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7月, 2019の投稿を表示しています

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ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

WSETを勉強して初めて知ったこと:ボルドー

ちょっとワインを勉強すれば、ブルゴーニュ=単一品種、ボルドー=複数品種のブレンド、というのは常識だと思います。 ワインエキスパート試験でも、それぞれのワインで使われている主要品種を必死になって覚えました。 しかし、WSETの勉強をはじめるまで、恥ずかしながら、なぜこの違いが生まれるのかを知りませんでした... 特に、なぜボルドーワインはブレンドなのか? これにはボルドーの気候が大きく影響をしているようです。 ざっくり言うと、 海に近い → 年間を通して雨が多い(海洋性気候) → 開花や結実、果実の腐敗、未熟果のリスク → 1品種に頼るのは危険 → 開花期や成熟期の異なる複数品種を栽培 → ブレンドすることで味の均一化 こんな流れのようです。 それでも、ブレンドでも補完できない出来の良し悪しは年によって違いがあるので、ヴィンテージはボルドーワインでは重視すべきポイントとのこと。 ワインエキスパートを勉強した後だと、ひたすら詰め込んだ情報がWSETによってつながるので、目からうろこです。

ブドウ品種についての記述をまとめる

WSET Level3では、よくブドウ品種の特徴や、そのブドウからできるワインの特徴が問われます。 同じブドウでも、栽培される地域や、醸造方法によってもワインの特徴は変わってくるので、地域ごとに異なる特徴を覚える必要があります。 私の場合は、ブドウ品種の特徴は一通り表形式でまとめています。 Specificationには、 "Principal grape varieties" と "Other grape varieties" の2種類の品種が記載されていましたが、主に "Principal grape varieties" の特徴をまとめました。 Principal grape varieties → 記述式問題、多肢選択問題 Other grape varieties → 多肢選択問題 という傾向があるようです。

やっぱり大変なのは Short Written Answer Questions

WSET Level3の勉強で、一番時間を割くのは Short Written Answer Questions (記述式問題)です。 特に英語で受ける場合に大変なのが最低限のスペリングを覚えなければならないこと。 例えばヴォージュ山脈は、英語になると Vosges mountains だし、トカイも英語になるとTokaji。 非ネイティブの多少のスペルミスは見逃してくれるようですが、でも最低限意味が通じる程度のスペリングが書けなくては! ブドウ栽培やワイン醸造系の単語も結構難しくて、日較差=diurnal difference だし、沈殿法=sedimentation とか覚えることは盛沢山です。 そのため、記述式問題の勉強法はサンプル問題の答えをひたすら手書きでノートに書くこと。手書きで書かないとなかなかスペルも覚えられません。

WSET Level3とJSAソムリエ・ワインエキスパートのテイスティングの特徴の比較

WSETレベル3 のテイスティングの特徴は、テイスティングコメントを 文章で記述していくこと です。 例えば、英語の場合は下のような記述をする必要があります。 ------------------------------------------------- The wine is pale lemon. The wine has a medium intensity and it is youthful. The aromas are of lemon, apple, peach, pineapple, and honeysuckle. The wine is dry with medium acidity, medium alcohol awl medium(-) body. It has a medium flavour intensity and a medium(-) finish. The flavours are of lemon, apple and honeysuckle. This wine is good. Drink now: not suitable for further aging. ------------------------------------------------- 実際の試験でも、2種類のワイン(通常、赤白1種類ずつ)を味わって、それぞれのコメントを回答用紙に書き込みます。 フォーマットはほとんど決まっているので、香りや味わいの表現に使われる単語を覚える以外はそれほどの英語力はいりません。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、テイスティングの回答はすべてマーク式であることを考えると、WSET L3はちょっと面倒です。 また、内容はJSAのテイスティングがよりワインの品種や原産地域の特徴をとらえることが重視されている一方で、 WSETは その ワインの品質をとらえること が重視されているような気がします。 「このワインは品質が高いのか?いま飲み頃なのか?」 ということが評価されます。 そのため、講義で登場するワインもWSETレベル3の場合は、グランクリュのようなとても素晴らしいワインから、大量生産のような手ごろなワインまで、さまざまな品質のものです。

