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7月, 2023の投稿を表示しています

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ドイツワインの品質分類のピラミッドで誤解していたこと

 ドイツワインは、ワイン法によって大きく 4つ に分けられています。 原産地名称保護のある「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」、地理的表示保護のある「 ラントヴァイン(Landwein) 」、そして、地理的表示のない「 ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein) 」の4つです。 図で表すと次のようなピラミッドで表されます。ドイツワインを学ぶ場合、これはおなじみのチャートです。 これは基本的には、 品質分類の順位 を表したものだと思います。つまり、そのワインの 生産における制約の厳しさ を、上から順に並べたものだと思います。 例えば、最上位のプレディカーツヴァインの製造には、ブドウの栽培地、収穫方法、ブドウ中の最低糖度、ラベル表示などに厳しいルールが設けられています。しかし一方で、最下位のドイッチャー・ヴァインにおいてはドイツ国内であれば特にブドウ栽培地の制約はなく、その他についてもそれほど厳しい制約はありません。 そして、このような特徴を持つ品質分類のピラミッドにおいて、私は長らく勘違いをしていました。 それは、 「基準が厳しい=生産量が少ない」という思い込み です。そのため、生産量は階層が下のものの方が多く、上位になるにつれて減っていくと思っていました。 ちょうどピラミッドのチャートが表すように、下位の ドイッチャー・ヴァインやラントヴァインがドイツワインの生産量を下支えしている のだと思い込んでいました。 しかし、実際の生産量は、その思い込みと異なりました。 生産量を考慮すると、ピラミッドは概ね次のような形となります。 ドイツワインの生産量を下支えしていると思われていた「 ドイッチャー・ヴァイン 」と「 ラントヴァイン 」を合わせた生産量は実は全体の4%ほどしかないそうです。 そして、残りの生産の2/3ほどを「 クヴァリテーツヴァイン 」が占めており、残りの1/3ほどが「 プレディカーツヴァイン 」です。 実は、日常的にもっとも多く飲用されているワインは、このチャートが表すように「 クヴァリテーツヴァイン 」なのだとか。 今回の件は、チャートによる視覚的効果によって、事実を誤認してしまう典型的な例の1つだと思いました。 このような品質基準のピラミッドチャート...

ブルゴーニュのワインがなぜ高い評価を得ているのか?を考察

 世界で最も評価の高いワイン産地として真っ先に名前があがるのは「ブルゴーニュ」なのではないかと思います。 しかし、「なぜ、ブルゴーニュの評価が高いのか?」と聞かれると、「有名だから」、「値段が高いから」、「歴史があるから」くらいしか答えが出てきません。 これくらいの回答しかできないのは、せっかくワインの勉強をしているのにさみしい気がします。 そこで、なぜブルゴーニュのワインが高い評価を得ているのかについて、個人的に分析をしてみることにしました。 まず、最初に、できるだけ漏れなく、重複なくその理由をあげることができるように、フレームワークを使って考えてみようと思います。 <歴史・伝統> まず、「歴史・伝統」に関しては、長いワイン造りの歴史があること、ブルゴーニュのワインが世界中の手本にされていることが大きな理由なのではないかと思います。 ブルゴーニュのブドウ栽培の歴史は非常に古く、古代ローマ時代から始まり、紀元前1000年くらいには、ブドウ畑はクリマと呼ばれる個別の区画に分けられていたと言われています。また、ブルゴーニュワインについての記録は、591年のものが残っているようです。 また、長いワイン造りの歴史と相まって、ブルゴーニュのワイン、特にピノノワールとシャルドネの単一品種ワインは、世界中の生産者からお手本とされています。 <ブドウ栽培> ブドウ栽培については、高級品種であるピノノワール(赤)とシャルドネ(白)に適した栽培環境があること、供給量が少なくその分人気や価格が高いことが理由に挙げられるのではないかと思います。 ブルゴーニュは冷涼~温和な大陸性気候です。この気候の特徴は夏が短く、早熟品種であるピノノワールやシャルドネの栽培に適していると言われています。また、南北に連なる丘陵地帯であるコート・ドールを中心に、南向きや南東向きの斜面が多く、このような場所にある畑ではブドウが熟成に必要な日照量が十分に得られます。土壌は石灰石を含む土壌で、特に斜面の畑では水はけがよく、樹勢が制限され、果実味の豊富なブドウが収穫されます。 このような栽培環境に恵まれているおかげで、ワイン用ブドウ品種の中では評価の高い品種であるピノノワールやシャルドネを高い品質で栽培できるのだと思います。 また、ブルゴーニュは、北はディジョンから南はマコンまでの約130kmを南北に走る比較的...