スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

10月, 2020の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

混同していたクルティエとネゴシアンとその違い ~クルティエとは?~

ワイン学習をしていると、フランス語から派生をした様々な専門用語がでてくるのですが、私はこれらが苦手です。 英語だと単語からなんとなく意味が分かるのですが、フランス語だと意味を推測することもできません。 その中でも、長年よくわからなかったのが「ネゴシアン(Négociant)」と「クルティエ(Courtier)」です。これらがそれぞれ何であるかをはじめ、それらの違いもよくわからないままでした。 この2つを混同してしまったいた理由は、ワインエキスパートの勉強で出会った下のような「ワインの売買」の図が原因でした。 私はこれを見て、それぞれを、ブルゴーニュ/ボルドーのワイン流通業者だと思っていました。 しかし、それぞれの役割を調べていく中で、それが誤りであることがわかりました。 ネゴシアン(Négociant)とは? まず、ネゴシアンとは、ブドウ栽培者やワイン醸造組合からブドウや果汁、ワインを買い入れて、自社の名前で瓶詰をしているワイン商です。英語では、「merchant」というそうです。 自社で瓶詰をしているということを考えると、「流通業者」というよりは「生産者」に近い存在のようです。 前回の記事でも、少しネゴシアンのことについて触れました。 関連記事: プロセスで整理をしたらわかりやすかったネゴシアン ~ ネゴシアンとは? ~ クルティエ(Courtier)とは? 一方、クルティエとは仲介業者であり、ネゴシアンのように自社で瓶詰をすることはないようです。英語では、「broker(=仲介業者)」に当たるようです。 ワインの流通に寄与しているという意味では流通業者(distributor)に近いようなのですが、流通業者のように物流作業や販売作業に関わることはないようです。 つまり、クルティエが行っていることは、売り手(生産者など)と、買い手(小売、中間業者など)のマッチングのみのようです。 そのため、仲介手数料は小さく、事業規模も小さいというのが特徴のようです。 また、クルティエは、フランスでは法で守られた職業であるようです。

プロセスで整理をしたらわかりやすかったネゴシアン ~ ネゴシアンとは? ~

ワインの世界には何かと聞きなれない専門用語が登場します。 その理由の1つはフランス語由来の言葉が多く使われているためだと思います。 私も長らくわかっているようでわかっていない言葉があったのですが、それが「ネゴシアン」。 ワイン商 ということはわかっていたのですが、何をやっているのかと問われると、少し答えに困ってしまいます。 そこで、ワインの製造から販売までの役割で、ネゴシアンの立ち位置を整理してみました。 まず、「 ネゴシアン(négociant) 」とは、英語にすると「 merchant=商人(ワイン商)」 です。 従来的な 彼らの役割は、熟成前のワインを製造者から買い付け、熟成し、そのネゴシアンの名前で瓶詰をして販売することのようです。 製造者から買い付けて、商品を横流しして利益を得ているので、まさに「商人」です。 一方でよく比較をされるのが、ドメーヌ、シャトー、エステートなど。 これらはブドウを自社畑で栽培するところから、ワインを醸造・熟成し、瓶詰をするところまですべてを自社で行っているのだそうです。 ドメーヌ、シャトーはフランス語由来の名称、エステートは英語での呼び名のようです。 これだけであれば、ネゴシアンの役割は非常にシンプルなのですが、ネゴシアンによっては販売するワインをより良いものにするために、より上流の工程に影響を及ぼすところがあるようです。 例えば、ワインの製造者に技術的なアドバイスを与えたり、ワインの醸造を行ったり、さらにはブドウ栽培にまで手をかけているところもあるようです。 特にワインの醸造を行うことは一般的で、ブドウ栽培者やワイン醸造協同組合からブドウや果汁を買い入れているようです。 そのような側面からみると、ネゴシアンは「ワイン生産者」のタイプの1つとも言えるようです。ワイン生産者の主なタイプには、「ワイン協同組合」、「ワイン商」、「エステート(ドメーヌ・シャトーなど)」の3つがあるようです。 多分、このやり手の商人を思わせる手広さが、私が「ネゴシアン」の役割をなかなか理解できなかった理由だと思います。

