今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
各国のワインを学習していると、ワイン産地の地理的な区分が、国が行政を行う上での行政区画と一致しない場合があります。 ギリシャもそのうちの1つです。 ギリシャの行政区画は、最も大きな区画で、13の「ペリフェリア(=地方)」に分かれています。 そして、このペリフェリアの下に、県にあたるペリフェリアキ・エノティタ(74)と、市にあたるディモス(325)が区画されています。 しかし、ワイン産地における地理的区分は若干異なり、9つの地方に分かれています。 ここで使われる「地方」は「ディアメリスマタ」と呼ばれていますが、日本語では「ペリフェリア」と「ディアメリスマタ」のどちらも「地方」と翻訳されているようです。 なぜ、行政とワイン産地で地理的な区画が異なるのかが疑問でしたが、調べてみた結果、なんとなく理由が分かりました。 それは、ギリシャでは比較的最近(2010年)に「カリクラティス改革」と呼ばれる大規模な地方制度改革が行われ、新たな行政区画が2011年1月1日付で導入されたからです。 この新たな行政区画が、「ペリフェリア」を用いた13の地方の行政区画です。 最近導入された区画であるため、ワイン産地としては、昔から用いられていた9の地方の地理的区分も用いているようです。 細かい話ですが、このようなことを学んでいくのもワイン学習の楽しみの1つだと思います。 <了>