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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

WSET Level3の問題構成と記述式(筆記)試験対策

WSET Level3のテスト対策は大雑把に次の3点です。


①テイスティング、 ②選択式(マーク式)問題、 ③記述式問題


テイスティング
は普段の講義に出席をして、しっかり内容を理解できれば特に問題とはならないと思います。ポイントはシンプルでフルーティーなinexpensiveワインと、発展中で複雑なpremiumワインを見分けることです。心配であれば、スクールが試験直前に用意をする対策講座を受講すれば十分だと思います。

(参考記事:WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策



選択(マーク式)問題はテキストをしっかり読み込めば合格ラインの55%は容易にとれます。形式はJSAソムリエ/ワインエキスパートの1次試験に似ていますが、ずっと簡単なレベルです。

(参考記事:WSETレベル3の多肢選択問題(四択問題)対策



そして最難関と言われるのが③記述式(筆記)問題です。WSETレベル3で不合格となる最も多い理由が、ここで合格点を取れないことだと言われています。(合格点は55%の正解)






【記述式問題の構成】


記述式問題は大問4問(質問番号1~4)が用意されています。そして各大問には、小問が4~5問程度用意されています。実際に回答を書きこんでいくのは、この小問に対してです。

大問と小問のレベルをあげると、例えば大問は「ドイツワインについて」であり、小問は「モーゼルの気候がワイン栽培に与える課題を説明しなさい」などです。




大問4問(質問番号1~4)は事前に出題範囲が定められており、WSET レベル3のspecification(規定)によれば次のように書かれています。




ここで「学習要項」という言葉が出てきますが、これはWSET L3の講義を通して受講生が学ぶべき内容のことです。学習要項は1~5まで番号が振られていますが、これは1~4の質問番号とは別物です。

学習要項1~5は次のように定義されています。各学習要領はさらに細分化されて1~4つ程度の「範囲」によって定義されています。





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学習要項1:
世界の非発泡性ワインの生産に関わるブドウ畑とワイナリーにおける主な自然の要因ならびに人的要因を明確にして、そうした要因がワインのスタイル、品質、価格に及ぼしうる影響について説明する。

学習要項2:
世界の主要なワイン生産地域で産出される非発泡性ワインの特徴を明確にして描写し、ブドウ畑、ワイナリー、法律面、商業面での重要な自然の要因ならびに人的要因がワインのスタイル、品質、価格に及ぼしうる影響について説明する。

学習要項3:
世界の主要な発泡性ワインの特徴を明確にして描写し、ブドウ畑、ワイナリー、法律面、商業面での重要な自然の要因ならびに人的要因がワインのスタイル、品質、価格に及ぼしうる影響について説明する。

学習要項4:
世界の主要な酒精強化ワインの特徴を明確にして描写し、ブドウ畑、ワイナリー、法律面での重要な自然の要因ならびに人的要因がワインのスタイル、品質、価格に及ぼしうる影響について説明する。

学習要項5:
ワインに関する情報とアドバイスを顧客ならびにスタッフに提供する能力を備えていることを明確に示す。

※学習要項5の範囲1は「ワインの推奨」です。これには「ワインの選択基準」、「保管」、サービス」が含まれます。

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【それぞれの質問で問われること】


上述の「学習要項」の説明は、言葉の使い方が堅苦しくて、私にとってはいまひとつピンときませんでした。

そこで、練習問題や本試験をやってみて、質問(質問番号1~4)と問われていると思ったことをもう少しかみ砕いてまとめてみました。



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◆ 質問番号1(大問1)


ある産地のスティルワインについて...

・ワインの特徴(スタイル、品質、価格)を説明する。

・なぜ、そのようなワインになるのかを説明する。説明には次の要素を用いる:
    ・気候
    ・土壌
    ・ワイン法
    ・ブドウ品種
    ・畑の管理方法
    ・醸造方法



◆ 質問番号2(大問2)


(質問番号1と同様だが、異なる産地のスティルワインについて)



◆ 質問番号3(大問3)


(質問番号1、2と同様だが、異なる産地のスティルワインについて)

・加えて、対象のワインについて次を説明する:
    ・ワインの選び方(同じような味わいのワインを推薦するなど)
    ・ワインの保管方法
    ・サービス方法(サービス温度、開栓方法、デカンティングなど)



◆ 質問番号4(大問4)


ある産地の酒精強化ワイン and/or 発泡性ワインについて...