ワインの「花」の香りがわからない

  ワインの第一の香り(primary flavour)と言えば、「果実」、「草/ハーブ」、「花」、「香辛料」などの香りがあります。 この中で、「果実」、「草/ハーブ」、「香辛料」は日々の生活で手にするものなので、個人的には、なんとなく香りのイメージがわかります。 しかし、「花」って身近なようで、意外に日常的に触れ合うことがありません。 なので、私は「花の香り」が苦手だし、どんなワインに「花の香り」が当てはまるのかよくわかりません。 恥ずかしながら、ほとんど感覚的に、「花っぽい」香りを感じたときに、あてずっぽ的に「花の香り」をテイスティングノート書き込んでいます。 このままではいけないと、最近、花の香りについて調べてきました。 まず、花の香りに主に寄与をしているのは、 テルペン(terpene) という香り物質のようです。 テルペンは植物から生成される有機化合物の大きな分類で、エッセンシャルオイルの主成分なのだそうです。 マスカット品種 (Muscat)には、 リナロール(linalool) や ゲラニオール(geraniol )というテルペンが含まれ、その典型的な「ブドウの香り」の原因になっているようです。 また、他の品種では、 リースリング(Riesling) 、 ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer) 、 トロンテス(Torrontés) などにもテルペンが含まれているようです。 こうして見てみると、強い香りを持ついわゆる 「アロマティック品種」 が花の香りを持っているようです。 いわゆる「華やかな香り」を持つワインが「花の香り」を持つのでしょうか? まだこの件は研究中なので、新たな情報があったらまたアップデートをしたいと思います。

WSETテイスティングの失敗談2-酸味

ワインの「酸味」を測ることは簡単そうに思えて、意外に難しい作業だと思います。 以前に、WSETのテイスティングでドイツの残糖のあるリースリングを味わったことがありました。 リースリングの特徴と言えば、「高い酸味」です。 しかし、この時、私はワインから高い酸味を感じることができませんでした。 私はそれまで、ワインの酸味を測る方法として、基本的に直感に頼っていました。 つまり、感覚的に「酸っぱいな」と感じたら酸味は高いと判断し、「あまり酸っぱさを感じないな」と思ったら酸味は低めに評価していました。 そしてその感覚に頼った結果、私はそのワインの酸味は「中程度」と評価をしました。 しかし、講師の評価は「高い酸味」! なんと、全くの大外しをしてしまいました。 後から調べたのですが、どうやら「酸味と甘味はお互いを隠してしまう」特徴があることがわかりました。 その特徴ために、私は直感的に「中程度の酸味」という誤った評価をしてしまったのでした.... WSETのテキストにも書かれていますが、酸味は「舌の両側が刺激されて唾液が促される感覚」で評価をすると正しい評価ができるようです。 その失敗以降、酸味は、舌の両側にたまる唾液の量で評価をするように切り替えたのですが、そのおかげか正解の確率はかなり向上しました。 この経験から、 「テイスティングに大事なのは、感覚ではなく、知識と技術!」 ということを学びました。

en primeur  の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

 「 en primeur = プリムール(取引) 」です。 「収穫翌年に... ユニオン・デ・グラン・クリュが... 試飲会を開催して... ネゴシアンが ... インポーターに価格を提示して...」など説明されると、とても理解が難しい気がしてしまいますが、 単純に言うと、 「ワインの先物取引」 です。 ワインは、「製造 → 熟成 → 瓶詰・出荷」の流れで販売されますが、「熟成」の段階で売買をしてしまう取引です。 私の理解では、大雑把にこのような流れです。 通常、熟成中のワインはお金に換えることができず、売り手側に大きな金銭的な負担がかかりますが、プリムールで販売をすることで売り手はその財政的負担を減らすことができるそうです。 第二次世界大戦後に財政難に陥ったボルドーのシャトーがキャッシュフローを改善するためにこの取引を始めたのだとか。 en primeur (プリムール)は買い手側にも、 ・熟成後よりも安い価格で買える ・在庫を確保できる というメリットがありますが、反面、 ・事前に代金を払わなければならない ・熟成後に需要があり、価格が上がることが保証されていない というデメリットもあるようです。 これは、通常の先物取引のメリット・デメリットと同じだと思います。

