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メルローワインの味わいは産地によってどう変わるのか?チリ、アメリカ、フランス産の違いを考察

メルローは世界中のワイン造りに使われている黒ブドウ品種です。


今回は、メルローワインの味わいが産地によってどのような違いかあるのかを考察してみたいと思います。


産地としては次の3つを取り上げたいと思います:

① チリ、セントラルヴァレー

② アメリカ、カリフォルニア

③ フランス、ボルドー、ポムロール





まず、メルローのワインスタイルについてですが、大きく2種類のスタイルがあると言われています。それは「インターナショナル・スタイル」「ボルドー・スタイル」です。


インターナショナル・スタイルのメルローワインは、暑い気候のブドウや、温和な気候の過熟ブドウから造られており、黒系果実の香りを持ち、高いアルコール度フルボディなのが特徴です。その分、酸味は中程度~やや低めで、タンニンも中程度です。特に熟度が高いものは、フルーツケーキチョコレートの香りを持つと言われています。


一方で、ボルドー・スタイルは、冷涼~温和な気候で栽培されたブドウから製造されており、先ほどのスタイルに比べるとよりエレガントなスタイルです。赤系果実やハーブの香りを持ち、アルコール度が中程度ミディアムボディのワインです。その分、酸味やタンニンはやや高めです。良いワインはオーク樽による熟成が行われ、スパイスや樽の風味を帯びています。


今回取り上げる産地の中では、チリとカリフォルニアのワインの多くがインターナショナル・スタイルで、ポムロールのワインの多くがボルドー・スタイルになるのではないかと思います。



① チリ、セントラルヴァレーのメルローワイン


チリのセントラルヴァレーでは多くの低価格帯のメルローワインが造られていることが有名です。また、一部、品質の高いメルローワインも造られています。


チリのセントラルヴァレーの気候は、温暖で晴れが多く、乾燥しておりブドウ栽培に非常に適しています。また、海洋からの冷涼効果が比較的得られにくいために、日中の温度が非常に高くなり、日差しの強さと相まって、果実の成熟度は非常に高くなります。


このような環境で造られるセントラルヴァレーのメルローワインは次のような特徴を持つと考えられます:

【外観】

・濃い紫~ルビー色

【香り】

・黒系果実の香り(ブラックベリー、ブラックプラム、ブラックチェリーなど)

・果実の熟度の高いものは、チョコレートやフルーツケーキの香り

・(良いワインは樽熟成の香り)

【風味】

・中程度の酸味とタンニン

・高いアルコール度

・中程度~フルボディ

【品質・価格】

・比較的、低価格な手が届きやすいものが多い



② アメリカ、カリフォルニア


カリフォルニアのメルローワインは、セントラルヴァレーで造られる低価格のものや、より涼しい地域(ナパ、ソノマ、モントレーなど)で造られるより品質の高いものなどが造られています。


セントラルヴァレーは、海風の影響の少ない非常に暑くて乾燥した地域であり、非常に成熟した果実が栽培されています。一方で、ナパ、ソノマ、モントレーなどは、冷たいカリフォルニア海流の影響を受けるために、暖かい気候の中にも、冷涼効果の得られる地域です。


どちらの地域においても、カリフォルニアのメルロワインは、黒系果実(ブラックベリー)やプラムのような香りと、柔らかいタンニンが特徴と言われています。


カリフォルニアのメルローも、チリのメルローも、インターナショナル・スタイルで造られているために区別をするのが難しいのではないかと思います。しかし、カリフォルニアのメルローワインの方が、樽熟成を経ているなど比較的、品質や価格帯が高めのものが多いのではないかと思います。


ワインの特徴は次のように考えられます:


【外観】

・濃い紫~ルビー色

【香り】

・黒系果実の香り(ブラックベリー、黒プラム)

・果実の熟度の高いものは、チョコレートやフルーツケーキの香り

・樽香(ヴァニラ、丁子など)を帯びたものが多い

【風味】

・中程度の酸味と柔らかいタンニン

・高いアルコール度

・中程度~フルボディ

【品質・価格】

・低価格の手ごろなものから、高品質な高価格帯のものまで比較的幅が広い


全体的に、やはりチリのメルローとの区別をするのは難しそうですが、調べてみた範囲では、タンニンが柔らかめであることと、樽香を持つことにカリフォルニア・メルローワインの特徴がありそうです。



③ フランス、ボルドー、ポムロール


ポムロールのワインスタイルの多くは、チリやカリフォルニアに比べてよりエレガントなスタイルである「ボルドー・スタイル」です。


ボルドーの気候は、温和な海洋性気候であり、チリやカリフォルニアに比べると涼しい気候です。ポムロールのブドウは収穫量をかなり抑えて栽培され、高い凝縮度を持ちますが、それでもチリやカリフォルニアの果実ほどの成熟度には達しません。そのためワインの香りは赤系果実を中心に、やや黒系果実の香りが感じ取れるレベルであると考えられます。


酸味については暖かい気候の地域と比べて比較的高めて、ワインはしっかりとした骨格を持つ傾向があるようです。


ポムロールのワインは生産量が比較的少量で、高品質であることが特徴です。そのためワインは強い香りと凝縮度を持ち、新樽を使った樽香がしっかりと感じられることも特徴です。


このような環境を考慮すると、ワインは次のようなスタイルであると考えられます:


【外観】

・中程度の紫~ルビー色

【香り】

・赤系果実の強い香り(レッドチェリー、赤プラム)

・やや黒系果実の香り(黒プラム)も感じられる

・しっかりとした樽香(ヴァニラ、丁子など)

【風味】

・高いレベルの酸味とスムーズなタンニン

・中~高レベルのアルコール度

・中程度~フルボディ

【品質・価格】

・高品質な中~高価格帯のものが多い


ポムロールのメルローワインの特徴は、他のメルローワインと比べると、赤系果実の香りと樽の香り、しっかりとした骨格にあると思います。チリやカリフォルニアのワインに比べると、力強さというよりも、比較的エレガントなスタイルのものが多いと考えられます。



各産地のメルローワインの例


最後に、それぞれの産地の代表的なメルローワインの例を紹介します。


① チリ、セントラルヴァレー

Errazuriz Estate Reserva Merlot  (→ Amazonサイトへ)


② アメリカ、カリフォルニア

Bonterra Merlot(→ Amazonサイトへ


③ フランス、ボルドー、ポムロール

Château Plince(→ Amazonサイトへ


<了>


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