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11月, 2020の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

シャンパーニュのブドウ品種はピノノワール、シャルドネ、ムニエだけ?それ以外の品種は使える?

シャンパーニュ(シャンパン)と言えば、ご存じの通りフランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワイン(発泡酒)です。 世界でもっとも有名なスパークリングワインかもしれません。 使われているブドウ品種も有名で、主に「 ピノ・ノワール(Pinot Noir) 」、「 ムニエ(Meunier) 」、「 シャルドネ(Chardonnay) 」の3種から造られます。 しかし、使用を許可されている品種としては、実は7種類あるようなのです。 つまり、主要3品種以外に次のような4種があるのです。 ・アルバンヌ/アルバン(Arbane) ・プティ・メリエ(Petit Meslier) ・ピノ・ブラン(Pinot Blanc) ・フロマントー/フロマント(Fromenteau) 個人的には、ずっと3品種から造られるものとばかり思っていたので、正直7種もあるのは驚きでした。 実際に、Comité Champagneのウェブサイトでは次のように説明されています。 『The vineyard today is predominantly planted to the black Pinot Noir and Meunier and the white Chardonnay. (Other approved varietals are the white Arbane, Petit Meslier, Pinot Blanc and Pinot Gris – together less than 0.3% of plantings).』 (今日のブドウ園の大部分には、黒ブドウ品種のピノノワールとムニエと、白ブドウ品種のシャルドネが植えられています。 (他の承認されている品種には、白ブドウ品種のアルバンヌ、プティメリエ、ピノブラン、ピノグリで、植えられている割合は全体の0.3%未満です)。) ※フロマントーは、ピノグリのシャンパーニュでのシノニムのようです。 その他4品種が占める割合は、全体の1%未満とのことなので、知らなかったのも仕方がないのかもしれません。 シャンパーニュの中にはこれら7品種全てを使った「レ セというットNVラエルト フレール」製品もあるようです。 セパージュは、「シャルドネ18%/ピノ・ムニエ18%/ピノ・ブラン17%/プティ・メリエ15%/ピノ・ノワール14%/フロ

ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~蒸留酒編~

ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」は大きく分けて、 「リキュール」 、 「蒸留酒」 、 「酒精強化ワイン」 に分けられます。 今回は最後の 「蒸留酒」 です。 関連記事: ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」 ~リキュール編~ 関連記事: ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」 ~リキュール編~ 「蒸留酒」の特徴は、蒸留工程を経ているために アルコール度が高いこと です。焼酎のアルコール度は25%~30%程度ですが、ブランデーやスピリッツ、ウイスキーは40%程度のアルコール度を持ちます。顔を近づけただけで、鼻をさすような気化したアルコールが感じられるはずです。 蒸留酒は、 「色のあるもの(琥珀~茶色)」 と 「透明のもの」 に大きく分けて整理をしました。 色のあるものは主に 「グレープブランデー(コニャックなど)」 と 「ウイスキー」 の2種類です。 ※今回も画像中のコメントは、個人的な意見です。 透明のものは主に「フルーツブランデー」、「スピリッツ」、「焼酎」などです。

ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~酒精強化ワイン編~

前回の記事『 ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」 ~酒精強化ワイン編~ 』の続きで、今回は「酒精強化ワイン」です。 酒精強化ワインの特徴は、 アルコール度がワインと同等かやや高めであること(15-20%くらい) です。中には長期熟成を経ているものもあり、熟成香(生物学的熟成[フロール]、酸化熟成)を持つものがあることも特徴の1つかもしれません。 酒精強化ワインは、 「シェリー」 、 「ポートワイン」 、 「その他(マデイラなど)」 に分けて味わいました。それぞれ製法の違いによって、香りや風味に大きな特徴の違いが出るので、この分け方がわかりやすいと思いました。 「シェリー」は辛口の4種類を味わいました。しかし、今思えば、ペドロヒメネスや、ペイルクリーム、ミディアム、クリームなどの甘口シェリーも味わうべきだったかもしれません。 ※後程一通り味わいました→ (関連記事: 酒精強化ワインの私的な見分け方(シェリー、ポートワイン、マデイラ、VDN、ラザグレン・マスカット) ) ※今回の画像のメモも完全な個人的な感想です。 「ポートワイン」は、ホワイトポート、ルビーポート、トウニーポートを味わいました。 トウニーポートの淡い褐色がかった色は、必ずしも長期熟成によるものではないので注意が必要です。 熟成年数表記トウニーポートからは熟成香を感じられる一方で、通常のトウニーポートからは熟成香を感じることができませんでした。 「その他」には、マデイラ、VDNなどが含まれています。 マデイラは、甘さが控えめなセルシアルなども味わってもよかったかもしれません。 フレーヴァードワインは正確には酒精強化ワインかどうかはわかりませんが、このカテゴリーに含んでいます。 味わった数は全12種類で、リキュールに比べると取り組みやすい分野だったと思います。

ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~リキュール編~

JSAワインエキスパート資格の2次試験(ブラインドテイスティング試験)では、ワインに加えて、「ワイン以外のお酒」も1種類出題されます。 詳しくはこちらの記事を参照: JSAソムリエ・ワインエキスパート2次試験対策、セルフ小瓶練習法 ワインのテイスティングとは異なり、「ワイン以外のお酒」はお酒の種類を当てるだけの単純な問題です。通常、4つの選択肢が与えられており、そのうち1つをマークするような形式です。 あるワイン講師によれば、「ワイン以外のお酒」への最良の対策は、できるだけ多くの出題される可能性のあるお酒を味わって、その特徴を自分の言葉でまとめることだそうです。 その教えに従って、「ワイン以外のお酒」対策として私が味わったお酒と、その時個人的に感じた感想をまとめたノートを公開したいと思います。 「ワイン以外のお酒」で出題される可能性のあるお酒には、大きく分けて 「リキュール」 、 「蒸留酒」 、 「酒精強化ワイン」 の3つが含まれます。 そのうち今回は 「リキュール」 を紹介したいと思います。 (関連記事: ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~酒精強化ワイン編~ ) (関連記事: ワインエキスパート2次試験対策で味わった「ワイン以外(その他)のお酒」 ~蒸留酒編~ ) 試験対策で味わったリキュール ※実際は一部、味わえなかったものも含まれます。 「リキュール」の特徴は、 アルコール度が強め であることと、 香りや風味が強め であることです。中にはスーズのようにアルコール度がワイン並み(15%)の例外もあるので注意が必要です。 対策ノートは、整理がしやすいように 「リキュールの色」 x 「アルコールの強さ(高・中・低)」 でまとめました。 「ワイン以外のお酒」の中でもリキュールは、色、アルコール度、主要な香りをしっかり覚えておくと、その知識だけでかなりの確率で正解ができると思います。 琥珀色のリキュール 黄色のリキュール 透明のリキュール その他の色のリキュール まとめたリキュールは28種類にもなりました。そのうち23種類は実際に味わいました。 「リキュール」以外に、「蒸留酒」、「酒精強化ワイン」があることを考えるとかなりの数です。 日本ソムリエ協会の発表によれば、「ワイン以外のお酒」の試験における得点配分は1種わずか3%だそうで

ワインに含まれる「スミレ」の香りとは?

ワインのテイスティングにおいて、「スミレの香り」はよく使われる表現だと思います。 花の香りを持つ赤ワインにはとてもよく使われる表現のようで、JSA試験対策でワインスクールで提供された模範解答を見てみたら、あらゆる種類の赤ワインに用いられていました。 そのためか、私はいままで「スミレ」という表現用語を十分に理解することなく漠然と使ってしまっていました。 そこで、外部サイトなどを参考にして「スミレ」という表現用語がどのような特徴を持ち、どのようなワインに用いられるのかを調べてまとめてみました。 参考にしたサイトは、"Decanter"と"Wine Folly"というウェブサイトです。 ------------------------------------------------------------------------------- スミレ(violet) ・通常、香りの表現用語として用いられるが、風味を表す用語にもなり得る ・麝香のような甘さを示す ・苦みと渋みのある味わい ・α-イオノンとβ-イオノンという2つの化合物に由来する香り/風味 ・ 酸味が強く、タンニンの豊富なフルボディスタイルの赤ワイン にあらわれる香り/風味 ・ 果皮の厚いブドウ (メルロー、トウリガナショナル、プチヴェルド、プチシラー、マルベック、カベルネソーヴィニヨン)や ネッビオーロ種 から造られたワイン、また、 ボルドーブレンド にあらわれる ------------------------------------------------------------------------------- どうやら、タンニンのしっかりしたフルボディの赤ワインで、甘い花の香りをもつものに多く用いられる用語のようです。 ちなみに、スミレの香りや味は海外ではお菓子にも用いられるようで、「Parma Violets」という製品が有名のようです。 また、「アニス ド フラヴィニー バイオレット」というフランスの伝統的なレシピをもとにしたスミレ味のキャンディもあるようです。着色料、甘味料、保存料、人工香料は一切使っていないようなので、天然のスミレの香りや風味がわかるかもしれません。

樽香(たるこう)とは?ワインの樽の香り(バニラ、クローブ、コーヒーなど)を整理してみました

ワインを評価する上で、1つ大きな要素となるのが、樽の利用の有無だと思います。 発酵工程や熟成工程においてオーク樽を利用したワインは、独特の風味を持っていると言われます。 そして、テイスティングにおいてそれらのワインを評価する場合には、それらの風味をしっかりと記述する必要があると思います。 樽をしたワインは、よく、バニラ、クローブ、コーヒー、スモークなどの記述用語で表現されます。 しかし、私はこれまでそれぞれの用語の違いをあまり考えずにこれらの記述用語を使ってきました。 そこで、これらの用語の違いを少し整理してみたいと思います。 参考にした記事は、Decanterの「Festive tasting notes decoded: Christmas spices in your wine?」という記事です。 まず、樽を表す用語として頻繁に用いられるものとして、次のような用語をピックアップしました: ・バニラ(vanilla) ・クローブ(clove) ・ココナッツ(coconut) ・スギ(cedar) ・木炭(charcoal)≒ 焦げた木(charred wood) ・スモーキー(smoky)≒ 燻製(smoke) ・チョコレート(chocolate) ・コーヒー(coffee) そして、それぞれの用語の特徴を参考記事の情報をもとにまとめてみました: ----------------------------------------------------------------- バニラ(vanilla) ・甘いスパイス ・赤ワインや白ワインに含まれる ・特に、若いアメリカンオーク樽での樽熟成中に多く生成される ・バニリン(vanillin)と呼ばれる香り成分に由来する ・リオハの赤ワイン、カリフォルニアとオーストラリアのシャルドネなどに含まれる ・樽のトーストレベルが軽いと表れやすい クローブ(clove) ・オーク樽熟成中に生成される ・オイゲノール(eugenol)と呼ばれる香り成分に由来する ・甘いスパイスに分類される ・ボルドーのクラシックなオーク熟成をした赤ワインやソノマ・ナパヴァレーのボルドーブレンドなどに含まれる ココナッツ(coconut) ・ココナッツミルク/オイル、スナックバーに含まれる乾燥ココナッツなどにも含まれる香りである ・甘い果物やハチ