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12月, 2020の投稿を表示しています

最新記事

ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

ポート(ワイン)の主要なブドウ5品種と私的暗記法

「ポート(ワイン)」と言えば、世界3大酒精強化ワインの1つでポルトガルで製造されています。 ポートに使うことのできるブドウ品種はなんと、100種類以上もあるようです。 しかし、高級なポートの生産で好まれるブドウ品種は主に次のような5品種なのだとか。 トウリガ・フランカ(Touriga Franca) ティンタ・ロリス(Tinta Roritz) ティンタ・バロッカ(Tinta Barocca) トウリガ・ナショナル(Touriga Nacional) ティント・カォン(Tinto Cão) 試験対策などの場合には、この5品種を覚えておけば何とかなりそうです。 そこで私的なポート5品種の暗記方法です。 -------------------------------------------------------------------------- 通りがフランス国民*( トウリガ・フランカ、トウリガ・ナショナル) ちゃんと顔見たら (ティント・カォン) ティーンやロリばっか (ティンタ・ロリス、ティンタ・バロッカ) *国民 = national --------------------------------------------------------------------------

スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新)【語呂合わせ】

 以前に「 EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方(語呂合わせなど) 」という記事の中でスパークリング・ワインの残糖量表示の覚え方を書きましたが、少し説明が複雑だったと思い返しました。 そのせいか、自分でもちゃんと覚えきれておらず、それぞれの細かい数字を少し忘れてしまっていることに気が付きました。 そこで改めてのスパークリング・ワインの残糖量の暗記法を、備忘用として記事にします。 まずは、 もっとも手っ取り早いと思うのが、 「Brut」、「Sec (Dry)」、「Doux」の3つを覚えてしまうこと だと思います。 この3つさえ忘れることが無ければ、あとは穴埋めのような形で自然に思い出すことができると思います。 例えば、「Extra-Sec(Dry)」は「Brut (0-12)」と「Sec (17-32)」の間なので、自然に「12-17」という数字が出てくると思います。 「Demi-Sec」も同様に、「Sec (17-32)」と「Doux (50~)」の間なので、「32-50」ということがわかると思います。 「Brut Nature」と「Extra Brut」は少し工夫が必要ですが、「Brut」の半分、4分の1と覚えるとそんなに難しくはないと思います。ポイントは、「Brut」、「Brut Nature」、「Extra Brut」のいずれとも、「0~」という部分です。 次に、 「Brut」、「Sec (Dry)」、「Doux」 の3つをどのように覚えるかです。 ここはいろいろな暗記方法があると思いますが、私は次のような語呂合わせで覚えようと思います。 -------------------------------------------- ブリッコ、人に(12) セクシーな17歳の(17)ミニ(32)見せて 「どう?」困る(50) -------------------------------------------- ちなみに、 このうちテイスティングにおいて「Brut」は再頻出なため、最重要だと思います。 ですので、さまざまなスパークリング・ワインのテイスティングを行っていると、「Brut = 0-12 g/L」というのは語呂合わせを頼らずとも自然に覚えられてしまうかもしれません。

chlorosis(白化、黄白化、クロロシス)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

  「chlorosis = 白化/クロロシス」 白化/クロロシスとは、植物の葉中の葉緑体(クロロフィル)濃度が不足している状態のことです。 葉緑体(クロロフィル)が不足しているために、葉は黄色くなり、光合成は止まり、ブドウの実の成熟や収穫に悪影響が及びます。 石灰岩土壌など、炭酸カルシウムの含有量が多くpHが高い土壌では、植物が土壌から十分な鉄を吸収できず、葉緑体(クロロフィル)の欠乏が起きるようです。 ちなみに、 「葉緑体(クロロフィル) = chlorophyll」 です。 つまり、 「chlorophyll」 の欠乏で、 「chlorosis」 が起きるわけです。少しややこしいですが、セットにすると反対に覚えやすいかもしれません。 白化/クロロシスの対策としては、一般に高いpHの土壌に強い品種の 台木(rootstock) が使われるようです。 ヴィティス・ベルランディエリ(vitis berlandieri) を親に持つ 41B などの台木が適しているようです。

