タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
ヴェネト(Veneto)州にあるDOCGの数は、イタリア全州の中で2番目です。
私がJSAソムリエ・ワインエキスパートで覚えたときは、全部で14のDOCGがありました。
ヴェネト州のDOCGを覚える場合、DOCGからではなく、重要なDOCから覚えていくのがおすすめです。ヴェネトの重要なDOCGは、DOCの名前を含んでいるものが多いので、DOCを覚えることで自然にそのDOCGを覚えてしまいます。また、ブドウ品種についても、DOCの品種を覚えてしまうと、DOCGの品種をわざわざ覚えなくてもよいことが多いです。
ヴェネト州の主要DOCやDOCGは、州の西部の都市であるヴェローナ近くに集中しています。
【ヴェローナ(Verona)近郊】
ヴァルポリチェッラ
ヴァルポリチェッラはヴェローナの北西に位置し、この地域で生産されるブドウを使って造られるワインは、ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)DOCとラベル表示ができます。山麓の丘陵地帯には古くからのブドウ畑があり、この畑のブドウから造られたワインは特に、ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(Valpolicella Classico)DOCとラベル表示をすることができます。
主要品種はコルヴィーナ種(Corvina)種でという地域原産の品種です。この品種は、果皮が薄く、色は中程度で、低から中程度のタンニンと、高い酸味を持つのが特徴です。
ヴァルポリチェッラには2種類のパッシート(passito)ワインがあります。パッシート(=アパッシメント)製法とは、まだ酸味が高いうちに早くブドウを摘み、屋内で乾燥させて、糖分と風味を凝縮させる製法です。
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Amarone della Valpolicella)DOCGは、パッシート製法を用いて造られた辛口またはオフドライのフルボディのワインです。
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Recioto della Valpolicella)DOCGもパッシート製法を用いて造られたワインですが、これは発酵が止まるほど非常に甘いブドウを使って造られる甘口のワインです。
ヴァルポリチェッラにはもう一つ、リパッソ製法を用いて造られるヴァルポリチェッラ・リパッソ(Valpolicella Ripasso)DOCというワインがあります。リパッソ製法とは、上述のアマローネの発酵中の果皮(=ヴィナッチャ)を抜き取って、発酵済みのヴァルポリチェッラワインに加えて、醸しを延長し再発行を促す製法です。ヴァルポリチェッラ・リパッソとは、つまり、普通のヴァルポリチェッラに、アマローネに使われた陰干し(パッシートの)ブドウを用いて醸しを加えたワインです。
バルドリーノ
ここでは、ヴァルポリチェッラと同様のブドウ品種であるコルヴィーナ種(Corvina)種から、バルドリーノ(Bardolino)DOCとバルドリーノ・スペリオーレ(Bardolino Superiore)DOCGというワインが造られます。バルドリーノ・スペリオーレは、バルドリーノDOCよりも高いアルコール度の生産既定を持ったワインです。
ソアーヴェ
ソアーヴェはヴェローナの東に位置する地域です。ここでは、ガルガーネガ(Garganega)という白ブドウからソアーヴェ(Soave)DOCワインが造られます。山麓の丘陵地帯には古くからのブドウ畑があり、この畑のブドウから造られたワインは特に、ソアーヴェ・クラッシコ(Soave Classico)DOCとラベル表示をすることができます。
ここではソアーヴェよりも高いアルコール度規定をもったソアーヴェ・スペリオーレ(Soave Superiore)DOCGや、パッシート製法で造られた甘口ワインのレチョート・ディ・ソアーヴェ(Recioto di Soave)DOCGも造られています。
ガンベッラーラ
ソアーヴェに隣接するこの地域では、ガルガ―ネガから造られるガンベッラーラ(Gambellara)DOCというワインが造られています。また、特定のワインには、ガンベッラーラ・クラッシコ(Gambellara Classico)DOCというラベル表示も許可されています。
また、ここにはパッシート製法で造られるレチョート・ディ・ガンベッラーラ(Recioto di Gambellara)DOCGも造られています。
【ヴェネト州北東部」
プロセッコ
ヴェネト州北東部では、イタリアを代表するスパークリングワインであるプロセッコが造られいます。
ここでは、プロセッコDOC、コネリアーノ・ヴァルドッビア・プロセッコ(Conegliano Valdobbiadene Prosecco)DOCG、コッリ・アゾラーニ・プロセッコ/アゾーロ・プロセッコ(Colli Asolani-Prosecco/Asolo-Prosecco)DOCGが造られています。
リソン
リソン(Lison)DOCGは、タイ(Tai)と呼ばれるブドウ品種から造られる白ワインです。タイは、フリウリ・ヴェネツィア・ジュ―リア州では「フリウラーノ」とよばれるブドウ品種です。
リソンはイタリアとしては珍しく、ヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の2つの州にまたがるDOCGです。例外好きのJSA試験では頻出のDOCGです。
ピアーヴェ
ピア―ヴェでは、ピア―ヴェ(Piave)DOCの赤ワインと白ワインが造られています。
ラボーゾ(Raboso)という品種から造られた赤ワインであるピア―ヴェ・マラノッテ(Piave Malanotte)は特別に品質を認められ、2010年にピアーヴェから独立してDOCGに昇格しています。
【その他のヴェネト州のDOCG」
ヴェネト州にはその他、次のようなDOCGがあります。
私はJSAソムリエ・ワインエキスパート試験対策として全て暗記をしましたが、上述の重要なDOCGに比べると、かなり重要度は下がる印象を持ちました。
・Colli di Conegliano (DOCG)
・Colli Euganei Fior d‘Arancio/ Fior d’Arancio Colli Euganei (DOCG)
・Montello Rosso/Montello (DOCG)
・El Bagnoli Friularo/Friularo Bagnoli (DOCG)
・Colli Euganei Fior d'Arancio/ Fior d'Arancio Colli Euganei (DOCG)