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7月, 2022の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

新世界のシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリングの違いは? ~温暖地域の白ワイン品種の比較テイスティング~

今回は比較的暖かい地域、特にニューワールドの白ワインの品種についてテイスティングによる品種特徴の確認をしていきたいと思います。 用意した品種は、主要品種である「シャルドネ」、「リースリング」、「ソーヴィニヨン・ブラン」、「シュナン・ブラン」に加えて、「セミヨン」と「トロンテス」も加えてみました。 できるだけ近い地域の方が品種特徴の違いが出るので、ワイン①~③はオーストラリアのもの、ワイン④⑤は南アフリカのものを選びました。 ワイン①:『Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg 2018』(シャルドネ:豪、アデレードヒルズ) ワイン②:『 Tyrrell’s Single Vineyard Stevens Semillon 2014 』 (セミヨン:豪、ハンターヴァレー) ワイン③:『Riesling Annie‘s Lane 2019』 (リースリング:豪、クレアヴァレー) ワイン④:『De Trafford Chenin Blanc De Trafford Wines 2018』(シュナン・ブラン: 南ア、ステレンボッシュ) ワイン⑤:『Newton Johnson Sauvignon Blanc 2020』(ソーヴィニヨン・ブラン:南ア、ウォーカーベイ ) ワイン⑥:『Cuma Organic Torrontes Bodega El Esteco 2020』(トロンテス:チリ、 カファヤテ ) 基本的には下表のような味わいになるはずですが、実際のテイスティングでも違いを確認してみたいと思います。 テイスティング ワイン①:『Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg (2018)』(シャルドネ:豪、アデレードヒルズ) 【6本〜送料無料】[7月8日(金)以降発送予定]ダーレンベルグ ラッキー リザード シャルドネ 2018 750ml [白]Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg 価格:2629円(税込、送料別)   (2022/6/30時点) 楽天で購入 詳しい特徴は以前の記事に書かれていますが、まず特徴的なのはしっかりと乳製品の香りを感じられるところです。 ヨーグルト を連想させるような香りです。 (関連記事: シャルドネの味わいは産地によってどう変わる

シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、ミュスカデの味わいの違いは? ~冷涼地域の白ワイン品種の特徴の比較~

これまで、「リースリング」、「シャルドネ」、「ソーヴィニヨン・ブラン」、「シュナン・ブラン」と、主要な白ワイン品種の産地による違いをまとめてきましたが、今回はまとめとして品種ごとの味わいの違いをまとめてみようと思います。 幅広い産地のワインを集めても品種特徴による違いが分かりにくいので、今回はヨーロッパ、特に冷涼な地域を中心に6種類の品種のワインを集めてみました。 今回のワインは次の通りです: ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee 2018』(シャルドネ)  →  https://amzn.to/4eEnyDK (Amazonのサイトへ) ワイン②:『 Domaines Saint Martin Muscadet Sevre et Maine Sur Lie 2019 』(ミュスカデ) →  https://amzn.to/48ZLAYT   (Amazonのサイトへ) ワイン③:『Pascal Jolivet Attitude Sauvignon Blanc 2020』(ソーヴィニヨン・ブラン)   →  https://amzn.to/4fYR3BD   (Amazonのサイトへ) ワイン④:『Domaine Brunet Vouvray Demi Sec Vieilles Vignes 2014』(シュナン・ブラン)   →  https://amzn.to/3Zd8iti   (Amazonのサイトへ) ワイン⑤:『Riesling Tradition Charles Sparr 2017』(リースリング) →  https://amzn.to/48V44tv   (Amazonのサイトへ) ワイン⑥:『Just B Wines 2017』(アルバリーニョ) →  https://amzn.to/4hYimOc   (Amazonのサイトへ) いままで登場した主要品種に加え、「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)」と「アルバリーニョ」を加えてみました。 それぞれのワインは表でまとめると次のような特徴を持つはずですが、実際にテイスティングをして試してみました。 テイスティング ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee 2018』(シャルドネ) ラ シャブリジェン