WSETテイスティングの失敗談1

 WSETのテイスティングの特徴は、定量的に評価をする項目が多いことです。 例えば、各評価項目で次のような選択肢が与えられています。 ・外観の色の濃さ:「pale - medium - deep」 ・香りの強さ:「light - medium(-) - medium - medium(+) - pronounced」 ・酸味:「low - medium(-) - medium - medium(+) - high」 これを見ると、一見、色の濃さは3段階、香りの強さは5段階、酸味は5段階で評価をすると考えてしまいがちです。 実際私もそうでした。 しかし、WSETの評価は実際はほとんどの項目で基本的に3段階らしいのです。 なので、上の例で言うと、酸味の評価は基本的には3段階です。 しかし、mediumが選ばれた場合は、さらにそれを「medium(-) - medium - medium(+)」の3段階で評価しましょうということなのだそうです。(レベル3以上から) なので、下のような5段階評価のようなイメージは無いようなのです。 評価項目としては結局は5つの選択肢から回答を選ぶので、「同じこと」と考えられがちですが、実際にテイスティングをやってみると、結構違います。 例えば、私は以前に2つのワインをテイスティングする機会がありました。 1つ目のワインがとても酸味の高いワインであり、「酸味 = high」としました。 2つ目のワインも酸味が高いワインだったのですが、1つ目ほど酸味が高いワインではありませんでした。 私は、「1つ目ほど酸味が高くないので、medium(+)くらいかな?」と評価をしてしまいました。 講師の回答を聞くと、正しい回答は両方のワインともに「酸味 = high」でした。 私がこのような失敗をしてしまった原因は、酸味の評価をはじめから5段階で考えていたことが大きな理由と考えられます。 本来は、はじめは「low - medium - high」の3段階評価をすべきでした。そうすれば、きっと初めから、両者のワインともに「酸味 = high」の評価ができたと思います。 これ以降、「3段階評価!3段階評価!」と心に念じてテイスティングをしていますが、気が付くとついつい「5段階評価」をしてしまっていることが多いので、常に注意が必要な部分です。

シャンパーニュがトーストのような香ばしい香りを持つ理由は?

シャンパーニュの特徴の1つに、パンやビスケット、トーストといった風味があげられると思います。 この特徴は、シャンパーニュを含む、高額なスパークリングワインに用いられる「瓶内二次発酵」と「澱との熟成」に起因していると言われています。 シャンパーニュを含む、高額なスパークリングワインの作り方(「伝統的方式」と呼ばれています)は大雑把に次のような流れです: ① ベースワインを造る(アルコールの一次発酵を含む) ② ベースワインに糖分と酵母を加えて瓶詰め ③ 瓶内でアルコールの二次発酵が起こり、CO2が発生 ④ 酵母は死滅して澱となる ⑤ 瓶内で澱とともにワインの熟成(酵母の自己分解発生) ⑥ 瓶内から澱を取り除き、甘味調整(リキュール・デクスペディション添加) パンやビスケット、トーストといった風味は⑤の工程が主に寄与しているわけですが、「酵母の自己分解(yeast autolysis)」によってこの香りが生成されるのだとか。 酵母と言えば、パンの発酵に使われる材料です。ですので、酵母と熟成させたワインが「パン」や「ビスケット」の香りをもつことは当然と言えば当然と言えるかもしれません。 しかし、私には長らくシャンパーニュに関する疑問がありました。 それは、シャンパーニュの持つ「トースト」の香ばしい香りです。 酵母の影響によってパン生地の香りを持つことはわかるのですが、火を入れていないシャンパーニュが「香ばしい香り」を持つことにずっと納得ができていませんでした。 最近、その謎を解明してくれるヒントに行き当たったのですが、それは「メイラード反応(Maillard reaction)」です。 メイラード反応とは、トーストを焼いたときなどにアミノ酸と糖質が結合して「メラノイジン」という褐色物質を作る反応です。この時、焦げ臭、カラメル臭、ナッツ様の臭気、パン様の臭気、チョコレート臭、時にカビ臭やスミレ様の臭気など、様々な香気が生じるそうです。 どうやら、シャンパーニュにおいても、酵母の自己分解に由来する物質(おそらくアミノ酸)とリキュール・デクスペディション(liqueur d'expedition)に含まれる糖分が反応でして、「メイラード反応」が起きているようなのです。 まだ、知識が断片的なのですが、どうやらこれが幾分かシャンパーニュの「香ばしさ」に寄与していると考えてよ

ワインが「青い・ピーマンのような」香りを持つ原因は?

ワインの中には「青い」香りを持つワインがあります。 この「青い」香りはよく、「青草」や「ピーマン」などに例えられます。 私はこの「青い」香りの原因は、ブドウ品種が持つ特徴であるとずっと思っていたのですが、どうやらそれだけではないようです。 ワインの持つ「青い」香りの原因の多くは、 メトキシピラジン(methoxypyrazine) という物質にあるようです。 (※単語のスペルは、「y」が2か所入っているのが特徴的です) このメトキシピラジンという物質は、ブドウの果実自体が持つ香り物質であり、ブドウの成熟とともに減少するという性質を持っています。 そのため、成熟期間中に気温が上がらなかったり、日照が十分に得られなかったりで、ブドウの成熟が十分に進まないと、ブドウ中は多くのメトキシピラジンが残ります。 つまり、未熟なブドウには、多くのメトキシピラジンが含まれる結果となり、そのブドウからできるワインには「青い」香りが残ることとなるようです。 しかし、一方で、十分に成熟したブドウであってもメトキシピラジンが多く含まれるブドウ品種もあるようです。 それが「青草」の香りで有名な、ソーヴィニヨン・ブランや、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンなどです。 つまり、ワインが「青い」香りを持つ理由としては、 ① ブドウが未熟で十分に熟していない ② ブドウ品種の影響によるもの の2つが考えられるようです。

