アメリカやカナダ東岸の主要ワイン産地の多くは、大きな川の流域に位置しています。
川の流れを調べてみれば、ワイン産地の位置関係の把握に役立つのではないかと、コロンビア川を中心に、それらを地図上にまとめてみました。
対象とした地域は北から、ブリティッシュ・コロンビア州(カナダ)、ワシントン州(アメリカ)、オレゴン(アメリカ)です。
ここで注意すべきはワシントン州とオレゴン州の位置関係です。個人的には時々、上下関係がわからなくなってしまいます。しかし、「俺の上に鷲がいる」と覚えると、この上下関係を間違えることはありません。(参考記事:アメリカ西海岸ワイン産地(州)の位置関係に関する私的暗記法(ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州))
コロンビア・ヴァレー(ワシントン州)
まず、これらの地域で最も重要だと思われるのが、すべての州を流れている「コロンビア川」です。コロンビア川は、カナダを起源として南下をしてワシントン州に入り、ワシントン州とオレゴン州の州境を通って、太平洋まで流れています。
このコロンビア川が造る最大のワイン産地は、「コロンビア・ヴァレー」であり、これはコロンビア川の主な流域であるワシントン州に広がっています。そして、コロンビア・ヴァレーの一部はオレゴン州北部にも広がっています。
コロンビア・ヴァレーは、コロンビア・ゴージとワラワラ・ヴァレーとともに、ワシントン州とオレゴン州にまたがるワイン産地(AVA)としても有名です。
ウィラメット・ヴァレー(オレゴン州)
コロンビア川はワシントン州とオレゴン川の州境となって太平洋まで流れ込みますが、その直前でコロンビア川と合流するのは「ウィラメット川」です。
ウィラメット川が作り出すワイン産地は、「ウィラメット・ヴァレー」と呼ばれ、これはオレゴン州最大のワイン産地です。ウィラメット・ヴァレーには、オレゴン州全体のの70%近いブドウ畑があると言われています。
サザン・オレゴン(オレゴン州)
ウィラメット・ヴァレーに続く、オレゴン州第2のワイン産地は「サザン・オレゴン」です。ここには、「アンプクア川」と「ローグ川」が流れており、それぞれの流域には「アンプクア・ヴァレー」と「ローグ・ヴァレー」という名のワイン産地が広がっています。
アンプクア・ヴァレーとローグ・ヴァレーは、サザン・オレゴンに包含されるワイン産地(AVA)です。
ブリティッシュ・コロンビア州(カナダ)のワイン産地
ブリティッシュ・コロンビア州にはコロンビア川の源流があります。州の名前も、このコロンビア川にあると言われています。しかし、ここではコロンビア川流域のワイン産地はありません。
ブリティッシュ・コロンビア州の内陸部には「オカナガン川」と「シミルカミーン川」が流れており、これらの流域にはそれぞれ「オカナガン・ヴァレー」と「シミルカミーン・ヴァレー」という名のワイン産地があります。オカナガン川と、シミルカミーン川は、ワシントン州でコロンビア川に合流しています。
また、沿岸部には「フレーザー川」が流れており、この流域には「フレーザー・ヴァレー」という名のワイン産地があります。
このように、アメリカ・カナダ東岸では、河川の名前や位置を覚えておくと、ワイン産地も自動的に覚えやすくなるのではないかと思います。
<了>