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11月, 2022の投稿を表示しています

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ワインから感じられる「スギ」の香りとは?(考察)

 ワインの香りを表現する際に、しばしば 「スギ」 という言葉が登場します。 この「スギ」という言葉は、おそらく英語の「Cedar」に由来しており、Cedarは正確には日本のスギと異なるセイヨウスギを意味します。 厳密には、日本のスギは、マツ綱のヒノキ科スギ属で日本固有種であり、Cedar は、マツ目マツ科のヒマラヤスギ属です。 香りとしては、スギもCedar(ヒマラヤスギ)も一般に、 森林浴を思わせる爽やかさや清涼感を香り を持つと言われています。基本的には、 「スギ」 も 「Cedar」 を似たような香りを持っているようです。 さて、ワインにおいて 「Cedar」 という言葉が使われる場合、多くの場合、これは 樽熟成を経た赤ワイン に対して使われます。「Oak」という表現に類似しており、 ワインが持つ木の香り を表す言葉として使われます。(※樽熟成の代わりにオークチップを使った場合でも感じられるようですが、その香りは弱くなるようです) そのため、香りのタイプとしては通常、 第2の香り(ワイン醸造に関係する香り) に分類されています。 また、ブドウ品種としては 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 によく使われる言葉としても知られています。 カベルネ・ソーヴィニヨンは、製造工程において、比較的、 長期の樽熟成を伴う ことの多いブドウ品種です。そのため、ワインはオーク樽由来の木の香りを帯びることが多く、このような表現と相性が良いのだと思います。 また、カベルネ・ソーヴィニヨンは品種由来の香りとして、 「メンソール」 や 「ハーブ」 のような 青さや清涼感のある香り を持つことで知られています。これが樽熟成に由来する木の香りと相まって、森林浴を思わせる爽やかさや清涼感をもつ 「Cedar」 や 「スギ」 という表現用語で表されるのだと思います。 時々、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種特徴として「スギの香り」と書かれていることがありますが、樽熟成を伴わないカベルネ・ソーヴィニヨンからはもしかしたらスギの香りは感じられないかもしれません。 一般的に、「スギ」や「Cedar」の香りを持つ赤ワインは、フレンチオークで熟成されたものであると言われています。例えば、ボルドーの赤ワインや、高品質なナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなどがこれに当たります。 アメリカンオークが樽熟成に使われた場

ギリシャの赤ワインブドウ品種「アギオルギティコ」と「クシノマヴロ」を比較してみる

 ギリシャはワイン産地としては非常に伝統のある産地です。ワイン醸造の歴史は少なくとも5000年以上あると言われています。 ギリシャは土着品種の多さが特徴的なワイン産地であり、その数は300品種にものぼると言われています。 有名な土着品種と言えば、「サヴァティアノ」や「ロディティス」、「アギオルギティコ」、「クシノマヴロ」に「アシルティコ」などがあがります。 そしてそのうち、黒ブドウ品種は 「アギオルギティコ」 と 「クシノマヴロ」 の2種類です。 個人的にこの黒ブドウ2品種を何かと混同してしまうことが多いため、その特徴の違いを調べてみようと思います。 まず、 概要 から。 アギオルギティコ は、 ・ギリシャで 最も栽培されている黒ブドウ 品種 ・ さまざまなスタイルのワイン(辛口、ロゼ、甘口など) を造ることのできる品種 です。 一方で、 クシノマヴロ は、 ・ギリシャで 最も高く評価されている黒ブドウ 品種 です。 クシノマヴロのスタイルは、基本的に辛口赤ワインとして造られるようです。 次に 栽培地域 です。 アギオルギティコ は、 ・主に ペロポネソス で栽培され ・ PDOネメア のワインが評価されて います。 一方で、 クシノマヴロ は、 ・主に 北部ギリシャ (マケドニアなど)で栽培され、 ・ PDOナウサ のワインが最も有名 です。 ネメアとナウサのうち関係は、下の地図の通りです。 最後に ワインスタイル です。 アギオルギティコ は、 ・早飲みでフルーティーなスタイルの赤ワイン ・熟成能力を持つ複雑でフルボディの赤ワイン ・ロゼワイン ・甘口の赤ワイン など様々なスタイルのワインを造ります。 多くの アギオルギティコ のワインは、 ・濃い外観 ・熟した赤系果実、・甘いスパイス(オークに由来)の香り/風味 ・中程度の酸味 ・中~高程度の柔らかいタンニン ・中程度のアルコール を持つと言われています。 一方で、 クシノマヴロ のワインは、若いうちは、 ・不快に感じられるほどの高いレベルの酸味やタンニン ・果実というよりも野菜に近い風味 ・淡い外観 を持つために、よくネッビオーロに例えられるそうです。 多くのワインは瓶内熟成により発展し、 ・花、ハーブ、スパイス、皮革、土のような香り/風味(瓶内熟成後) を持つと言われています。 同じ赤ワインでもアギオルギテ