スペインのリオハの赤ワインに使われる主要品種の覚え方を考えてみました。
リオハと言えば、スペイン中央部の北側に位置するワイン産地で、特に赤ワインが有名です。
リオハは大きく3つのサブゾーンに分かれており、各ゾーンごとに気候や土壌の違いがあるために、栽培されるブドウの種類にも若干の違いがあります。
上図の青い部分が「リオハ・アルタ」、オレンジが「リオハ・アラベサ」、黄色が「リオハ・オリエンタル」というなのサブゾーンです。
リオハ・オリエンタルは昔は「リオハ・バハ」という名前で呼ばれていました。Bajaとは下流を表すスペイン語とのことですが、これはリオハの中心部を流れるエブロ川の下流に位置することから名づけられたようです。しかし、下を表すBajaという言葉が品質の低さも連想させることから、東を意味する「リオハ・オリエンタル」という名前に改められたようです。
一方で、エブロ川の上流にあるゾーンにはアルタ(Alta)という名前が付けられて、「リオハ・アルタ」と呼ばれています。
エブロ川の上流の一部、北岸のゾーンには「リオハ・アラベサ」という名前が付けられていますが、これはこの地域がアラバ県(バスク州)に位置することからつけられた名称であると考えられます。
さて、ブドウ品種の名前に戻りますが、リオハの赤ワインに使われる品種は「テンプラニーリョ」、「ガルナッチャ」、「グラシアーノ」、「マスエロ」、「マトゥラナ・ティンタ」などです。
これらの品種を覚えるために次のような語呂合わせを作ってみました。
テンプラニーリョ(Tempranillo)
リオハで栽培されているブドウの9割が黒ブドウですが、黒ブドウの中でもさらに9割近くの栽培面積を誇るのがこのテンプラニーリョです。つまり、リオハにおいては圧倒的に栽培量の多い品種であるということです。
テンプラニーリョは早熟な品種であるために、高品質なものは、比較的涼しい地域で栽培されることが多いようです。サブゾーンでいうと、リオハ・アルタやリオハ・アラベサの涼しい地域に適していると言われています。
リオハブレンドの主要品種としてや、単一品種ワインとしても使われます。ラズベリーや黒プラムの風味と、中程度かそれよりもやや高めの酸味とタンニンを持っています。
ガルナッチャ(Garnacha)
ガルナッチャは、リオハで2番目に多く栽培されている黒ブドウ品種で、フランスではグルナッシュとして知られています。2番目に多いとは言え、栽培面積はテンプラニーリョの10分の1程度です。
ガルナッチャは暖かく乾燥をした気候に適しており、品質の高いブドウを目指す生産者がリオハ・オリエンタルでガルナッチャを栽培しています。
ガルナッチャはリオハブレンドに、熟したイチゴの風味とボディを与える役割を担っています。タンニンや酸味はそれほど顕著ではないようです。
グラシアーノ(Graciano)
グラシアーノは、ガルナッチャよりもさらにリオハでの栽培面積の少ない黒ブドウ品種です。晩熟で干ばつに強い性質を持った品種と言われています。
グラシアーノは、リオハブレンドに新鮮な黒系果実の風味と、骨格(酸味とタンニン)を与える役割を担っています。ブレンドでの利用が多いようですが、単一品種ワインも造られることがあるようです。
マスエロ(Mazuelo)
マスエロもリオハでの栽培量はそれほど大きくはなく、グラシアーノと同程度くらいの栽培面積を持つ品種です。スペインの他の地域では「 カリニェナ(Carinena)」、フランスなどでは「カリニャン(Carignan)」と呼ばれる品種です。
強い酸味が特徴の品種で、ブレンドワインや、単一品種ワインとしても製造されているそうです。
マトゥラナ・ティンタ(Maturana Tinta)
マトゥラナ・ティンタは、フランスではトゥルソーとして知られる品種で、リオハにおける栽培面積はそれほど大きくはありません。
ブレンドワインに用いられることが多く、紫色の色合いや、酸味、クランベリーやブラックベリーの風味をリオハブレンドに与えています。
語呂合わせには加えませんでしたが、カベルネ・ソーヴィニヨンも栽培面積は非常に小さいですが、リオハワインの品種として許可されています。
<了>