味わいの違いに驚き!ヴィンテージ・シャンパーニュとNVシャンパーニュ

 シャンパーニュ(シャンパン)をすごく大雑把に分けると、ヴィンテージ・シャンパーニュとノンヴィンテージ(NV)・シャンパーニュの2種類に分けることができると思います。 そして、この2つのシャンパーニュには次のような違いがあることはよく知られています。 ヴィンテージ・シャンパーニュ ・同一収獲年のブドウのみから造られる ・ブドウの品質が良い年のみ造られる ・澱との最低熟成期間がNVよりも長い(3年以上) ノンヴィンテージ・シャンパーニュ ・複数収穫念のブドウから造られる(リザーブワインを使用) ・基本的に毎年造られる ・澱との最低熟成期間が短い(15か月) このような違いから、私はこの2つのワインの違いは、「ヴィンテージの方がちょっとだけ果実味と澱の香りが強い」くらいだと思っていました。 正直、ヴィンテージもNVもそれほど大きな違いはないと思っていました。 しかし...、最近機会があって、初めてヴィンテージ・シャンパーニュとNVシャンパーニュを飲み比べてみましたが、その違いの大きさにとても驚きました! 比べたワインは、「 ルイ・ロデレール・ブリュット・プルミエ NV (写真左)」と「ジ・ド・テルモン グラン・ヴィンテージ ブリュット 2006(写真右)」です。 まずは色。NVはレモン色であるのに対して、ヴィンテージの色はゴールドです。 そして、香りや風味。NVは新鮮なフルーツとイーストの香りであるのに対して、ヴィンテージには、フルーツ、熟成香(カラメル、ハチミツ、アーモンド)、イースト(トースト香り)など複雑な香りが含まれます。 ラベルを見ずに味わったなら、きっと両者が同じシャンパーニュであることはわからなかったと思うくらい、特徴の異なるワインでした。 このような違いが生まれる理由はどうやら、 「瓶熟成のポテンシャル」 の違いにあるようです。 NVは一般的に瓶詰め後直ぐが飲み頃として造られている一方で、ヴィンテージは瓶詰め後に瓶熟成を経ることで品質があがるように造られているそうなのです。 そのため、2006年のヴィンテージは瓶熟成によって第3のアロマ(熟成香)が強く表れ、味わいに大きな違いがでたのだと思われます。色が濃いのも、この長期の瓶熟成がその理由だと思われます。 NVとヴィンテージの比較は、その特徴の違いがはっきりと現れるのでぜひおすすめです。 今回は異なる作り

メンドーサ州(アルゼンチン)の5つのワイン地域と地図

アルゼンチンの有名なワイン生産地と言えば、メンドーサ州です。 メンドーサ州にはアルゼンチンの様々なワイン醸造所が集中し、国内のワイン生産量の大半を占めているそうです。 アルゼンチンワインを学ぶ上でメンドーサ州は必ず通ることになると思うのですが、私がここを学ぶうえで困ったことは、良い地図がなかなか見つからないことでした。 JSA教本でも、WSETのテキストでもあまりよい地図が見つかりませんでした。 そこで、私は独自で下のような地図を作成しました。 メンドーサ州には、 北部、東部、中央部、ウコヴァレー、南部 の5つの生産地域があります。 そのうち4地域はメンドーサ(都市)付近に広がり、南部のみサンラファエル付近に広がっています。 DOC認定地域である「 ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo) 」と「 サン・ラファエル(San Rafael) 」も、メンドーサ州に含まれます。 ワイン生産地域の暗記は字面だけを追っているとなかなか頭に入ってこないのですが、このような地図を作っていると自然と記憶が頭の中に定着してくれます。