今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
スペインの「グラン・レセルバ(Gran Reserva)」ワインとは、スペインのワイン法で定められた最長の熟成基準を満たしたワインのことを指し、ラベルに「Gran Reserva」と表記することが許されたワインのことです。
赤ワインの場合、最低限5年の熟成期間が求められており、そのうち最低18か月以上の樽熟成が必要です。樽熟成に使われる樽のサイズにも規定があり、330ℓを超えるものを用いることはできません。
熟成期間の規定には独自にさらに厳しい条件を課している地域(リオハDOCaなど)もあり、さらに長い最低熟成期間や、瓶熟成の規定、より小さい樽の利用などの条件が課せられています。
白ワインやロゼワインにも「グラン・レセルバ」を名乗るには同様の熟成規定があり、4年の最低熟成期間(うち、6か月は330ℓ以下での樽熟成)という条件が課せられています。
一定の熟成規定を満たしたワインに表示のできるラベル用語としては「Gran Reserva」以外にも「Reserva(レセルバ)」や「Crianza(クリアンサ)」がありますが、最も長く厳しい熟成規定が設けられているのは「Gran Reserva」です。
では、「Gran Reserva」が最も品質の高いワインと言えるのでしょうか?
答えは必ずしもそうとは限りません。
その理由を考察していきたいと思います。
【理由①】「Gran Reserva」は熟成しか規定していない
ワインの品質に大きな影響を与える要素としては、ブドウの品質(ブドウ栽培)、醸造手法(ワイン醸造)、熟成手法(ワイン熟成)があると言われています。
しかし、「Gran Reserva」が規定しているのは、このうちの「熟成手法」のみについてです。「ブドウの品質」や「醸造手法」については何も条件が課せられていません。
極端な例をあげると、最高の日当たりと水はけの畑でとられた最高級のブドウから造られたワインでも、栽培条件の良くない畑の粗悪なブドウから造られたワインでも、一定の条件を満たす熟成工程を経た場合、どちらも「Gran Reserva」が名乗れてしまうわけです。
例えば、同じ熟成規定のもとで造られるリオハDOCaワインであっても、これだけ広範囲にわたるブドウ畑があれば、そこで造られるブドウの品質もまちまちです。そして、そのブドウから造られるワインの品質もピンからキリまであるのは至極当然の話です。
一般的に、品質の高いブドウから造られたワインは長期熟成によりその味や価値を高めますが、品質の低いブドウから造られたワインは熟成とともにその味を落としていくと言われています。
ブドウ栽培(ブドウの品質)を主な例としてあげましたが、「ワイン醸造」の良し悪しについても同様のことが言えます。
【理由②】「Gran Reserva」では熟成に使われる樽のタイプが考慮されていない
「Gran Reserva」における樽の条件は、330ℓを超えないオーク樽であることです。
しかしこの規定では、ワインの風味に大きな影響を与える次のような要素が考慮されていません:
・アメリカンオーク or フレンチオーク
・旧樽 or 新樽
スペインでは伝統的に、より安価に手に入りやすいアメリカンオークが使われてきました。アメリカンオークを用いて長期熟成を経たワインは一般的に、乾燥果実やキノコ、肉、バニラ、ココナッツなどの香りが際立つと言われています。
しかし近年では、消費者の好みに合わせてより高価なフレンチオークの利用が増えているようです。フレンチオークは一般的に、アメリカンオークのような強い樽香をワインに与えない一方で、タンニンによる骨格を与えると言われています。そのため、フレンチオークで熟成されたワインは、より果実味や骨格に特徴を持ったワインになると言われています。低収穫量で、厳選された畑から得られたブドウだけを使って、法的な熟成年数にとらわれずに果実味や骨格にこだわって製造される「Vinos de autor」と呼ばれるワインのジャンルも登場しました。
また、旧樽熟成と新樽熟成についても、ワインのスタイルや品質には大きな違いが現れます。一般的に新樽で熟成されたワインには、旧樽で熟成されたワインよりも強い樽香が与えられます。新樽熟成にはまだ一度も熟成に使われていない新樽を用意する必要があるために、旧樽熟成に比べて費用がかかります。そのために、新樽熟成は一定以上の高品質なワインに使われるのが一般的です。
このように、「Gran Reserva」では、ワインの品質やスタイルに影響を与えるような、利用する樽のタイプの規定についても十分に考慮されているとは言えません。
<了>