WSETの栽培・醸造オプションの筆記対策

 このブログでも散々書いてきましたが、WSET試験において最も大変だと思うのが筆記試験対策です。 その中でも個人的に特に大変だと思うのが、「栽培・醸造」分野です。 この分野は、ブドウ栽培理論、および、ワイン醸造理論について学ぶ部分であり、WSETの中で最も理論的な部分だと思います。 そのため、うわべだけの知識だけでなく、しっかりとした理論を理解していないと、筆記試験で十分な得点は得られないと思います。 さらには、この分野はWSETで取り上げられる世界のさまざまなワインを理解する上で根幹となる部分であり、「栽培・醸造」分野がしっかりわかっていないと、各地域の個別のワインを理解することも難しくなってしまいます。 ちょうど下の図のようなイメージです。(viticulture = 栽培、vinification =醸造) 「栽培・醸造」分野をまとめる WSETのテキストは基本的に文章が中心です。 文章を追いながらテキストを一通り読み終えてみると、読んだ直後はわかったような気になります。しかし、実際に練習問題などを解いてみると、自分が全然理解していないことに気が付かされます。 そんな情報のまとめ方として、個人的に有効だと思うのが、テキストの内容を表にまとめることです。 表にまとめてみることで、情報を一覧できたり、情報を整理できるので、一気に理解が深まります。 特に、「栽培・醸造」分野には、さまざまな栽培・醸造手法(オプション)が登場するのですが、これらについては、「定義・概要(definition/explanation)」、「メリット(advantages)」、「デメリット(disadvantages)」でまとめるのが個人的にはおすすめです。 WSETの筆記試験問題ではよく、「~とは何かを説明せよ」や「~の特徴を説明せよ」という問題が登場するのですが、このようなまとめ方をしておくと、すぐに書くべきことが頭に浮かびます。 また、「なぜ~は高級ワインに用いられるのか?」や「なぜ~は安いワインには向いていないのか?」、「~の良い点、悪い点を論ぜよ」、「~の適用について論ぜよ」なども問題が出題されても、メリット・デメリットをまとめておくととても役に立ちます。 上の例は、「Cold soaking」のみに絞った例ですが、「マセラシオン」をテーマに「発酵後のマセラシオン」や「熱を使った

テイスティング対策の失敗談④:品種当てばかりをしてしまう

テイスティング対策の失敗談の4つ目は、「テイスティング練習=品種当て」となってしまったことでした。 「品種当て」自体は悪いことではないと思いますが、私は個人的には、「品種当て」よりも、「ワインのタイプ判別」の方が重要だと思います。 「ワインのタイプ」とは、「新世界 or 旧世界?」、「アロマティック品種 or ノンアロマティック品種?」、「赤系果実 or 黒系果実?」などの大きなワインの括りを指しています。 つまり、ここでの失敗談の意味するところは、 「ワインのタイプ判別をおろそかにして、品種当ての練習ばかりしてしまった」 ということです。 例えば、私はテイスティングをする際に、ワインのタイプを大括りで次のように分けています。 白ワイン、赤ワインそれぞれ矢印を境に4つの象限が出来上がっていますが、これがワインのタイプにあたります。 テイスティングをしたワインがどこの象限にあたるワインなのかを正しく判別することができれば、該当する品種は自動的に絞られてくるはずです。 さらに、テイスティングコメントに関しても、同じ象限にあるワイン同士は自動的に似通ったものになってきます(ただし、ワインの品質レベルが同程度の場合)。 つまり、ワインタイプを正確に判別することができれば、品種当てやテイスティングコメントにおいて、大きく外して、大けがをする可能性がかなり低まると思うわけです。 私はテイスティング練習を始めた当初は、「新世界/旧世界(温暖地域/冷涼地域)」、「アロマティック品種/ノンアロマティック品種」、「赤系果実/黒系果実」という基礎的な判別を行うことなく、ひたすら「品種当て」ばかりに時間を費やしていました。 そのため、テイスティングをやるたびにテイスティングコメントが大きくぶれてしまっていました。 今思えば、もっと基礎的な「ワインのタイプ判別」に時間を割いて練習をしておけば、もっと効率的な練習ができていたのではと思っています。

