.5%で中程度です。




ワイン⑤:『Saint-Veran Les Deux Moulins (2016)』(サン・ヴェラン [マコネ地区])



マコン・ヴィラージュと同様にマコネ地区で造られるワインですが、より限られたサン・ヴェラン(Saint-Veran)で造られたワインです。


特徴としてはマコン・ヴィラージュよりも高い果実の成熟度が感じられます。


そのため香りは、モモからパイナップルくらいまでの果実の香りが感じられ、MLFによる乳製品の香り(ヨーグルト)も感じられます。


また、ヴィンテージの古いワインであるためか、瓶熟成によるドライフルーツやハチミツのような香りも感じられます。


サン・ヴェランのワインということで新樽の利用を期待していましたが、樽香は感じることができませんでした。


製造者の説明を見ても、発酵・熟成は全てステンレスタンクで行われているそうです。(https://www.louislatour.com/en/wines/112/saint-veran/2016)


味わいはドライで、酸味は中程度、アルコール度は意外に低くで12.0%、ボディは中程度よりやや高めで、マコン・ヴィラージュよりもしっかりとボディが感じられます。


しかし、ボーヌのプルミエ・クリュと比べると、樽香が無い分、やや物足りなさを感じます。




ワイン⑥:『Jacob’s Creek Chardonnay (2020)』(低価格オーストラリアワイン)



低価格オーストラリアワインのシャルドネです。上の表で言うと、「South Eastern Auatralia」に該当するワインです。


グラスを撮影した写真では色が少し濃い目に出ています。暖かい産地なので果実の成熟度が高いことも理由の1つですが、もう1つの理由としては開封してからの保存状態が良くなかったためにかなり酸化をしてしまったことが考えられます。


ニューワールドらしく果実の成熟度が高く、柑橘系果実(モモ)からトロピカルフルーツ(メロン)などの香りが感じられます。


香りは強くて華やかですが、複雑性は意外とシンプルです。果実の香りが強いせいか、MLFの香りはあまり感じられません。樽香もありません。


ボディもある程度感じられますが、酸味はやや低めです。アルコール度は中程度ですがやや高めの13.5%です。


しかし、果実の凝縮度が低いせいか、余韻はあまり長くは感じません。


全体的な評価としては、フルーティーで飲みやすいですが、あまり複雑性や深みが感じられないワインです。




ワイン⑦:『Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg (2018)』(アデレードヒルズ [豪])



オーストラリアはアデレードヒルズ(Adelaide Hills)GIのシャルドネです。温暖な気候のオーストラリアの中では、アデレードヒルズは比較的涼しい地域と言われています。


そのためか、外観はあまりフランスのシャルドネと大きな違いは感じられません。


ワインについてですが、香り強度はかなり強く、まずはしっかりとした樽香が感じられます。個人的には、焦げた木材を連想させるようなスモーキーな香りですが、ローストナッツやスパイスとも表現される香りだと思います。


そして続いて果実味もしっかり感じられ、リンゴ、モモ、パイナップルなど、緑色系から南国系果実まで幅広いフルーツの香りがします。


また旨味を連想させるイースト香もかすかに感じられます。基本的には、フルーティーというよりも、旨味(セイボリー)が中心の香りのワインだと思います。


味わいはドライで、酸味は中程度かややそれより高いくらい、果実の凝縮度が感じられ、ボディはフルボディくらいだと思います。アルコールは13.5%とやや高めです。


製造元の情報によると、フレンチオークの旧樽で6か月間発酵し、MLFは行わない、その後、澱との接触による熟成、フレンドの40%を天然酵母で発酵、だそうです。(https://www.darenberg.com.au/the-lucky-lizard-2019)


熟成容器の情報はありませんでしたが、しっかりした樽香から推測すると、おそらく新樽がある程度使われているのではないかと思います。余韻として樽の苦みも感じられます。また、MLFはおそらく酸味を失わないために行われなかったのだと推測します。


樽発酵や、澱との接触、天然酵母の利用がワインの複雑性を生んでいるのだと思いました。


果実の成熟度、しっかりとしたフレンチオークの樽香、高いレベルのボディがプレミアムなオーストラリアワインの特徴なのではないかと思いました。




ワイン⑧:『Marlborough Chardonnay Summerhouse wine (2017) 』(マールボロ [NZ])



ニュージーランドはマールボロのシャルドネです。この地域は、ソーヴィニヨン・ブランドで有名ですが、高品質なシャルドネも造っています。


マールボロは、冷涼な気候を持つ南島にあるためか、外観はフランスのシャルドネとそれほど大きな違いは見られません。


しかし、ニュージーランドは全体として日照が強いので、成熟度が高く香り高いブドウが栽培され、このワインも強いレベルの香りを放ちます。


非常に華やかな香りで、有核系果実(モモ)から南国果実(マンゴー、メロン)が香りの中心です。


そしてその華やかな香りの中に乳製品(ヨーグルト)の香りも感じ取ることができます。部分的にMLFが行われているそうです。


製造元によるとフレンチオークの旧樽で発酵・熟成が行われているようですが、新樽があまり使われていないせいか、樽の香りはあまり感じられません。やや遠くに樽を連想させるクローブの香りがありますが、フルーティーな香りに圧倒されてしまっている印象です。


