タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
ワインの学習をしていると、 「クローン・セレクション(clonal selection)」 と 「マサル・セレクション(mass selection)」 というブドウ樹の選抜方法がでてきます。 良いワインは、良いブドウ樹から収穫されるブドウから造られます。そのために、これらのブドウ樹の選抜方法は、ブドウ栽培において重要な要素となります。 しかし、ワイン書籍においてこれらは比較的簡易に説明がされていることが多く、私はこれまでしっかりと理解をすることができませんでした。 今回、様々な書籍に目を通す機会があり、少し理解が進んだので、自身の理解を深める意味も込めて、この2つがどのような特徴を持っているのかをまとめてみました。(一部理解が足りず誤っている部分があるかもしれません) クローン・セレクション(clonal selection) これはブドウ樹の選抜を、クローン単位で行っていくという考え方のようです。クローンとは、同一遺伝子を持つブドウ樹の集合のことです。 クローンは「ピノノワール クローン115」のような番号で管理されており、それぞれのクローンは独自の特徴を持っています。例えば、高級ワインに向いた小さな実をつけるという特徴や、特定の病気に強いという特徴などです。 ブドウ栽培者は、自分の希望にあったクローンの苗木を選び、それを新たにブドウ樹を育てる畑に植えていきます。 畑に植えられる苗木はすべて同じ遺伝子を持ったクローンなので、そこから育つブドウ樹はすべて同じものになるはずです。 しかし、ブドウは突然変異を起こしやすい植物であり、他のブドウ樹とは異なる特徴をもったブドウ樹が育つ場合があります。例えば、実の大きさが違ったり、色が違ったり、病気や環境に対する耐性が異なるなどです。 この特徴が好ましい特徴の場合、この突然変異を起こしたブドウ樹は新たなクローンとして管理され、異なる番号で識別されます。 このような、特別変異によってより好ましいブドウ樹を選抜していく方法を「クローン・セレクション」というようです。 比較的新しい選抜方法ですが、多くのブドウ栽培者が用いている方法であり、新たなブドウ樹を育てる栽培者の多くは苗木屋から特定のクローンを購入するようです。 この手法の良いところは、畑一帯に同じクローンが植えられるため、萌芽、開花、結実などのタイミングが均一で、ブドウ樹の...