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9月, 2021の投稿を表示しています

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リースリングの味わいは産地によってどう変わるのか?ドイツ、フランス、オーストラリア産のワインを比較・考察

 今回は、リースリングワインの産地による味わいの違いを考察してみようと思います。 リースリングの有名産地を3か国あげるとしたら、次の3つがあがると思います。 ①ドイツ ②フランス(特に、アルザス) ③オーストラリア(特に、イーデンヴァレー、クレアヴァレー) ドイツ リースリングは、ワイン用ブドウとしてドイツで最も栽培面積の多い品種です。 ドイツ国内のリースリングの産地としては、モーゼルやラインガウなどいくつかがありますが、ワインのスタイルの違いは、産地による影響よりも、ワインのカテゴリ(品質分類)の違いによって大きくあらわれるようです。 スタイルの異なるワインのカテゴリとしては、辛口ワインが多く造られる「 クヴァリテーツヴァイン(Quälitatswein) 」と、多くの甘口ワインが造られる「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」との2つがあげられます。 クヴァリテーツヴァイン は最も生産量の多いワインであり、その多くは、辛口で、ライトボディ、かつ、フルーティーな早飲みワインです。ドイツのワイン産地は、世界のワイン産地の北限に位置しており、ブドウの成熟度はそれほど高くならないために、このようなスタイルになるのだと考えられます。 より成熟度の高いブドウから造られる一部の最高品質の辛口ワインもこのクヴァリテーツヴァインに含まれていますが、その数はそれほど多くありません。そのため、 クヴァリテーツヴァイン は主に次のような特徴をもっていると考察されます: クヴァリテーツヴァインの特徴 【外観】 ・淡いレモン色 【香り】 ・弱い~中程度の香りの強さ ・フルーティーでフレッシュな香り ・ 緑色系果実(青リンゴなど)~柑橘類(レモン、ライムなど) ・白い花の香り 【風味】 ・辛口~オフドライ ・高い酸味 ・低~中程度のアルコール度 ・ライトボディ 【品質・価格】 ・良いワイン ・低価格~中程度の価格帯 ちなみに、先ほど言及したGG(Grosses Gewächs)などの最高品質の辛口ワインの場合には、ブドウの成熟度が高まるために、香りの強さが高くなり、香りには有核果実やトロピカルフルーツの香りが現れ、ボディも中程度以上になることが予測されます。それでも、冷涼地域のワインの特徴である香りの繊細さやボディの軽さ、酸味の高さはしっかりと感じられる...

ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)のシュール・リーを捉えるためのテイスティング練習

今回は、シュール・リー工程を経て作られたミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の特徴を捉えるためのテイスティング練習をしてみました。 シュール・リー(sur lie)とは、ワイン発酵後に粗い澱を取り除いた後に、しばらくの間、細かい澱とともにワインを熟成させる工程のことです。 この工程を経ることで、ワインにボディが加えられたり、口当たりがまろやかになるというメリットがあるようです。   ミュスカデは、もともと、酸度が高く、軽いボディのワインを造るという特徴をもっていますが、シュール・リーを経ることで、ワインに厚みやまろやかさを加えて、より品質の高いワインにしているのだと、個人的には理解しています。 またシュール・リーを経ることで、ワインには澱(主に酵母)に由来する独特な香りが加えられると言われています。それは、ヨーグルト、パン生地、ビスケット、トーストの香りと言われています。 これは、シャンパーニュなどの瓶内二次発酵のスパークリングワインでも顕著に感じられる香りです。しかし、シャンパーニュなどの多くの瓶内二次発酵スパークリングワインに比べて、ミュスカデワインの澱との接触期間は比較的短いために、その香りはあまり強くは感じられないようです。(ロワールのミュスカデAOCでは、ワインは収穫の翌年の、3月1日から11月30日までに瓶詰することになっているので、澱との接触は最長でも1年程度のようです) lees の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語 このようなテイスティング理論を踏まえて、今回は、ミュスカデAOCのワインと、ドライイーストの入ったグラスを並べて、本当に酵母の香りが感じられるのかを試してみました。(上の写真の左と真ん中) (左:ドメーヌ ウ゛ィネ ミュスカデ セーウ゛ル エ メーヌ シュル リー ドメーヌ サン マルタン 375ml) また、ベンチマーク用のワインとして、低価格なシャルドネワインも並べてみました。本当は低価格なシャブリあたりを用意したかったのですが、今回は自宅にたまたまあったオーストラリアの低価格シャルドネで代用をしました。(最も右のグラス) <テイスティングの結果> テイスティングの印象は、次の通りです: ・弱い~やや弱い香り ・香りの種類は、緑系果実(青りんごなど)、草の香り、かすかに酵母の香り(パン生地) ・やや高い~高い酸味 ・ライ...