シャブリのように、酸味が強く、果実味がそれほど豊富ではないワインの表現として、ときどき「ミネラル感」という言葉が用いられます。
「ミネラル」とは一般に、「鉱物」や「無機物」、「栄養としての無機質」を意味します。
しかし、これらの風味がどのようにワインから感じられるのかを考えてみると、なかなか具体的なイメージが浮かばないと思います。
ワインの「ミネラル感」とは一体、何のことを指しているのでしょうか?
ここで一つ参考になるウェブサイトがありました。
それは「ミネラル感」を代表するワインである、「シャブリ」ワインのウェブサイトです:https://www.chablis-wines.com/tasting/minerality/minerality,3310,16328.html?
ここでは、「ミネラル感」は次の3つの要素に分けられて説明されています。
- Ocean (磯っぽさ)
- Land (土っぽさ)
- Smoke (スモーキーさ)
「磯っぽさ」の具体的な例としては、次のようなものがあげられています: ヨード、殻の内側、生ガキ、波しぶき
「土っぽさ」の例としては次の通り: チョーク、白色石灰岩、火打石、火薬、濡れた石、乾いた大地に降る雨
そして、「スモーキーさ」の例としては次の通りです: 硫黄(擦ったマッチ)、燻煙香、スモークウッド
シャブリのワインから感じられる「ミネラル感」は、おそらく、これら3つの要素のいずれかか、これらを組み合わせたものなのだと思います。
また、これら3つ以外の要素として、「塩味」もワインに「ミネラル感」を与えうる要素としてあげられていますが、これについては賛否両論があり、まだ十分に解明されていない部分があるようです。
ちなみに、個人的にはシャブリのワインを表す表現としては、「火打石(flint)」をよく目にします。「火打石」の香りとは、熱せられたり 打ち当てられたりした時のような岩石の香り、あるいは煙の香りと言われています。
火打石の香りは、先ほどの3つの要素の中では「土っぽさ」に含まれていますが、その香りの特徴としてはどうやら、「土っぽさ」に加えて、「スモーキーさ」の特徴も含まれているようです。「ミネラル=土っぽさ(岩石っぽさ)+スモーキーさ」ととらえると、何となく「ミネラル感」が表すものがわかりような気がします。
一方で、「磯っぽさ」であげられている表現は、個人的にはそれほど馴染みのあるものではありません。例えば「ヨード」は薬のような香りや、ピート香のあるウイスキーのような香りとよく言われているようですが、個人的な経験ではこれは正露丸のような香りなのではないかと想像します。しかし、シャブリをはじめ、このような香りをあまり白ワインからは感じたことはあまりありません。
まとめとしては、ワインの「ミネラル感」とは、火打石から想像される「土っぽさ(岩石っぽさ)」と「スモーキーさ」あたりを想像すると想像しやすいのではないかと思います。
<了>