味わいはドライで酸味は中程度、ボディも中程度くらいです。


香りが強く、ピュアな果実味が押し出されているワインですが、少し複雑性がものたりない気がしました。


このような果実味を前面に押し出したクリーンなワインがニュージーランドのシャルドネの特徴なのではと思いました。もう少し高価格帯のものを探せば、樽の香りの複雑性を持ったシャルドネがみつかるのではないかと思いました。




ワイン⑨:『Carneros Chardonnay Saintsbury (2018)』(カーネロス [ナパ・ソノマ])



カリフォルニアは、ナパとソノマにまたがるカーネロスAVAで造られるシャルドネです。


外観は、中程度のレモン色で、ヨーロッパの冷涼地域のものよりは少し濃い目の色が感じられます。


香りの強さは強く、香ばしいバターやパンの香りが中心の旨味(セイボリー)の香りが中心のニュートラルなワインです。また、クローブなどのスパイスを感じさせる香りも感じられます。


その中に、有核果実(モモ)からトロピカルフルーツ(パイナップル、マンゴー)の香りも感じられます。


味わいはドライで、酸味は中程度かやや低め、アルコールはやや高めの14.0%で、ボディはフルボディです。後味に、樽の苦みも感じられます。


また、他のワインに比べてしっかりとした質感も感じられます。ある程度澱を残しているのかもしれません。


果実の凝縮度もあり、余韻も長めでとても良いワインに感じました。


流通業者の情報によると、発酵・熟成ともにフレンチオークで、新樽は20%で8か月の熟成期間を経ているようです。



まとめ


シャルドネは世界中で造られており、産地ごとにそのスタイルに大きな違いがでるので、その特徴の違いを理解し、さらにそれらを香りや味わいで感じ取るのは非常に難しいと感じました。


また、シャルドネは基本的にはニュートラルな香りを持つ品種で、そのワインは製造工程によってさまざまな香りづけがされることが多いですが、中には非常に華やかな香りをもつものもあるので、そのようなワインは他の品種と混同してしまわないかと少し心配になりました。


以上長くなりましたが、シャルドネのテイスティング練習および、テイスティングノートでした。



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以前の「 WSET記述式試験の例題と苦手な問題 」の記事で、レベル3のサンプル問題のタイプをいくつかあげました。 その中で、やや厄介だったのが、ブドウ栽培地域の気候に関する問題。 例えば、次のようなことが問われる問題です: --------------------------------------- ①ある気候に該当する地域名をあげる ②ある気候がブドウの育成に与える影響を述べる ③ある気候において特定の栽培方法が選ばれる理由を述べる --------------------------------------- レベル3で取り扱う気候は、「育成期間の平均温度」と「3つの気候区分」の組み合わせです。育成期間の平均温度は低い温度から、"cool", "moderate", "warm", "hot"の4つに分かれています。 cool climate: < 16.5 C° moderate climate: 16.5 ~ 18.5 C° warm: 18.5 ~ 21 C° hot: > 21 C° また、気候タイプは"Continental (大陸性)", "Maritime (海洋性)", "Mediterranean (地中海性)" の3つに分かれています。 単純に言うと3x4=12のタイプの気候があることになります。 記述式問題で問われる可能性が非常に大きく、また、その気候の特性を知らないと応用問題も解けなくなってしまうので、気候に関しては特に念入りに情報を整理しました。 気候についてはテキストのさまざまな部分に書かれていたので、1つのマップにしてしまうと非常に復習が便利でした。(一部不確かな部分が含まれます) またさらに、応用問題を解くうえで重要なのが、気候のタイプによるブドウ栽培への影響です。これについても一覧できるような表を作って対応しました。 どちらも作るのは面倒ですが、一度作ってしまうとテスト前の見直しに便利でした。

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...

SAT式ワインの英語テイスティングコメント(英語表現)

WSETを学ぶまで私は英語のテイスティングコメントってとても難しいことだと思っていました。 しかし、WSETレベル3で学習する 「 系統的テースティング・アプローチ:ワイン」(通称、SAT) を使えば、簡単に英語でのテイスティングコメントができるようになりました! (参考記事: WSETとは?WSETワインレベル3資格とは? ) コメントにはきちっとした型があるので、その型を覚えて、あとはワインごとの評価を当てはめていくだけ! これでまともな英語のテイスティングコメントになってしまいます。 系統的テースティング・アプローチ:ワイン(SAT)とは? WSETのテキストによれば、「 これを使うことによってワインを総合的に描写し、次にこの情報をもとに品質と飲み頃に関する評価を行うことができるツールである 」といわれています。 また、「 ワインについて考慮すべき重要な要素のすべてを思い起こさせてくれる整然とした体系的なテンプレートを提供しれくれる 」ともいわれています。 SATの形式は? SATは大きく2つの部分から構成され、 ・第1の部分 = 「外観」、「香り」、「味覚」 ・第2の部分 = 「結論」(品質レベル + 飲み頃のレベル/熟成の可能性) となっています。 具体的なテースティングコメントは、次のような文章で表されます。 <SATのコメントの決まった型 (太字部分)> ------------------------------------------------------------------------ [第1の部分] The wine is  (色の濃さ) (色 ) . The wine has a  (香りの強さ)  aroma intensity and it is  (発達段階) . The aromas are of  (香りの特徴) . The wine is   (甘味)  with  (酸味)  acidity, (タンニン) tannin, (アルコール)   alcohol, and   (ボディ)  b...