テイスティング対策の失敗談③:特定の特徴に頼ってしまう

テイスティング対策の失敗談の3つ目は、特定の特徴に頼った品種当ての練習をしてしまったことです。 特定の特徴とは、例えば、ソーヴィニヨン・ブランであれば「青草」の香り、シラーであれば「黒コショウ」、カベルネ・フランであれば「ピーマン」の香りなどです。 私は品種当てが苦手だったために、ワインエキスパートの練習は品種を当てることに重点を置いて練習をしていました。 しかし、あまりに品種を当てることにこだわりすぎて、自然と、品種を決めにかかったテイスティングをしてしまうことがよくありました。 例えば、ある時、赤ワインのテイスティングで次のような特徴を捉えました。 ・赤系果実 ・ピーマンの香り ・中程度の酸味 ・中程度のタンニン 私は、「赤系果実」、「ピーマン」の香りという特徴から、このワインは「ロワールのカベルネ・フラン」だと決めてかかってテイスティングをしてしまいました。 そして、ロワールのカベルネ・フランであることに帳尻を合わせるように、回答用紙に「中程度のアルコール」、「ミディアムボディ」と書き込んでしまいました。 しかし、このワイン、実は正解は「グルナッシュ」、しかも、「シャトー・ヌフ・デュ・パプ」でした。 そのため、アルコールは14%以上のフルボディのワインでした。 品種を「カベルネ・フラン」に決めてかかっていたために、アルコール度をしっかり測ることを怠って、完全に誤ったテイスティングコメントを書く羽目になってしまったわけです。(ロワールのカベルネ・フランには一般的に、シャトー・ヌフ・デュ・パプほどのアルコール度もボディもありません) ワインのテイスティングを行う際は、外観、香り、味をしっかり評価をしてから総合的に主要品種の推測をすべきだと思います。 特定の情報だけに頼った品種当てが、いかにテイスティングを誤った方向に導いてしまうかがよくわかった失敗でした。

テイスティング対策の失敗談②:醸造知識の欠如

テイスティング対策の失敗談その2は、醸造知識の欠如です。 正しい醸造知識がないと、練習用のワインを買うのにも正しいものが選べませんし、実際のテイスティングにおいても大きな失敗をしてしまいます。 例えば、その昔、ワインエキスパート2次試験対策用に、ガメイワインを購入しました。 よく言われるガメイの特徴と言えば、色のわりにタンニンが少ないとか、バナナのような甘い香りがするとかです。 しかし、私が購入したワインからはあまりそのような特徴を捉えることはできませんでした。 当時は欠陥ワインを購入してしまったくらいにしか考えていませんでしたが、今になって考えてみると、実はこれ、おそらくワインの選び方が原因だったのではないかと思っています。 「色のわりにタンニンが少ない」とか「バナナのような香り」という特徴は、実はガメイそのものが持つ特徴というよりは、マセラシオン・カルボニック/セミ・マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法/半炭酸ガス浸漬法)という特殊な製法によるワインが持つ特徴だったのです。 多分、私が購入したワインにはそのような製法が用いられていなかったか、その製法の特徴があまり表れていないワインだったのだと思います。 別の例を挙げると、同じくワインエキスパート対策で、テンプラニーリョワインを購入したことがありました。 ワインエキスパートの2次試験で出題されるテンプラニーリョワインには、「乾燥果実」や「タバコ」という特徴がよく挙げられます。 しかし、私が購入したワインからはそのような特徴を感じることはできませんでした。 それもそのはず、私が購入したリオハワインは「ホーベン」でした。ホーベンは、「樽熟成1年以下、または全く樽熟成を行わないワイン」のことです。このような熟成期間では、熟成香である「乾燥果実」や「タバコ」の香りが得られるわけがありません。 このように、「正しい醸造知識がない」ことで、練習用に購入するワインを完全に誤ってしまっていました。 また、「醸造知識の欠如」によって、実際のテイスティングにおいても失敗をしてしまうこともありました。 ある時のブラインドテイスティングにおいて、タンニンと酸味がしっかりとした、黒系果実のワインが出題されました。果実の熟度から判断するに、多分、ニューワールドのフルボディのワインだと思いました。 カベルネ・ソーヴィニヨンと、シラーズで