WSETで苦労する本試験に関する情報の少なさと、何とかみつけた情報源

WSETの試験勉強で苦労するのは、試験に関する情報の少なさです。 試験情報を公開してはいけないとの規約があるようで、得られる情報は限られたものです。 JSAワインエキスパート試験では、ウェブ上で過去問が公開されていたり、問題集が書籍として販売されていたりと情報が豊富です。 また、JSA試験はスクールに通えば、毎回の授業で小テストが行われたり、試験の直前に模試が行われたりもしています。 大雑把な言い方をすると、JSAはスクールに通って、毎回授業に出て、時間を確保して言われた復習をきちんとやれば、ほとんどの人が合格できる試験だと思いました。 一方、WSETのコースでもスクールから練習問題が提示されるのですが、そんなに量は多くないので、これで本試験の対策になるのか不安です。 唯一の救いは全世界で行われているため、海外の情報にもアクセスできることです。 例えば下のサイトなどは、記述式の試験の解法として参考にしました。 https://napavalleywineacademy.com/use-this-foolproof-method-to-ace-those-short-answer-questions/ また、こちらの記事でもいくつか海外の情報ソースを紹介しています。 関連記事: WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト

WSETレベル3の英語クラス受講に必要な英語力

WSET Level3 には 日本語 、 英語 の両方のクラスが用意されています。 私の場合、資格取得だけを目的に考えると日本語クラスを受講した方が確実なのですが、英語でワインを勉強することがテーマだったので、悩んだ挙句、英語クラスを受講することにしました。(参考記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) 日本語クラスで受講をして、資格試験は英語受験という方法も可能なのですが、なんだかとても非効率に思えて、この方法はとりませんでした。 ワインスクール主催の説明会に行ってどのくらいの英語力が必要かを聞いたところ、 英語を聞くだけではなくて、質問もできないと厳しい 英語の勉強も兼ねての受講はやめた方がいい 専門用語も多いので、ある程度ワインの知識がないと難しいかも との返事でした。 英語の勉強も兼ねていたのですが、もし英語力が足りない場合は努力でカバーしようと英語クラスに通うことに決めました。 実際にクラスに参加をすると、6割以上は日本人で、英語ネイティブはそんなに多いわけではありませんでした。実際に参加をするまでは、外国人ばかりだと思っていたので少し安心しました。 毎回の授業は盛りだくさんで、講師は丁寧に話してくれるものの、場合によっては結構早口なので、 英語を聞きながらメモを取れるくらいの英語力 は必要だと思いました。テキストの補足情報や、テキストには載っていないテイスティングの情報、本試験の情報などが講師の各所での説明に含まれていたので、これを聞き逃すとかなり本試験で損をしてしまうと思いました。 スマホの辞書アプリも用意していたのですが、使っている暇はなかったので頼れるのは自分の単語力だけでした。 また授業中のテイスティングではコメントを求められることもあるので、講師の質問に対して テイスティングコメントを答えていくような英語力 は必要でした。 また、ほぼ毎回、試験対策として英文で回答をしなければならない宿題も出るので、 英作文の力 も必要でした。 授業中や授業終わりの質問も基本的には英語なので、やっぱり 英語での基本コミュニケーション能力 は必要だなと思いました。 私と同じく日本人で英語クラスを受講している方々は、リスニングはある程度できている方が多かった印象でした。しかし、授業中

WSET Level3 の試験構成(マーク式、記述式、テースティング)

