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7月, 2023の投稿を表示しています

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リースリングの味わいは産地によってどう変わるのか?ドイツ、フランス、オーストラリア産のワインを比較・考察

 今回は、リースリングワインの産地による味わいの違いを考察してみようと思います。 リースリングの有名産地を3か国あげるとしたら、次の3つがあがると思います。 ①ドイツ ②フランス(特に、アルザス) ③オーストラリア(特に、イーデンヴァレー、クレアヴァレー) ドイツ リースリングは、ワイン用ブドウとしてドイツで最も栽培面積の多い品種です。 ドイツ国内のリースリングの産地としては、モーゼルやラインガウなどいくつかがありますが、ワインのスタイルの違いは、産地による影響よりも、ワインのカテゴリ(品質分類)の違いによって大きくあらわれるようです。 スタイルの異なるワインのカテゴリとしては、辛口ワインが多く造られる「 クヴァリテーツヴァイン(Quälitatswein) 」と、多くの甘口ワインが造られる「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」との2つがあげられます。 クヴァリテーツヴァイン は最も生産量の多いワインであり、その多くは、辛口で、ライトボディ、かつ、フルーティーな早飲みワインです。ドイツのワイン産地は、世界のワイン産地の北限に位置しており、ブドウの成熟度はそれほど高くならないために、このようなスタイルになるのだと考えられます。 より成熟度の高いブドウから造られる一部の最高品質の辛口ワインもこのクヴァリテーツヴァインに含まれていますが、その数はそれほど多くありません。そのため、 クヴァリテーツヴァイン は主に次のような特徴をもっていると考察されます: クヴァリテーツヴァインの特徴 【外観】 ・淡いレモン色 【香り】 ・弱い~中程度の香りの強さ ・フルーティーでフレッシュな香り ・ 緑色系果実(青リンゴなど)~柑橘類(レモン、ライムなど) ・白い花の香り 【風味】 ・辛口~オフドライ ・高い酸味 ・低~中程度のアルコール度 ・ライトボディ 【品質・価格】 ・良いワイン ・低価格~中程度の価格帯 ちなみに、先ほど言及したGG(Grosses Gewächs)などの最高品質の辛口ワインの場合には、ブドウの成熟度が高まるために、香りの強さが高くなり、香りには有核果実やトロピカルフルーツの香りが現れ、ボディも中程度以上になることが予測されます。それでも、冷涼地域のワインの特徴である香りの繊細さやボディの軽さ、酸味の高さはしっかりと感じられる...

ブルゴーニュのワインがなぜ高い評価を得ているのか?を考察

 世界で最も評価の高いワイン産地として真っ先に名前があがるのは「ブルゴーニュ」なのではないかと思います。 しかし、「なぜ、ブルゴーニュの評価が高いのか?」と聞かれると、「有名だから」、「値段が高いから」、「歴史があるから」くらいしか答えが出てきません。 これくらいの回答しかできないのは、せっかくワインの勉強をしているのにさみしい気がします。 そこで、なぜブルゴーニュのワインが高い評価を得ているのかについて、個人的に分析をしてみることにしました。 まず、最初に、できるだけ漏れなく、重複なくその理由をあげることができるように、フレームワークを使って考えてみようと思います。 <歴史・伝統> まず、「歴史・伝統」に関しては、長いワイン造りの歴史があること、ブルゴーニュのワインが世界中の手本にされていることが大きな理由なのではないかと思います。 ブルゴーニュのブドウ栽培の歴史は非常に古く、古代ローマ時代から始まり、紀元前1000年くらいには、ブドウ畑はクリマと呼ばれる個別の区画に分けられていたと言われています。また、ブルゴーニュワインについての記録は、591年のものが残っているようです。 また、長いワイン造りの歴史と相まって、ブルゴーニュのワイン、特にピノノワールとシャルドネの単一品種ワインは、世界中の生産者からお手本とされています。 <ブドウ栽培> ブドウ栽培については、高級品種であるピノノワール(赤)とシャルドネ(白)に適した栽培環境があること、供給量が少なくその分人気や価格が高いことが理由に挙げられるのではないかと思います。 ブルゴーニュは冷涼~温和な大陸性気候です。この気候の特徴は夏が短く、早熟品種であるピノノワールやシャルドネの栽培に適していると言われています。また、南北に連なる丘陵地帯であるコート・ドールを中心に、南向きや南東向きの斜面が多く、このような場所にある畑ではブドウが熟成に必要な日照量が十分に得られます。土壌は石灰石を含む土壌で、特に斜面の畑では水はけがよく、樹勢が制限され、果実味の豊富なブドウが収穫されます。 このような栽培環境に恵まれているおかげで、ワイン用ブドウ品種の中では評価の高い品種であるピノノワールやシャルドネを高い品質で栽培できるのだと思います。 また、ブルゴーニュは、北はディジョンから南はマコンまでの約130kmを南北に走る比較的...