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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

【考察】ニュージーランドのワイン産地は3つの気候帯で考えるとわかりやすい

 ニュージーランドには10にも上るワイン産地があり(サブリージョンを含めるともっと!)、それぞれの地域で栽培されているブドウ品種はそれぞれ異なります。 それぞれの産地について、栽培環境や主要品種を個別に覚えていくのは結構大変な作業です。 そこで、ニュージーランドを大きく3つの気候帯に分けて考えてみると、そこで栽培されているブドウ品種の特徴が見えてくるのではないかと、気候帯と栽培されているブドウ品種の関係を考察してみることにしました。 3つの気候帯の分け方ですが、次の地図の通りです: ※赤線の地域は代表的な産地を表しています 北から、 ・温和な海洋性気候(ホークスベイなど) ・冷涼な海洋性気候(マールボロなど) ・冷涼な半大陸性気候(セントラルオタゴのみ) の3つです。 ニュージーランドのほとんどの産地は海の影響を受ける「海洋性気候」です。その中でもより緯度の低い北島はより暖かい「温和な気候」、緯度の高い南島は「冷涼な気候」です。 そして、南島の中でも山に囲まれたユニークな地形を持ったセントラルオタゴは、「冷涼な半大陸性気候」です。 それでは、それぞれの地域で栽培されているブドウ品種を見ていこうと思います。 <温和な海洋性気候の地域> ここは、ニュージーランドでも最も暖かい気候を持つ地域です。南島に比べて地形の起伏も大きくなく、昼夜の寒暖差もなく、育成期間を通して一定の暖かさが得られるようです。 そのため、晩熟の赤ワイン用ブドウが栽培されていることが特徴です。 例えば、オークランドのカベルネソーヴィニヨンやシラー、ホークスベイのシラー、メルロ、カベルネソーヴィニヨンなどが有名です。 特に、ホークスベイのギンブレット地区はボルドーのような砂利土壌を持ち、水はけがよく暖かい栽培環境が得られるために、メルロを中心に晩熟型のボルドー品種が多く栽培されています。 一方で、白ワインについては比較的、シャルドネが多く栽培されているようです。ギズボーンやホークスベイで多く栽培されています。 ニュージーランドの白ワインと言えばソーヴィニヨンブランですが、この地域にはソーヴィニヨンブランが有名な地域はあまり無いようです(北島のワイラパパはソーヴィニヨンブランが有名ですが、私の分析では次の「冷涼な海洋性気候」に含めています)。もしかしたら、品質の高いソーヴィニヨンブランを育てるため...

地形に富んだセントラル・オタゴのサブリージョン(ニュージーランド)

 セントラル・オタゴと言えば、ニュージーランドで最も有名なワイン産地の1つです。 セントラル・オタゴは、ニュージーランドの地方行政区画である16の地方のうち、オタゴ地方に位置しています。 下の図でオタゴ地方の場所を見てみると、オーストラリアのタスマニア島よりも、やや緯度の高い場所に位置しています。 セントラル・オタゴはオタゴ地方の北部一帯を占めますが、それでも世界最南端のワイン産地と言われています。 ニュージーランドのワイン産地のほとんどが海洋性気候である一方で、セントラル・オタゴは半大陸性気候という独特な気候をもっています。これは、この地域がサザン・アルプスに囲まれているために、海からの影響から遮断されていることが原因だと言われています。 セントラル・オタゴの気候的な特徴は、暑い夏、日中と夜間の寒暖差(いずれも半大陸性気候が原因)、高い紫外線レベル(高緯度、オゾン層破壊、少ない大気汚染が原因)です。この地域で生産されるブドウ品種のほとんどをピノ・ノワールが占めますが、このような気候的な特徴を受けるために、製造されるワインは、色が深く、フルボディで、豊富な酸味と熟したタンニンを持ち、強烈な赤系と黒系果実の香りを帯びると言われています。 これがセントラル・オタゴに関する一般論ですが、この地域には6つのサブリージョンがあり、それぞれのサブリージョンによって若干のスタイルの違いがあるようです。 この記事では、個人的な備忘の目的も含め、それぞれのサブリージョンを整理してみようと思います。 まず、サブリージョンの位置ですが、いずれのサブリージョンもセントラル・オタゴ(地図の白線)のごく中心部に集中しています。およそ、下の地図の赤枠に収まる範囲です。 6つのサブリージョンには次のような地域が含まれます: ・アレクサンドラ ・ギブストン ・バノックバーン ・クロムウェル/ローバーン/ピサ ・ベンディゴ ・ワナカ それぞれの位置関係を3Dの地図を使って調べてみました。地図の範囲は、ちょうど上の赤枠のエリアくらいです。(ただし、だいたいの場所を表しており、そこまで正確ではないかもしれません) ちょうど中心部の湖の谷間に「バノックバーン」、「クロムウェル/ローバーン/ピサ」、「ベンディゴ」の3つのサブリージョンが位置しており、南東の端に「アレクサンドラ」、西端に「ギブストン」、...