・ワインの特徴(スタイル、品質、価格)を説明する。

・なぜ、そのようなワインになるのかを説明する。説明には次の要素を用いる:
    ・気候
    ・土壌
    ・ワイン法
    ・ブドウ品種
    ・畑の管理方法
    ・醸造方法

・加えて、対象の酒精強化/発泡性ワインについて次を説明する:
    ・ワインの選び方(同じような味わいのワインを推薦するなど)
    ・ワインの保管方法
    ・サービス方法(サービス温度、開栓方法、デカンティングなど)




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記述式試験対策は、要はこの大問4問に対して準備をすれば良いわけです。





【おすすめの試験対策】


この中で私が断然取り組みやすいと思ったのは、質問番号4(大問4です。

WSET Level3は全部で45チャプターありますが、そのうち「酒精強化ワイン」と「発泡性ワイン」「ワインの選び方、保管方法、サービス」に関するものは6チャプターだけと、断然読み込む範囲が狭いからです。

・発泡性ワイン(2チャプター)

・酒精強化ワイン(3チャプター)

・ワインの選び方、保管方法、サービス(1チャプター)


特に、「ワインの選び方、保管方法、サービス」は出題されるパターンが決まっていて、

・発泡性ワインの開け方

・ヴィンテージポートのデカンティング

・ボトルの保管方法

・ワインの提供温度

この辺りを押さえておけば問題なさそうです。さらにこの内容は、質問番号3(大問3)でも一部出題されるので一石二鳥です。ページにして4ページほどの内容なのでここを落とすのはもったいないです。


残りの質問番号1~3(大問1~3)は、コツコツ勉強することが必要ですが、また勉強のコツなどは別の記事で説明したいと思います。

③はまずは出題される問題の全容を把握することが重要なので、
早めにサンプル問題を手に入れると良いかもしれません。

以前に受験経験のある方であれば、大体サンプル問題を持っているので、お願いをして見せてもらうのが一番手っ取り早いです。

あとは上手くネット検索をすれば見つけることもできると思います。


関連記事:WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト


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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

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WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

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WSET英語学習 の難しさはの1つは、 テキストの記述が全て英語 であることです。 テキストが英語だと、やっぱり 内容の理解度が落ちます 。知らない単語を辞書で調べて...翻訳をして...と読み込んでいくのですが、部分的に言い回しが微妙だったり、細かいニュアンスが伝わらなかったりで、理解が難しい文章がいくつかありました。 <理解度対策は、日本語テキストの購入がおすすめ!> 理解度の問題を解決するために私がとった方法は「WSETレベル3日本語テキストの購入」でした。 ワインスクールでWSETレベル3を受ける場合、英語クラスを選択すると、英語テキストが配布されます。 しかし私はこれに加えて、日本語テキストを購入しました。ワインスクールでも購入ができるようなのですが、受講開始前に手にしておきたかったために個人的にWSETの公式ウェブサイト( https://shop.wsetglobal.com/collections/books )から購入しました。 注文から2週間ほどで手元に届いたと思います。レベル3のテキスト自体は £44.95 GBP でしたが、送料に £17.21 GBP かかり、合計費用は £62.16 GBP (8,300円程度) でした。 もう少し安く購入する方法としては、時々 メルカリ に出品されているものを購入する方法もありますが、常に売りに出されているわけではないのであまり期待できないかもしれません。 Amazonでも時々、中古品がでているのでここで検索するのも良いかもしれません。→  https://amzn.to/3YSx0xy  (Amazonへのリンクです) <情報検索にはテキストの電子化がおすすめ!> テキストが英語であることの問題がもう1つありました。それは、 知りたい情報を探すのが大変 であるということでした。 例えば、「カベルネ・ソーヴィニヨン」の産地ごとの特徴を知りたい場合、その情報は様々な章に分散されて書かれていました。醸造工程の章、ボルドーの章、アメリカの章などです。 日本語であれば、走り読みをしながらキーワードを探せばそれほど大変な作業ではありません。しかし、英語ネイティブでない私にとって、英語でこれをやるのはとても大変な作業でした。 英語テキス...