WSET Level3の規定(specification)によれば、試験構成は次のように書かれています。 ---------------------------------------------------------- 試験はテキストその他の持ち込み不可で行われ、受験者は、2 つのユニットから成る試験に合格しなければなりません。 ユニット 1: 理論試験の試験時間は 2 時間で、2 部構成になっています。問題の構成は次の通りです。 • 多肢選択式問題 50 問 • 記述式問題 4 問(各 25 点) このユニットの試験に合格するには、各部の問題で正解率 55% 以上を得点する必要があります。 ユニット 2: テースティング試験の試験時間は 30 分で、試験内容は 2 種類のワインのブラインドテースティングです。 このユニットの試験に合格するには、正解率 55% 以上を得点する必要があります。 WSET ワイン レベル 3 資格を取得するためには、両方のユニットに合格しなければなりません。 ---------------------------------------------------------- まとめると、試験は次の3種類 ① 筆記試験 - 選択式50問  ② 筆記試験 -  記述式4問 (①②を合わせて2時間) ③ テースティング - 2種類 (30分) これらの試験をやって、 それぞれにおいて55%以上正解しなければならないということです。 ①と③はJSAのJSAソムリエ・ワインエキスパート試験と似たような内容ですが、②は曲者なので特別な対策が必要です。さらに1問あたり25点と非常に高い配点です。(参考記事: WSET L3試験の成績評価に関する考察 ) ちなみに試験は1年に2回、決められた日程で行われるので、この日を逃すと半年待たなければなりません。 関連記事: WSET Level3の問題構成と記述式試験対策

WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ?

ある程度、体系的にワインの事を学びたいと思ったらワインの資格取得はおすすめです。 資格を取得するためには決められた範囲を満遍なく学ばなければならないために、試験勉強を終えた頃にはしっかりと 体系立ったワインの知識 が頭の中に残ります。 メジャーなワイン資格といえば何と言っても、日本ソムリエ協会(JSA)の運営する ソムリエ・ワインエキスパート試験 。これはおそらく日本でもっとも有名なワイン資格です。大雑把に言うと、ソムリエ試験はソムリエ向け、ワインエキスパートは私のようなそれ以外の受験者向けです。 そしてもう一つ、世界的にメジャーなワイン資格といえば、 WSET 。この資格はレベル1〜4までありますが、JSAソムリエ・ワインエキスパート資格と同等レベルと言われるのはWSETレベル3です。WSETレベル3は、レベル2を取得していなくても取得が可能ですが、レベル4を取得するにはレベル3の取得が必須です。 私はこの「JSAワインエキスパート」と「WSETレベル3」の両方を受験しましたが、実際に経験をしてみて様々な違いを感じました。 違いは様々ありますが、一番違いを感じたのは学習内容。 ・JSAワインエキスパート=膨大な情報の詰め込み ・WSET=なぜ?なぜ?なぜ?を突き詰める こんなイメージです。 JSAワインエキスパートではとにかくワインの名前や、世界の地理、 ワインの色、品種、格付けなど覚えることが盛りだくさんです。 代表的な例は、ボルドーメドックの格付け1級〜5級を全て覚えなければならないことです。 一方、WSETでは覚えることは各地、各国の代表的な産地やワインくらい。 その反面、 なぜそこでそのようなワインが作られていて、 なぜそのようなブドウが作られているのか? なぜ、そのようなブドウ栽培方法がとられているのか? など、ひたすら理由を追求して、試験ではそれを文章で説明しなければなりません。 この2つは、 ・「知識の幅」 (JSA) ・「知識の深さ」 (WSET) というそれぞれの強みがあるために、 両方学ぶ事で一段とワインへの理解が深まります。 私は、JSAワインエキスパートを合格した後にWSETを受講したのですが、 JSAで詰め込みで覚

WEST LEVEL3に挑戦!

少し間が空きましたが、今年から WSET LEVEL3(英語) に挑戦することにしました! WSETは、JSAのソムリエ・ワインエキスパート試験とは違って、スクールなどで授業を受けなければ取得のできない資格です。 世界的にみるととてもポピュラーな資格なのですが、JSA資格と比べるとまだまだ日本では受講者が少ないようです。 そのため、書籍や勉強法などまだ情報が少ないため、このブログで少しずつ紹介ができればと思っています。 ➡  WSET、WSETワインレベル3資格とは?