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10月, 2019の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

やって分かったJSAワインエキスパートとWSET Level3の違い

「 JSAソムリエ・ワインエキスパート 」と「 WSET Level 3 in wines 」は運営する団体は異なりますが、よく同等程度のレベルの試験として比較をされます。 前者は日本ソムリエ協会が運営する日本でもっとも有名なワイン資格です。日本でソムリエとして活動している方の多くが取得している資格です。 一方で、後者は、ロンドンに本拠地を置く世界最大のワイン教育機関と言われるWSETが運営する資格です。日本での知名度はそこまで高くありませんが、欧米に行くとJSA資格よりも名前が認知されています。 運営団体や、普及範囲に関する違いがありますが、実は「学習内容」にも大きな違いがあります。 両者を実際に受講・受験してみて、学習する内容について分かった違いを説明したいと思います。 ◆ JSA(ワインエキスパート/ソムリエ)の特徴 --------------------------------------------- ①とにかくカバーされているワイン産地や国の幅が広い ②ワイン以外のお酒(日本酒、蒸留酒、リキュールなど)もカバーされている ③世界各国のワイン名/産地とその生産可能色と品種を覚えなければならない ④ワインやブドウにまつわる各地域の統計情報も覚えなければならない ⑤ヨーロッパ各地の料理やチーズも覚えなければならない ⑥日本ワインや、日本のワインにまつわる法律もカバーされている ⑦ブドウ栽培やワイン醸造はあまり深くカバーされていない ⑧テイスティングは品種、産地、ヴィンテージをあてなければならない ⑨テイスティングで出題されるワインは全て2000-3000円程度のワイン ⑩テイスティングには、ワイン以外のお酒も含まれる ⑪試験形式は全て選択問題かマークシート JSAソムリエ・ワインエキスパートの資格の特徴は... ワインやお酒全般に関係ある知識をひたすら覚えること! ◆ WSET(Level3)の特徴 --------------------------------------------- ①カバーされているワイン産地や国は主要なもののみ ②ワイン以外のお酒はカバーされていない ③主要なワインを除いて、生産可能色や細かい品種は覚えなくても良い ④覚える統計情報はほとんどない

WSET Level3の問題構成と記述式(筆記)試験対策

WSET Level3のテスト対策は大雑把に次の3点です。 ①テイスティング、  ②選択式(マーク式)問題、  ③記述式問題 テイスティング は普段の講義に出席をして、しっかり内容を理解できれば特に問題とはならないと思います。ポイントはシンプルでフルーティーなinexpensiveワインと、発展中で複雑なpremiumワインを見分けることです。心配であれば、スクールが試験直前に用意をする対策講座を受講すれば十分だと思います。 (参考記事: WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策 ) 選択(マーク式)問題 はテキストをしっかり読み込めば合格ラインの55%は容易にとれます。形式はJSAソムリエ/ワインエキスパートの1次試験に似ていますが、ずっと簡単なレベルです。 (参考記事: WSETレベル3の多肢選択問題(四択問題)対策 ) そして最難関と言われるのが ③記述式(筆記)問題 です。WSETレベル3で不合格となる最も多い理由が、ここで合格点を取れないことだと言われています。(合格点は55%の正解) 【記述式問題の構成】 記述式問題は 大問4問(質問番号1~4) が用意されています。そして各大問には、小問が4~5問程度用意されています。実際に回答を書きこんでいくのは、この小問に対してです。 大問と小問のレベルをあげると、例えば 大問は「ドイツワインについて」 であり、 小問は「モーゼルの気候がワイン栽培に与える課題を説明しなさい」 などです。 大問4問(質問番号1~4)は事前に出題範囲が定められており、WSET レベル3のspecification(規定)によれば次のように書かれています。 ここで 「学習要項」 という言葉が出てきますが、これはWSET L3の講義を通して受講生が学ぶべき内容のことです。学習要項は1~5まで番号が振られていますが、これは1~4の質問番号とは別物です。 学習要項1~5は次のように定義されています。各学習要領はさらに細分化されて1~4つ程度の「範囲」によって定義されています。 ------------------------------------ 学習要項1: 世界の非発泡性ワインの生産に関わるブドウ畑とワイナリーにおける主な自然の要因ならびに人的要因を明確にして、そうした要因がワインのスタイル、品質、価

WSET レベル3を学んで知った『ワインの品質評価』

今回の記事は以前に書いた「 WSET Level3のテイスティング 」と、 少し重複する内容かもしれません。 私はJSAワインエキスパートの試験は既に合格をしていましたが、 WSETのクラスを受講するまで、 どのようなワインが良いワインなのか? という最もシンプルで、もっとも重要な質問に答えることができませんでした。 というのも、ワインエキスパートの試験対策として学んできたワインは、 どれも 2000-3000円程度 のワインで、品質に大きな違いがないためでした。 これは例年、ワインエキスパートで出題されるワインが、 全てこの程度の価格であるためです。 JSAワインエキスパートのテイスティング試験 では、 ワインの品質を評価することよりも、 同程度の価格のワインの中で、 ワインの特徴を言語化したり、 ワインの品種、産地、ヴィンテージを当てること により重きを置いている印象でした。 一方で、WSET L3は違いました。 1000円を割るようなワインも、1万円を超えるようなワインも、 どちらも本番の試験に出題される可能性があるために、 普段の授業から、かなり品質に幅のあるワインのテイスティングが行われました。 WSET L3 では、 そのワインがどのような特徴のワインで、結論として、 ・どの程度のクオリティのワインなのか? ・さらに熟成をさせる価値のあるワインなのか? という問いに答えることが求められます。 例外もありますが、良いワインは一般に、 ・ワインの熟成段階が発達中で、 ・香りや風味が複雑で強く、 ・後味の長いワイン であることを学びました。 WSET L3を受講したことで、これらの特徴を嗅覚や味覚でとらえることができるようになりました。

WSET Level3に必要な英語力:テスト編

以前に「 英語クラスについていくための英語力 」で クラスについていくための英語力を記事にあげましたが、 テストに受かるにもそれなりの英語力が必要です。 「 WSET Level3 の試験構成 」で紹介をしたように、 試験は”ユニット 1:理論試験”と、 ”ユニット 2:テースティング試験”の2つのユニットから構成されます。 ユニット2は、時間もたっぷりあり、記述する内容も定型文なので、 中学レベルの英語でも十分かもしれません。 より高い英語力が必要となるのは、ユニット1です。 ユニット1は合計2時間で、4択問題(50問)と記述式問題(4問)から 構成されています。 時間の目安はだいたい、 ・選択式(マーク式)問題(50問-各1点)… 20分~25分 ・記述式問題(4問-各25点)… 95分~100分(1問当たり25分) と言われています。 まずは、選択式問題50問を20分~25分で回答できるような英語力、 つまり1問あたり2分で読み終えて回答を導くような読解力が必要となります。 そんなに長文の問題はないので、WSETの英語テキストがさらさら読めれば 問題ないと思います。 そして、記述式問題は与えられた質問に対して、 詳しく英文で説明をしなければならないので、英作文能力が必要です。 例えば、「アルザスの自然環境の特徴は?また、それがワインのスタイルに与える影響は?」などの質問が与えられます。 (※ちなみにこのような質問は4つの大問の中の小問の1つに過ぎません) 日本語で受験をしても時間が足りないと言われるので、 日本語の文章を書く8割くらいのスピードで書けなければ 完答は難しいのではないかと思います。