シュナン・ブランの味わいは産地によってどう違う? ~産地比較テイスティング~

 リースリング、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランに引き続き、今回はシュナン・ブランのワインです。 (関連記事: リースリングの味わいは産地やタイプでどう違うのか? ~産地やタイプによる特徴の違いのまとめ~ ) (関連記事: シャルドネの味わいは産地によってどう変わるのか? ~産地ごとの特徴の違いのまとめ~ ) (関連記事: ソーヴィニヨン・ブランの味わいは産地によってどうかわるのか? ~産地ごとの特徴の違いのまとめ~ ) まずシュナン・ブランの主な特徴をまとめると次の通りです。 ・主要産地は、ロワール(仏)と南アフリカ。 ・高い酸味を持つノンアロマティック品種。 ・果実の成熟が不均一で、一房のブドウの中でも成熟度合が異なる (ロワールでは... ) ・スパークリングワイン、スティルワイン(辛口、オフドライ、甘口)など様々なスタイルのワインが造られる。 ・多くのワインは、ミディアムボディ、やや残糖あり、高い酸味、オーク熟成なし、緑色系果実から南国系果実の香りや、青い香りを持つ (南アフリカでは... ) ・主に低価格帯の大量生産ワインに使われ、その多くは、ミディアムボディ、辛口~オフドライ、中程度~高い酸味、柑橘系~南国系果実の香りを持つ。 ・ブレンドワインにも使われる ・近年、高価格帯のワインの製造も増えている 主な特徴はこのあたりだと思います。 そして、主要産地のワインの特徴は下の表にまとめてみました。ロワールでは、「ヴーヴレ」、「サヴィニエール」、「コトー・デュ・レイヨン」でそれぞれ特徴的なスタイルのワインが造られています。 シュナン・ブランのテイスティング では、この情報を踏まえて、実際にテイスティングをしてみようと思います。 今回用意をしたワインは次の通り。 ワイン①:『Domaine Brunet Vouvray Demi Sec Vieilles Vignes 2014』(ヴーヴレAOC) ワイン②:『Savennieres Chateau D'epire 2005』(サヴニエールAOC) ワイン③:『De Trafford Chenin Blanc De Trafford Wines 2018』(南アのプレミアムCB) ワイン④:『Libertas Chenin Blanc Distell 2019』(南アのテーブルワインCB) ワイン①:『

一年間の保存状態の違いで実感。ワインの保存容器にペットボトルは避けるべき!

 先日、ワインの保存方法について気が付いたことがありました。 それは、ワインの保存に 「ガラス瓶」 と 「ペットボトル」 を使った場合の違いです。 私はテイスティング用のワインを購入した場合、今後同じワインで練習ができるように、一部を別容器に移し替えて保存をしています。 多くの場合、保存用には 「ガラス瓶」 を用いているのですが、ガラス瓶が足りなくなってしまった場合には、仕方が無く 「ペットボトル」 を使うこともあります。 それぞれ図のように空気を極力抜いてキャップを使って密閉してあります。 両者ともに密閉ができているし問題がないだろうと思っていましたが、先日、同じ時期に 「ガラス瓶」 と 「ペットボトル」 に詰めたワインを開封してその違いに驚きました。 詰めていたのはニュージーランドの若いシャルドネワインでしたが、約1年の保存を経て、上図のように外観に大きな違いが現れていました。 「ペットボトル」 のワインは、開封後の緑がかったレモン色から、やや濃いめのゴールドになってしまっていました!かなり酸化が進んでしまっているようです。 「ガラス瓶」 のワインもやや色が濃くなって、完全なレモン色になっていますが、 「ペットボトル」 のワインに比べると、ずっと酸化が抑えられていることが分かります。 いままでは、なんとなくガラス瓶を使っていましたが、 今回の経験で、これほど大きな差が出てしまうということが実感できました。 最近はプラスチック容器で販売されるワインも増えてきましたが、早飲み用のワインにしか使われない理由がなんとなく分かりました。 やはり、ワインの保存には 「ガラス瓶」 が一番のようです。

ソーヴィニヨン・ブランの味わいは産地によってどうかわるのか(産地比較)? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~

 リースリング、シャルドネに引き続き、今回はソーヴィニヨン・ブランワインの産地による味わいの違いを調べてみようと思います。 (関連記事: リースリングの味わいは産地やタイプでどう違うのか? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~ ) (関連記事: シャルドネの味わいは産地によってどう変わるのか? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~ ) まず、ソーヴィニヨン・ブランワインの一般的な特徴は次の通りだと思います: ・アロマティック品種 ・緑系果実と野菜の強い香り ・酸味が高い ・辛口のミディアムボディが多い ・フレッシュさを押し出すことが多いため、樽香を持つものは少ない ・温暖な地域では樽香を持つものも造られる ・酸味が高いため、甘口ワインとの相性が良い この辺りだと思います。 そして、産地ごとのワインの特徴をまとめてみると、独断と偏見も含めて下の表のようになると思います。 ソーヴィニヨン・ブランのテイスティング では、この情報を踏まえて、実際にテイスティングをしてみようと思います。 用意をしたワインは次の通りです: ワイン①:『Pascal Jolivet Attitude Sauvignon Blanc (2020)』(ロワール IGP) ワイン②:『Pouilly Fume Cuvee De Boisfleury Cailbourdin (2013)』(プイィ・フュメの古いヴィンテージ) ワイン③:『MOUTON CADET BLANC (2021)』(ボルドーAOCのSB) ワイン④:『Le Chenes de Bouscaut Blanc (2015)』(ぺサック・レオニャンのSB) ワイン⑤:『POUNAMU Sauvignon Blanc (2019)』(ニュージーランドSB) ワイン⑥:『Newton Johnson Sauvignon Blanc (2020)』(樽香ありの南アSB) オールドワールドとニューワールド、樽熟成なしと樽熟成ありをバランスよく、メジャーな地域から集めてみました。 ニュージーランドのソーヴィニヨンブランは樽熟成を経たものもありますが、代表的なものは樽香のないフレッシュなワインなので、そのようなタイプを選びました。 また、南アフリカのソーヴィニヨンブランは、樽香のないフレッシュなものと、樽香のあるものがありますが、